オリンピアスウェーデン研修2019―その4

いつものように7:00にHotel Cardinalの朝食会場に集合すると、いっぱいの宿泊客で満席になっていました。駅前で、朝食・夕食がついている便利さから、かなり人気のホテルとなっています。

 

さて、今日は10:00から、移動幼稚園の見学に行きました。去年始まったこの取り組みは、ヴェクショー市内のある幼稚園の4・5歳児のうち希望する子どもたちを特別なバスに乗せて、毎日違う場所に出かけていって活動を行うというプログラム。現在、16人の子どもたちがこのグループに属していて、3人の先生と1人のバスの運転手さんが担当しています。今日の活動場所は、歩兵団の演習場跡地の自然保護地区。到着すると、子どもたちはすでにバスを離れて広場のようなところに移動し、音楽に合わせてダンスをしたり、○△□といった図形を学ぶゲームをしたりしていました。しばらくすると、みんなで森の方に移動していきました。鳥のさえずりや風の音を楽しみながら、ふかふかの落ち葉を踏みしめて森の奥の方に到着すると、そこは子どもたちにとって絶好の遊び場。大きな岩に登ったり、ジャンプ台のようなところからプールに見立てた大きな穴に飛び降りたり、溺れたふりをしている子に救急救命をしたり・・・。寒さも吹き飛ばしてしまうような子どもたちの元気さが印象的でした。一足早くバスに戻った私たちは、バスの様々な設備を見せてもらうことができました。給食を温めるための大きなオーブンや遊び道具をしまう場所、靴箱、トイレ、そして先生の休憩場所など、バスの中の限られたスペースを工夫して目一杯使って設計されていました。いまスウェーデンではこの野外教育が人気を集めているとのことですが、この内容であればそれも納得できますね。

 

昼食はリンネ大学のカフェテリア「クリスティーナ」へ。私も留学していたときは毎日のようにお世話になった場所です。行ってみると、入口にセルフレジが設置されていて、先に自分で食券を購入するシステムに変わっていました。こっちの方がよいと思えば、大胆にシステムの変更をするのがスウェーデン流。このスピード感はぜひ日本にも欲しいものです。

 

午後からは大学の近くにある、40以上のNPO団体が事務所を構えている建物に行き、認知症の人の家族の会を訪問しました。会長のカトリーヌさんは、20年ほど前に認知症のお母さんを介護したことがきっかけで、この活動に携わるようになりました。年会費は20年間据え置きで110クローナ。現在このヴェクショーを中心とした支部で85-90人の会員が活動をしているとのことです。この会の会計を担当しているご主人が大きな一眼レフを持って同席されていたのでどうしたのかと思っていると、年4回発行されている全国誌に、私たちが訪問したという記事を掲載したいとのこと。とても光栄な経験となりました。とてもおいしいカルダモンのパンとコーヒーをいただきながら、この会の認知症のご本人やその家族をサポートする活動について伺いました。さまざまな取り組みの中でも重要なのは、啓発活動。先日は、街の図書館のホールを使って、シルヴィア王妃が設立した認知症ケア教育機関「シルヴィアホーム」の方を講師に迎え、その取り組みやシルヴィアシスターズについて講演をしてもらったそうです。この活動を通して、新しい学びや経験ができることが楽しいとカトリーヌさんはおっしゃっていました。やはり「楽しみながらやる」ということが継続の秘訣だと改めて感じさせられました。

 

さて、今日のプログラムを終えた私たちは、ヴェクショーから東へ40kmほど離れた、コスタ(Kosta)の町に向かって東に車を走らせました。ガラスの王国として有名なスモーランド地方のこの地域には、たくさんのガラス工場が立ち並び、人気の観光スポットとなっています。私たちもミュージアムを見学したり、コスタボダ(Kosta Boda)やオレフォス(Orrefors)のアウトレットでお土産を購入したり、すっかりクリスマスの装いとなったガラス工場を見て回ったりしました。

そしてヴェクショーに戻り、私の留学時代からの友人、エリック(Erik)とハンス(Hans)と一緒に夕食に、ベトナム料理の店に出かけました。スウェーデンにはベトナムからの移民も多く来ているため、年に何度かベトナムに行く私から見ても本格的なベトナム料理を楽しむことができました。留学から16年たってもいつでも温かく迎え入れてくれる友人がいることは、何よりの財産だなと改めて感じさせられました。

 

Tsukasa