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2023年

11月

17日

オリンピアスウェーデン2023―その5

充実した時間はあっという間に過ぎ、ヴェクショーでの研修最終日を迎えました。

ホテルをチェエクアウトして最初に向かったのは、Attendo社の運営する高齢者施設「Attendo Vikaholmsallén」です。スウェーデンの高齢者福祉は基本的に市に相当するKommunが運営をしていますが、近年では民間企業への運営委託も進んできてきます。現在ヴェクショーでは、2割ほどの高齢者施設が民営となっています。

Attendo社は大手の企業で、従業員数は26,000人。オンラインや対面を組み合わせた社内教育も非常に充実しています。施設長のエリザベスさんは現在、日本の主任クラスに相当する中間管理職の育成に力を入れていて、優秀なスタッフを社内で育てたり、社外から採用したりという取り組みを行っているとのことです。コミューンの施設とは異なる取り組みによって、選ばれる施設づくりを行うという点は、民間ならではの視点だと感じました。

 

最終日ということでスケジュールがタイトだったため、昼食はリンネ大学近くのハンバーガーショップ「MAX」へ。スウェーデン独自のハンバーガーチェーン店で、地元の人たちからは、マクドナルドやバーガーキングに負けない人気を誇っています。

 

午後はまず、協同組合方式で運営されている高齢者住宅「Hofs Park」へ。ちょうどこの日はオープンハウスを行っているということで、多くの方が見学に来られていました。「見学ができる部屋」のひとつを訪問すると、そこは実際に入居者が住まれているところでした。11か月前にヴェクショー近郊から引越ししてきたというご夫婦が、とても丁寧に部屋の様子やここでの暮らしについて説明してくれました。大きな庭やバルコニー、プールやサウナ、ジムなども併設されているほか、割と町の中心部に近いということもあって、とても快適に暮らしている様子が伝わってきました。今後、こういった「新たな住まいの形」がスウェーデンでも増えていくことでしょう。

 

そして最後の訪問先は、市営の高齢者施設「Hagalund」。スウェーデンでは少し珍しい、男性の施設長のマティアスさんが案内と説明をしてくれました。62部屋あるこの施設は、COVID-19の影響で一部のユニットを閉鎖していましたが、近いうちに全てオープンする予定とのこと。7つのユニットがあり、そのうちの2つは認知症専門のユニットとなっています。

スウェーデンの介護現場では、日本の介護福祉士に相当するアンダーナース(Undersköterska)がケアワーカーとして勤務していますが、これまでその教育などの内容はコミューンによってまちまちでした。そこで今年7月1日より、スウェーデン社会庁(Socialstyrelsen)が、アンダーナースを名乗るためには証明書が必要ということを定めました。

先ほどのAttendo社と異なり、ヴェクショーの市営の施設では、施設長と補佐役のコーディネーターの下に、介護職員が配置され、主任やユニットリーダーに相当する中間管理職は置かれていません。日本的な感覚ではピラミッド型の組織の方が管理しやすいのではないかと思ってしまいますが、フラットなよい組織ができていれば、スウェーデン型の方が効率よく運営できそうです。今後も研究を続けていきたいと思います。

 

ヴェクショーでの研修のプログラムを全て終え、街中を車で一通り観光した後、駅に向かいました。今回も鈴木先生のアレンジによって、素晴らしい研修が実現しました。お礼をお伝えし、いつものように記念撮影をしたあと、アルベスタ経由でストックホルムに向かいます。

アルベスタからストックホルムへ向かう電車は、スネールトーグ(Snälltåget)という民間の鉄道を選びました。スウェーデン国鉄(SJ)よりも20分ほど時間はかかりますが、料金は時間帯によっては半額以下のときもあります。車内は快適ですので、時間に余裕のあるときはお勧めです。

 

ホテルにチェックインし、遅めの夕食をとって、今日は解散。明日はストックホルム観光です。

Tsukasa

2023年

11月

16日

オリンピアスウェーデン研修2023―その4

今朝のヴェクショーはこちらに来てから一番の冷え込み。曇り空の中に雪もちらついています。

この時期のスウェーデンの典型的なお天気です。

 

今日はまず、知的障害の人たちのデイサービス、テキスティール・グルッペン(Textilgruppen)を訪問しました。こちらは布を使った商品を中心に製作していて、パッペリーアンのお店でも販売しています。22名のメンバーが3名の芸術と福祉の教育を受けたスタッフと一緒に、布にシルクスクリーンで絵付けをしたり、機織りをしたりして、とても個性豊かな作品を作り上げています。利用者のみなさんと朝のFika(コーヒータイム)を楽しみながら、日本とスウェーデンの福祉について語り合うことができました。

スウェーデンでは来週が「暴力のない週間」(En vecka fri från våld)と位置づけられていて、町の中心にあるアートセンターで、テキスティール・グルッペンとパッペリーアンのみなさんの作品が展示されることになっています。明日、時間が合えばその準備の様子を見に行きたいと思います。

 

次の目的地は、お隣のアルベスタ市(Alvesta Kommun)のヴィースランダ(Vislanda)にある、「ビョルクリーデン」(Björkliden)という高齢者施設。実はここは、「スウェーデンの中で最も食事が美味しい施設」に選ばれたということで、今回のプログラムに組み込んでもらいました。30年前にオープンした建物は平屋建てで、昔ながらのスウェーデンの高齢者施設の趣があります。

中に足を踏み入れた瞬間、急に昔の記憶が蘇ってきました。そう、20年前、留学していたヴェクショー大学(現・リンネ大学)の指導教官ビョーン先生(Björn Albin)に紹介されて、この施設を訪問したことがあったのです!大雪の中、バスに乗って見知らぬ町までやってきたけれどなかなか施設が見つからず、道行く人たちに何度も尋ねてようやく到着したことを、昨日のように思い出しました。当時からよい施設だということで知られていたのでしょう。

 

懐かしさを感じながら、施設長のマルガレータさんに施設の中を案内してもらいました。ここの施設は定員40名に対して、スタッフも40名配置されています。スウェーデンの中でも非常に手厚い体制となっていますが、それを可能にしているのは、アルベスタで最も低いスタッフの「病欠率」。スタッフのお話を聞いていても、自分の仕事に誇りを持って、楽しく仕事をしている様子が伝わってきました。ザリガニパーティやノーベルディナーなどのイベントの際には入居者のみなさんにもお酒を楽しんでもらったり、遠足や外出などのアクティビティを充実させたりと、「よいケア」「よいサービス」を提供するために、柔軟な発想でアクションを起こしていく姿勢は、ぜひ見習いたいと思いました。

 

 

そしてお待ちかねのランチ。木曜日に豆のスープとスウェーデンパンケーキを食べるという習慣に従って、今日のメニューはスープとパンケーキ。「スウェーデンで1番」にふさわしく、とても優しい味で、毎日でも食べたくなるような料理でした。施設の近所に住む人たちも、ふらっとランチに訪れていたのが印象的でした。

またぜひ訪問してみたい施設がひとつ増えました。

 

車で30分ほどでヴェクショーに戻り、スウェーデンで最も古いカフェ「Broqvist konditori」で、ヴェクショー市の前・福祉部長のエヴァさんより、スウェーデンの高齢者福祉の最近の動向についてお話を伺いました。こちらでも人手不足は大きな課題となっていて、データに基づいた分析や、デジタル技術の活用による効率化を進める取り組みは、非常に興味深いものでした。また、私が現在研究を進めているマネジメント層の育成についても、3つのレベルでのリーダー教育についてお話を伺いました。ここにはとても書き切れないので、また何らかの形で整理して、みなさんにお伝えしたいと思います。

 

お話を終えるころにはすでに空は真っ暗になっていました。明日はいよいよヴェクショー最終日。充実した1日にしたいと思います!

Tsukasa

 

2023年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2023―その3

こちらに来てから初めて太陽が顔を見せてくれた、ヴェクショーの朝。少し肌寒さは感じますが、空気がとても澄んでいて、気持ちよく1日をスタートできそうです。

 

今日の最初の訪問先は、この研修で毎年欠かさず訪問している知的障害の方たちのデイサービス、パッペリーアン(Papperian)。いつものようにスタッフのモニカさんとレーナさんに活動の様子について話を聞きました。ここでは、14名のメンバーが登録していて、毎日8名ほどのメンバーが2名のスタッフと一緒に、紙漉きをしたりできた紙に絵をつけたり、封筒やカードなどに加工したりして商品を作り、販売しています。

実際に紙漉きや絵付けをしている様子を見学させてもらいましたが、複雑な工程の中でも一人ひとりのできることにあった作業を見つけ出し、誇りを持って取り組んでいる姿が印象的でした。スタッフのお二人も「80%は本人の力で、20%をサポートする」ことを念頭に置いて自然にサポートをしていて、いつものようにとても心地の良い空気が流れていました。

 

ランチは、ミシュランガイド1つ星の「PM & Vänner」へ。現代風にアレンジされたスウェーデン料理で大人気のお店ですが、ランチはリーズナブルに楽しむことができます。もちろんなかなか予約が取れないのですが、オーナーが鈴木先生の教え子ということもあり、予約前のテーブルに滑り込ませてもらうことができました。今日のメインはヘラジカのハンバーグ。ヘラジカは、毎年10月中旬に猟が解禁になるので、特にスウェーデン南部ではこの時期によく食べられています。オリンピアのマスコットキャラクターはヘラジカのエリィ(Elg)くんなのでちょっと複雑な気持ちでもありますが、臭みも全く感じられず、とても美味しくいただきました!

 

さて、午後からは、いまスウェーデンで急増している「トリーグヘッツボーエンデ」(Trygghetsboende=セキュリティ・アコモデーション、安心住宅)を訪問しました。昨年、11月1日にオープンした直後に見学し、新聞の取材を受けたところですが、もうすでに1部屋を除いて満室になっているということです。散歩や体操、マッサージといったアクティビティに力を入れたり、入居者同士が連絡先を交換してコミュにケーションを取ることをサポートしたりと、きめ細やかなサービスが人気の秘訣だと感じました。

これからのスウェーデンの高齢者福祉を考える上で、在宅と施設以外の選択肢として、重要な役割を占めていくことになりそうです。

 

福祉の勉強ばかりでなく、スウェーデンの文化も学ぶのがオリンピアのスウェーデン研修。ということで、車を東へ50km走らせ、「ガラスの王国」(Glasriket)と呼ばれるスモーランド地方のガラス工場地帯を訪問しました。日本でも有名なKosta BodaやOrreforsの工場や、直営のアウトレットショップが並んでいるほか、ガラスの装飾をふんだんに利用したデザイナーズホテル、"Kosta Boda Art Hotel"はぜひ一度訪れていただきたいスポットです。

 

ヴェクショーに戻り、私の友人のHansが勤める、Kultureskola(カルチャースクール)を訪問しました。共通の友人である、別の町のKultureskolaの校長であるErikも駆けつけてきてくれました。ここでは、4歳から20歳までの子ども・若者たちが、音楽、演劇、ダンス、アートなどを学んでいます。この日も、ヴァイオリン、チェロ、フルート、ギターなど、様々な楽器のレッスンが行われていて、レッスン室に入るたびに素敵な演奏を聴かせてもらうことができました。音楽やアートなどを「始めたい!」と思ったときにすぐできる環境が整えられていることに驚くとともに、とてもうらやましく感じました。

 

そしてみんなで思い出話に花を咲かせながら夕食をとったあと、Hansが自宅に招待してくれました。スウェーデンの人たちの普通の暮らしに触れるという大変貴重な機会になったかと思います。私が留学してから20年たっても、こうやっていつも温かく迎え入れてくれる友人たちに感謝です!

Tsukasa

 

2023年

11月

14日

オリンピアスウェーデン研修2023―その2

今朝のヴェクショーの気温は0℃。曇り空からパラパラと雨が落ちてきています。

時差の関係で早朝からオンライン会議をいくつか終えて、7時にダイニングに朝食に行くと、すでにほぼ満席。スウェーデンの人たちはいつも朝早くから動き始めています。

朝8:30に研修のコーディネートをお願いしている、鈴木満先生と合流し、研修に関するオリエンテーションをしていただきました。

 

最初の訪問先は、ヴェクショー市の南部にある、最も新しい幼稚園 "Torpa Förskola" です。副園長のLindaさんが園での取り組みについて説明をしてくれました。ここには144人の子どもたちが通っていて、子ども一人ひとりの能力を尊重するレッジョ・エミリア教育を行っています。特に印象に残ったのは「民主主義をベースに教育を行っている」ということ。みんなで議論をして、少数派の意見も尊重しながら合意形成をしていくというプロセスを、小さなころから学んでいることが、スウェーデンの社会を形作っているのだと改めて認識することができました。

 

続いて向かったのは、2005年にオープンした高齢者施設 "Toftagården"。この研修でも毎年お世話になっている施設です。すっかり顔なじみの、施設長を補佐するコーディネーターのHelenaさんが説明をしてくれました。新たなニュースとしては、今年の10月1日より、スウェーデンでEUの労働基準が導入されたということ。勤務と勤務の間に11時間連続の休みが必要になり、週に36時間連続の休みを取ることが義務づけられました。いまのところ、現場に大きな影響は出ていないようですが、今後の動きに注目する必要があります。

 

昼食は施設のレストランでいただきました。今日のメニューはベジタリアン用のハンバーグ、タラのムニエル、ラザニアから選択できます。私は魚を選びましたが、街中のレストランにも負けない味でした。ちなみに、お値段は98SEKでした。支払はSwishというスウェーデン独自の電子決済システムのみ。世界で最もキャッシュレスが進んでいるということを実感しました。

 

午後からは、Dalbo地区の福祉センターで、在宅で介護をする家族のサポートを行う「家族支援員」のお話を伺いました。現在ヴェクショー市には、3名の家族支援員が配置されています。支援対象となる「家族」の定義が、血縁のある家族だけでなく、本人のサポートをしている近所の人や友人なども含まれる、というところがスウェーデンらしいところですね。

 

お話のあとは、センターで行われている "Träffpunkt" の取り組みを見学しました。Träffpunktとは「ミーティング・ポイント」という意味で、地域に住むの65歳以上の高齢者が自由に参加できる、様々なアクティビティを行っています。ヴェクショー市内では現在、9か所で活動が行われています。

今日はみなさんで手作りのチーズケーキとコーヒーを楽しむということで、私たちもご一緒させていただきました。18名の高齢者の方がおられましたが、私たちが日本から来たと聞くと、「スウェーデンの福祉と日本の福祉の違いは?」「日本の介護現場ではテクノロジーが使われているの?」と、質問攻めに合いました。

中には90歳近い方もおられましたが、みなさんコーヒーを飲みながらとても活発にお話しをされていました。ケーキ・コーヒー代はどうするのかと思っていると、スタッフが回って一人ひとりクレジットカードで支払いを行っていたのには驚きました。

 

 

とても刺激的な初日だったようで、ホテルに戻ってからも、3人のスタッフとの議論はなかなか終わりませんでした。現場での仕事を離れて、改めて日本の福祉について見つめ直すことができるよい機会になっていて、私もとてもうれしい気持ちになりました。

Tsukasa

2023年

11月

13日

オリンピアスウェーデン研修2023―その1

Hej!(こんにちは!)

あっという間に1年が過ぎ、スウェーデン研修の時期がやってきました。

新型コロナウイルス感染症も落ち着き、以前のようなスタイルで実施できることになりました。

 

今回、厳正なる選考の上選ばれた参加者は、デイサービスセンターオリンピア兵庫のユニットリーダー北野さん、グループホームオリンピア灘のケアワーカーの伊藤さん、障害者就労支援施設オリンピア岩屋の管理者の福田さんの3名です。

 

今日は朝6:00に伊丹空港に集合。急に冷え込み風も強くなってきたため、フライトへの影響が心配されましたが、出発が少し遅れた7:05発のANA986便で羽田空港に向かいました。羽田空港の第2ターミナルから国際線の第3ターミナルへバスで移動し、チェックイン、保安検査、出国審査と大急ぎで進みます。今回は乗り継ぎのスケジュールがかなりタイトだったため、インバウンドでかなり混雑する空港でヒヤヒヤしましたが、さすが日本の空港。長蛇の列もあっという間に流れて行き、無事に目的の搭乗ゲートに到着することができました。

 

ヨーロッパへのフライトは久しぶりのSAS(スカンジナビア航空)984便。日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条を申請し、来年にはスターアライアンスを脱退しスカイチームに加盟するということで、使う機会も減ってしまうかな・・・と思いつつ、搭乗するA350の前で記念撮影をしました。

シンプルな北欧デザインの機内では、とてもフレンドリーなCAさんたちがサービスをしてくれました。ロシア上空を迂回するため、14時間35分の長いフライトの予定でしたが、気がつけば1時間ほど早く、コペンハーゲンのカストラップ国際空港に着陸することができました。

 

予定していた電車をひとつ早めて、目的地のヴェクショーへ向かいます。途中、乗っていた車両が切り離されるため、慌てて車両を移動したり、自転車や犬が乗り込んでくることに驚かされたりと、早速スウェーデンの人々の暮らしぶりに触れる機会がありました。

ヴェクショーに到着すると、震えるような寒さ。この1週間は0℃前後の気温が続くようです・・・

駅前の"Clarion Collection Hotel Cardinal"にチェックインし、夕食へ。今日のメニューは、スウェーデンの伝統料理「Köttbullar」(ミートボール)でした。リンゴンベリーのジャムをたっぷりつけて、いただきました。幸先のよいスタートとなりそうです。

 

Tsukasa

2022年

11月

20日

オリンピアスウェーデン研修2022―その6

今回の研修の中で最も冷え込んだ、ストックホルムの朝。いつも宿泊先に選んでいる「Hotel C」は、アーランダ国際空港に直通の「Arlanda Express」の乗り場のすぐ隣ということもあり、多くの宿泊客で賑わっています。今日はスウェーデンの歴史や文化に触れる、ストックホルム観光の1日です。

 

いつもの通り、まず向かったのはノーベル賞の記念晩餐会が行われることで有名な、ストックホルム市庁舎。ここは今でも市役所やストックホルム市議会の議場として使われているため、ツアーに参加しなければ見学することができないため、10:00の英語のツアーに参加しました。市庁舎の細かい内容については過去のブログでも何度も触れているのでそちらをご覧いただければと思いますが、1923年に完成したこの建物は、来年2023年、100周年を迎えます。盛大にお祝いをするということで、今から楽しみです。

 

続いて旧市街地ガムラスタン(Gamla Stan)へ。幅90cmで世界一細い公道として有名な「モーテン トローツィグ グレン」(Mårten Trotzigs Gränd)を通り抜けて、ノーベル博物館(Nobelmuseet)の前の広場に行くと、クリスマスマーケットで大賑わい。スウェーデンのクリスマスを代表する、ジンジャークッキーや「ルッセカット」(Lussekatter=ルシアの猫)と呼ばれるサフランブレッド、そしてホットワインなどが所狭しと並んでいました。博物館でお土産を買って、王宮の前を通りかかると、ちょうど衛兵の交代式の時間でした。雪も降り始めて体の芯まで冷えそうな中、衛兵のみなさんは規律のとれた動きを見せていました。

 

次に向かったのはフィンランド教会。実はこの裏庭に、アイアンボーイ(Järnpojke)と呼ばれる、高さ14cmの銅像がいるのです。地元の人たちが定期的に服を作って着替えさせているそうで、この日も暖かそうにしていました。ガムラスタンに行くときは、ぜひチェックしてみてください!

 

さて、カフェでランチを済ませるころには、雪がかなり激しくなっていました。馴染みのアンティークショップ「Antikaffären PHM」に行ってご主人に話を聞くと、観光客の減少でビジネスは落ち込んだが、コロナ禍で家の片付けをしてアンティークを売りにくる人が増え、今はコロナ前を上回るほど好調とのこと。掘り出し物に出会えるチャンスかもしれませんね!!

 

雪がどんどんひどくなってきたので、雪だるまのようになりながらいったんホテルに戻り、地下鉄で向かったのは、モダン建築の巨匠エリック・グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund)の設計の、ストックホルム市立図書館(Stockholms Stadsbibliotek)。360度本に囲まれた空間は、何度来ても圧巻です。その下でみんながPCを開いているのは、時代の流れを感じてしまいますが・・・。

移動のためバスに乗ろうとバス停で待っていると、「大雪で全部キャンセルになったよ!!」と親切な人が教えてくれました。地下鉄を乗り継いで、エステルマルム市場(Östermalms Saluhall)へ。ここは1880年代から続く伝統的な市場で、2019年にリニューアルして、とてもモダンな雰囲気になっています。牛・豚・鶏・ヘラジカ・トナカイなどの肉類、サーモンやタラ、ロブスターなどの魚介類、チーズに野菜、ジャムやハチミツ、スイーツ・・・と、見ているだけでも楽しくなってしまいます。

 

またまた地下鉄に乗って、メッドボリヤルプラッツェン駅(Medborgarplatsen)に向かいます。夕食は、伝統的なスウェーデン料理で有名な「クヴァルネン」(Kvarnen)へ。ミートボールやスモークサーモン、シチュー、鹿肉のローストなど、研修の最後を締めくくるのにぴったりの、たのしいディナーとなりました。

 

Tsukasa

2022年

11月

19日

オリンピアスウェーデン研修2022―その5

ヴェクショーでの充実した時間はあっという間に過ぎ、いよいよ最終日となりました。

 

朝8:00にホテルをチェックアウトして向かったのは、ヴェクショー市の北部に位置する高齢者施設エヴェリード(Evelid)。私も何度か訪問している施設ですが、一部のユニットが民営化されまた市営に戻ったりと紆余曲折を経て、2019年からはショートステイと終末期ケアの施設として運営されています。

施設長のエミーさんは、私たちのためにたくさんの資料を用意して、ここでの取り組みについて分かりやすく説明をしてくれました。

 

 スウェーデンのショートステイには、在宅生活が難しくなった場合や、家族が旅行などで不在のときに利用する「ショートステイ」(Korttidsboende)と、月に14日を限度に、ショートステイと在宅生活を交互に行う「ローテーションケア」(Växelvård)の2種類があり、ここではどちらにも対応しています。

また、2020年3月から2021年9月までは、2つのユニットを使って、ヴェクショー市営の全ての高齢者施設と在宅での新型コロナウイルス感染者を受け入れていました。

 

スウェーデンでは、1990年代に行われたエーデル改革以降、「医療は県」「福祉は市」と責任分担が明確になり、治療の終わった患者を病院から早期に退院させ、市の福祉サービスに繋げるようになっています。近年はこの取り組みがかなり厳格化され、県の病院を退院した高齢者をショートステイで早く受け入れないと、県に対してペナルティを払わなければならなくなっています。このため、ショートステイの空室を確保するために、早く高齢者施設に入居してもらったり、在宅に復帰してもらうように働きかける必要があります。とても合理的な考え方であるだけでなく、結果として高齢者の生活の質を高める取り組みになっていることは、とてもスウェーデンらしいと感じました。

さらに、エヴェリードは高齢者福祉の教育センターの役割も担っていて、クロノベリィ県の8つの市だけでなく、民営の施設の職員教育も受託したりしています。ここには実習生を受け入れるためのスーパーバイザーが15人所属していて、次世代の介護人材の育成にも大きな役割を果たしています。

「ここはヴェクショーの高齢者施設の中でもフラッグシップなんです!!」とエミーさんが自信をもって言っていたのが、とても印象的でした。

 

続いて訪問したのは、民間のヒューマーナ(Humana)社の運営する高齢者施設。グループリーダーのジェシカさんがお話をしてくれました。全部で8ユニット(各9室)から成るこの施設は、現在6ユニットで運営しています。入居者の年齢層は60代から103歳までと幅広くなっていますが、やはり80代後半の方が中心となっています。スウェーデンではときどき、民営の施設でのスキャンダルがマスメディアを賑わすことがありますが、この施設はかなり充実した住環境の中でケアにも力を入れている印象を受けました。

朝7:00からスタッフは仕事をスタートし、入居者さんが起き始めて着替えやトイレ、朝食を済ませます。午前中にはそれぞれの興味に応じて、運動やビンゴなどのアクティビティがあり、12:30ごろから昼食。軽く昼寝をしたあと、14:00から午後のアクティビティやフィーカの時間があり、17:30ごろに夕食、というのが典型的な1日の流れです。

ユニットを見学させてもらっていると、ちょうどお菓子や雑貨の移動販売をしているところに出会いました。自分の好きなお菓子やお酒なども、事前に頼んでおけば仕入れてもらえるそうです。現金だけではなく、Swishというスウェーデン全土で使われているキャッシュレス決裁システムでも支払いが可能。さすが世界で最もキャッシュレスの進んだ国ですね!

 

ランチは、リンネ大学の敷地内にあるテレボーイ城(Teleborgs Slott)のレストランで。1800年代に地域の豪農が奥さんの誕生日プレゼントに建てたというこのお城、現在はホテル・会議室・レストランとして運営されています。この日もレストランは満席。日常生活の中に、ちょっとした非日常的でゆとりのある、贅沢な時間が存在することが、とてもうらやましく思えますね。

 

研修の全てのプログラムを終え、時間が少しできたので、スウェーデンで最も古いカフェ「Broqvist konditori」で、鈴木先生と振り返りを行いました。今回もスウェーデンに来て改めて気づかされたのは、高齢者福祉・障害者福祉・保育に関係なく、利用者ひとりひとりのために、良いことであればそれをどんどんやろうという精神。もちろん、財政的な問題や、国内外の政治的に難しい状況、人材の採用・育成など、スウェーデンにも課題はたくさんあります。でも「社会政策の実験室」とも言われる、新しいことにチャレンジを続ける姿勢からは、私たちが学べることが多いのではないでしょうか。


車でアルベスタ駅まで移動して、電車でストックホルムへ。4時間弱の長旅でしたが、研修の疲れからか、ウトウトしている間にあっという間に到着しました。

さあ、明日はストックホルムの観光です‼︎


Tsukasa

2022年

11月

18日

オリンピアスウェーデン研修2022―その4

今日のヴェクショーの最低気温は2℃。肌寒い朝となりました。この週末はさらに冷え込むようで、日曜日のストックホルムの最低気温-3℃となっています。いよいよ冬が近づいてきました。

 

さて、今日の最初の訪問先は、ヴェクショーの中でも移民の人たちが多く暮らす、ダルボ(Dalbo)という地区にあるデイサービスセンター「ルンデン」(Lunden)です。実は20年前に留学していたとき、私はこのセンターのすぐ裏のアパートに住んでいたので、ときどき訪問していました。現在は、1年ほど前に立ち上がったヴェクショー市の介護予防部門の中心となっています。

 

お話をしてくれたのは、家族支援員のカミーラさんと、施設長のマーリンさん。マーリンさんは、以前は昨日訪問したトフタゴーデンの施設長をしていたので、この研修でも何度もお世話になりました。

 

家族支援員(Anhörigkonsulent)とは、介護をしている家族の相談に乗ったり、支援をしたりする役割の人で、ヴェクショー市には3名配置されています。スウェーデンの社会サービス法で、介護をしている家族の支援は市(コミューン)の責任と定められています。血のつながった家族だけではなく、主に介護を担っている友人なども支援の対象に入るとのことです。

介護をしている家族を対象として、8人のグループで半年に6回のミーティングが開かれています。そのテーマは「食事」「運動」「虐待防止」など様々で、最近では男性介護者向けに料理を教えるコースもあるそうです。なかなか感情を表に出したがらない男性たちには、最初は車やスポーツの話題から入るとよいとのこと。このあたりは日本と同じですね。

現在スウェーデンでは、約130万人の人が家族の介護に携わっており、もし彼ら全員が介護をやめてしまうと、38万人のプロの介護士が必要になると推測されています。「家族のサポートをする方が経済的」という言葉から、スウェーデン人の合理的な部分が垣間見られました。ただし、法的には、家族に介護をする義務はありません。高齢者介護の最終的な責任はあくまでも市が担っているのです。

 

ここのデイサービスは4名から8名の3つのグループに分かれています。2つは認知症の方向け、1つはその他の障害を持っている方向けで、それぞれ週に1-2回集まるという形です。スタッフは3-4人のアンダーナースが配置され、かなり手厚い印象を受けました。デイサービスの利用が決まると、まずは家を訪問し、どのグループが適切か、送迎サービスはどうするかなど、担当者が本人・家族と相談をしながら決めていきます。

9:30ごろに集まり、朝食をとってから、活動がスタート。昼食やフィーカをはさんで、15:00ごろにみなさん帰っていきます。活動内容は季節によって変わります。一緒に調理をしたり、体操や運動、散歩をしたりと、スウェーデン人の普通の生活に近いことが行われています。

ひとりひとりの持つ力を最大限に発揮してもらうことが大切にされていて、例えばパン作りをするとき、生地をこねることが難しい人は、レシピを読み上げたり、材料の計量をしたりしています。

利用者のことをよく知るために、家族には本人のライフヒストリー(Levnadsberättelsen)を作ってもらうようにしています。日本でも同様の取り組みはありますが、家族のこと、仕事のこと、趣味のこと、宗教のことなど、かなり細かく記入するようになっていて、とてもきめ細かく本人のことを知ってケアに生かそう、という姿勢が印象的でした。

 

昼食は、隣町のアルベスタまで足を伸ばして、エマニュエルさんとマスミさんご夫妻が運営する「Café St.Clair」へ。スウェーデンと日本の料理を融合させたメニューは地元の人に大人気。平日のお昼にもかかわらず、あっという間に満席になりました。この日のメインはチキンのゴマソース。白いご飯とお味噌汁もついてきて、みんなホッとしていたのではないでしょうか。いつものように記念撮影をして、カフェのInstagramに載せてもらうことになりました。ぜひご覧ください→https://www.instagram.com/cafe.st.clair/

 

午後はまたヴェクショーに戻り、市役所を訪問しました。待っていてくれたのは、認知症看護師のヨハンナさんと、市の高齢福祉課長のマチルダさん。ヴェクショー市での認知症ケアや、人材確保・育成についてお話を伺いました。

 

認知症看護師(Demenssjuksköterska)とは、市や県に配置され、認知症の人や家族の支援をしたり、認知症ケアの指導に当たったりする役職で、様々なネットワークを駆使して活躍する様子から、「巣の中のクモ」(Spindeln i nätet)に例えられています。

ヨハンナさんは、75歳で認知症になった男性、アンデシュさんの事例を使って、スウェーデンでの認知症ケアについてとても分かりやすく説明してくれました。

ヴェクショーでは、地域の保健センターで認知症の診断を受けると、本人の同意を得て、認知症看護師に連絡がいきます。認知症看護師は家族を訪問し、認知症や市の介護サービスに関する情報を提供します。同時に、介護サービス判定員やホームヘルプの責任者ともコンタクトを取り、できるだけ在宅での生活が続けられるようにサポートをしていきます。

数年が経ち、家庭での介護が難しくなったアンデシュさんは、ケア付き住宅(施設)に入居することとなりました。最初は「ホテルに泊まりにきたみたいだ」と喜んでいた彼ですが、次第に暴れたり、怒り出したり、寝られなくなるといったBPSDが出現するようになりました。スタッフたちは、コミュニケーションの方法を工夫したり、日課の散歩を続けたり、怒りの対象となるものを遠ざけたりと、様々な工夫をし、本人に寄り添うケアに取り組みました。その結果、彼は落ち着き、施設の雰囲気も以前のように良くなりました。

そして3年後、認知症の進行により、終末期ケアに入ることになりました。妻のビルギッッタさんに付き添われ、大好きなルイ・アームストロングの曲を聴きながら、最期のときを迎えることになりました。

いま、スウェーデンの認知症ケアにおいて、BPSDへの対応(全国的なBPSD登録システム)、ライフヒストリー、回想法、バリデーション、そしてパーソン・センタード・ケアが大切にされています。私も20年以上、スウェーデンの認知症ケアについて研究をしてきましたが、訪れるために新たな取り組みが行われていて、日本のケアへの大きな学びとなっています。

 

続いてマチルダさんが、ヴェクショーでの介護士の採用や育成に関する取り組みについて、お話をしてくれました。スウェーデンの介護は、アンダーナース(Undersköterska:日本の介護福祉士に相当)が中心となって行っていますが、このアンダーナースの中から、①栄養学・②認知症・③手当て・④終末期ケアの4種類のスペシャリスト(各6人・計24人)を育てる取り組みを始めるために、いま準備をしているとのことでした。

気になる人材採用の状況ですが、「介護職になりたい人が減っている」というのは誤解ではないか、とマチルダさんは言います。働き手の絶対数が減っているから、介護職の採用が難しくなっているというわけです。

介護の担い手を増やすために、現在ヴェクショー市では様々な取り組みを行っています。例えば、実習生に介護職になってもらえるように、スーパーバイザーの育成に力を入れたり、各種のテクノロジーを駆使することにより、介護職の負担を減らしたり、若い人に興味を持ってもらえるようにしています。

また、特に印象に残っているのは、「ヤングケア(ung omsorg)」という13-15歳の若者が定期的に高齢者施設を訪問するプロジェクトで、現在2,535人の若者がスウェーデン国内の332の老人ホームを訪問し、高齢者の日常生活にちょっとしたプラスアルファを提供しています。「こういった取り組みを通じて、介護職の社会的な地位を上げるために、スウェーデン全体としてアクションを起こしていくことが必要です」というマチルダさんの言葉がとても印象に残りました。

 

オリンピアのスウェーデン研修では、「マジメはいいけど"クソマジメ"はいけないよ」という鈴木先生の言葉に従って、観光のプログラムも入れています。夕方、ヴェクショーから車で東に向かって1時間ほどの、「ガラスの王国」(Glasriket)と呼ばれるスモーランド地方のガラス工場地帯を訪問しました。日本でも有名なKosta BodaやOrreforsの工場や、直営のアウトレットショップが並んでいるところです。到着するころにはすでに真っ暗になっていましたが、北欧のクリスマスの雰囲気を楽しむことができました。

 

あっという間にヴェクショーでの研修も明日が最終日。どんな1日になるか、楽しみです!!

 

Tsukasa

2022年

11月

17日

オリンピアスウェーデン研修2022―その3

どんよりとした曇り空のヴェクショーの朝。7:00にレストランに行くと、すでに宿泊客でいっぱいでした。今回も宿泊先に選んだHotel Cardinalは、駅前の好立地と夕食が付いていることが大人気で、本館・別館に加えて3号館までオープンしたほどです。

 

さて、今日の午前中の訪問先は、ヴェクショー市の北部に位置する、市立の高齢者施設「トフタゴーデン」(Toftagården)。ここは、9名の高齢者ユニットが3つと、8名の障害者のためのユニットが一緒になっています。今回は事務長のヘレーナさんから、取り組みの様子やコロナ禍での対応について、詳細にお話を伺いました。

ここの高齢者部門では、各ユニット2名ずつのスタッフが、午前・午後・夕方に分かれて勤務していて、夜間は3つのユニットを2名のスタッフでカバーしていましす。基本的にスタッフはアンダーナース(Undersköterska:日本の介護福祉士に相当)の資格を持っていて、日常的な介護やご家族とのコンタクトなどを行っています。スタッフが病欠のときには、市で確保しているフリーの介護士さんがヘルプに入ります。スウェーデンでは、日本のように人員配置基準がないので、入居者の介護ニーズに応じて、スタッフを増やしたり減らしたりしています。施設の予算は、施設長と経理担当者が市の高齢者福祉課長と月に1回ミーティングを行い、年間を通じてしっかりと管理されています。

コロナ禍のときは、施設は完全にロックされ、外部からの立ち入りは制限されました。しかし、施設内での活動は、できるだけこれまで通り継続するという方針が採られました。利用者が感染した場合は、居室に隔離され、フェイスシールド・マスク・手袋・ガウンを身につけた介護士が慎重にケアに当たりました。市が作成した感染症対策マニュアルを徹底した結果、入居者の感染は2名に抑えることができたそうです。8月に訪問した別の施設では、ほぼ全ての利用者が感染したという話を聞いていたので、かなり対策がうまくいったケースと言うことができるでしょう。

施設の内部は非常にアットホームな雰囲気です。各居室にはベッドルーム・リビングルーム・バス・トイレ・ミニキッチンがあり、使い慣れた家具や思い出の品々をたくさん持ち込むことができます。見せていただいた部屋にはとてもたくさんの家族の写真や、食器などのコレクションが飾られていて、とても素敵な空間になっていました。

ミーティングスペースには、とても大きなタッチパネル式のディスプレイが設置されていて、アフリカの動物たちのライブ映像を見たり、ゲームを楽しんだりできるようになっていました。伝統的なケアを大切にしながらも新しいテクノロジーを積極的に活用する様子は、とてもスウェーデンらしい感じがしました。

 

見学を終えて、昼食は施設のレストランでいただきました。メニューはチキンのカレーソース煮込みか魚のトマトソース煮込みから選ぶことができました。もちろん、入居者のみなさんと同じメニューです。私は何度もトフタゴーデンで食事をしていますが、いつも安定のおいしさです!

食事をしていると、入居者の方々が集まってきました。普段はユニットのダイニングでみなさん食事をされるのですが、ときどきイベント的にレストランで食事をするとのこと。オシャレな服を着てしっかりとお化粧をして、食事を楽しんでいる雰囲気がとてもよく伝わってきました。スタッフは最低限必要なケア以外は手を出さず、ゆったりとした時間が流れていたのが印象的でした。

 

さて午後は、子どもの自主性や個性を尊重する「レッジョ・エミリア教育」を実践しているヴォールヴィーケン(Vallviken)幼稚園を訪問しました。2020年にヴェクショーの建築賞を取った自然を大切にした設計の

建物で、年齢に応じた4つのクラスに分かれていて、1歳から5歳まで合計で84人の子どもたちが通っています。ここでは、民主主義をベースにした教育哲学に基づいて、子どもの意見や合意を大切にしながら教育を実践し、科学的手法をベースにした記録や評価を行っています。現在、園全体で自然をテーマにしたプロジェクトが進められていて、子どもたちはミツバチやクモ、森の木々などについて、観察したり、学んだり、絵を描いたり、粘土細工を作ったりと、年齢や能力に応じて自発的に活動ができる仕掛けが随所に散りばめられていました。スウェーデン名物のお昼寝コーナー(冬でも外気に触れながら寝袋で寝ます!)の天井には、芸術家の作った木のオブジェが飾られていて、子どもたちが五感をフルにつかって1日を過ごすことができる幼稚園となっています。お話をしてくれた園長先生や主任の先生たちも私たちがどう感じるのか興味津々で、熱心にメモを取りながら、私たちの話を聞いてくれていたのが印象的でした。

 

夕方少し時間ができたので、聖シグフリッド国民高等学校(S:t Sigfrids folkhögskola)を訪問しました。国民高等学校とは北欧独自の教育システムで、移民の人たちの語学教育や、高校をドロップアウトした子たちの教育、ジャーナリズムや音楽などの専門教育など、多様なプログラムを提供しています。20年前、私が留学していたときに、空手部を作るために毎週訪問していた場所でもあります。学校は牧場に囲まれていて、昔の雰囲気のままでしたが、当時空手をやっていた体育館は、立派な音楽スタジオにリニューアルされていました。

明日も充実したプログラムの1日となっていて、いまから楽しみです!

 

Tsukasa

2022年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2022―その2

今日のマルメの最低気温は7℃。今回のスウェーデン滞在中、最も暖かい1日になりそうです。

とはいっても、この時期のスウェーデンはずっとどんよりとした曇り空が続いていて、たまに日差しが見られるとラッキーといった感じです。

 

6:30に朝食のためにレストランにいくと、すでにお客さんが集まっていました。スウェーデンでは朝早めに仕事をスタートし、夕方にはちゃんと切り上げて家に帰る、というスタイルの人が多いようです。

スウェーデンの国鉄の高速鉄道SJ2000に乗り、いざ出発。道中、いろいろとハプニングもありましたが、アルベスタ駅に到着し、研修のコーディネートをしてくださる鈴木満先生と合流しました。

 

 

今回の研修のお供は、VolvoのXC60。コンパクトなSUVでありながら、パワーは十分ですので、長距離ドライブでも安心です。私も20年近くスウェーデンで運転をしていますが、レンタカーで初めてのAT車で、カーナビ付き。スウェーデンの車事情も少しずつ変わってきているようです。アルベスタから15分ほどで、研修の地ヴェクショーに到着しました。

 

さて、大きな湖の近くで昼食をとった我々が向かったのは、知的障害の人たちのデイサービス、パッペリーアン(Papperian)。毎年訪問していたのですっかり顔なじみになっている、モニカさんとレーナさんに活動の様子について話を聞きました。ここでは、14名のメンバーが登録していて、毎日8名程度のメンバーが2名のスタッフと一緒に、紙漉きをしたりできた紙に絵をつけたり加工したりして商品を作り、販売しています。10:00-11:30とランチタイムを挟んだ13:00-14:30が作業時間で、9:30と14:30にFika(お茶の時間)があります。スウェーデンの人たちにとって、学校でも職場でも重要なコミュニケーションの時間Fikaが、ここでも大切にされています。町の中心部にあるオシャレなお店で、ヴェクショーの人たちがよく訪れるパッペリーアンのショップですが、最近はスウェーデンの電気代高騰の影響から、新聞紙とロウを使って作った暖炉の着火剤が大人気とのこと。アウトドアブームの日本でも応用できるのでは・・・とアイディアが広がります。

 

続いて向かったのは、同じく知的障害の人たちのデイサービス、テキスティール・グルッペン(Textilgruppen)。こちらは布を使った商品を中心に製作していて、パッペリーアンのお店でも販売しています。22名のメンバーが3名の芸術と福祉の教育を受けたスタッフと一緒に、布にシルクスクリーンで絵付けをしたり、機織りをしたりして、とても個性豊かな作品を作り上げています。前回、2019年に訪問したときに導入されたばかりだった陶芸も人気のプログラムのひとつとなっていて、素晴らしい作品をたくさん目にすることができました。メンバーのみなさんが入れ替わり立ち替わり、作業の様子や作品について、時には英語で説明をしてくれました。メンバーひとり一人の持っている力や関心を最大限に引き出す、スタッフのみなさんのさりげないサポートが印象的でした。

 

そして本日最後の訪問先は、近年スウェーデンで急増している「トリーグヘッツボーエンデ」(Trygghetsboende=セキュリティ・アコモデーション、安心住宅)。11月1日にSBBという会社がオープンしたばかりの施設を訪問し、責任者のインゲラさんに案内してもらうことができました。ここには24時間スタッフが常駐するほか、様々なアクティビティやゲストルームなどが用意されています。介護が必要になれば公的なホームヘルプなどの介護サービスを利用することもできる、日本のサービス付き高齢者向け住宅のような施設です。今回、日本からの見学者が訪問するというニュースを聞きつけて、地元の新聞社スモーランズ・ポステン(Smålandsposten)の同行取材を受けることになりました。私が20年前に留学していて、その後もたびたび研修で訪れているというストーリーにとても興味を示してくれました。記事が掲載されればまたご紹介したいと思います。

 

盛りだくさんのヴェクショー初日も無事に終了。明日はどんな1日になるのでしょうか?

 

Tsukasa

2022年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2022―その1

Hej!(こんにちは!)

コロナ禍で中止となっていたオリンピアスウェーデン研修を、3年ぶりに実施することとなりました。

海外渡航も困難な状況の中で、再開はもう少し先になるかと思っていましたが、8月に調査でスウェーデンを訪問したところ、実施は可能との判断に至りました。

 

今回の参加者は、オリンピアの障害福祉部門のセンター長・細田さん、グループホームオリンピア兵庫のユニットリーダー・大野さん、ショートステイオリンピア兵庫のユニットリーダー・鍜冶くんの3名です。コロナ禍での渡航ということもあり、入念に準備を進めてきました。

 

11月14日の朝6:30に伊丹空港に集合すると、月曜日の朝ということもあり、空港はすでにビジネス客で

混み合っていました。搭乗手続きを済ませ、8:00発のNH16便で羽田空港に向かいます。ところが羽田便の混雑で、出発が20分ほど遅れることに・・・。思い返せば、トラブル続きのフライトの始まりでした。

 

羽田空港に到着後、国際線の第3ターミナルを目指します。―そこで目にしたのは長蛇の列!! 海外に向かう人たち、海外に帰る人たちで、保安検査場が見えないところまで列が続いていました。「乗り遅れたらどうしよう・・・」とヒヤッとしましたが、そこはさすが日本の空港。あっという間に順番がやってきて、無事に出国することができました。

 

「スウェーデンに持っていくお土産は何が喜ばれるでしょうか?」―よく聞かれる質問ですが、今年もお世話になるリンネ大学の鈴木先生のイチオシは、 ロイズ(ROYCE')の生チョコレート。スウェーデンにはない食感とのことで大人気ですので、私もお薦めします。羽田空港の免税店で買うと、保冷バックに入れてもらえるので安心です。

 

さて、ここ何年かはスカンジナビア航空(SAS)でスウェーデンに行っていましたが、経営状態の悪化を受け、日本便はいま運休になっています。そこで今年は、久しぶりにルフトハンザ航空を使うことになりました。ミュンヘン行きのLH715便ですが、現在ロシア上空を通ることができないため、北側のルートに変更されています。このため、14時間40分という超ロングフライトとなりました。

 

8月末に利用したときはマスクの着用を厳しく言われたルフトハンザ航空ですが、今回は離陸してしばらくすると、ほとんどのCAさんたちがマスクを外して業務にあたっていました。この2か月の間でも、ヨーロッパの状況は変化しているようです(スウェーデンのマスク事情については、改めてご紹介します)。

途中、ときどき乱気流が発生し、大きな揺れがあったりもしましたが、なんとかミュンヘンに到着。スカンジナビア航空SK2658便に乗り継ぎ、コペンハーゲンに向かいました。

 

結局、この飛行機も遅れたため、コペンハーゲンのカストラップ国際空港に到着したのは現地時間の22過ぎ。すでにヴェクショーに向かう電車はなくなってしまっているので、とりあえずスウェーデン第3の都市、マルメに電車で向かいました。

 

マルメ駅前のホテルに到着したのは、23時過ぎ。出発から24時間近くかかって、ようやくここまでたどり着きました。いよいよ明日の朝、ヴェクショーに向かい、研修の本格的なスタートです!!

 

※スウェーデンについては、こちらの記事もご覧ください!!

【スウェーデン超入門】200年以上戦争なし どのように福祉大国となったのか=山口宰

https://www.joint-kaigo.com/articles/2325/

 

Tsukasa

2019年

11月

14日

オリンピアスウェーデン研修2019―その5

充実した時間はあっという間に過ぎ、いよいよヴェクショーでの最終日の朝を迎えました。少しの時間も無駄にできないということで、朝6:30に朝食をとり、荷物をまとめてホテルをチェックアウトしました。手作りのリンゴンベリーのジャムやニシンのマスタード漬けがしばらく食べられなくなるかと思うと、ちょっと寂しいですね・・・。

 

今日の最初の訪問先は、"Skogsleken"というこども園です。ここは2010年に民営のこども園としてオープンしたのですが、オーナーの引退に伴って2015年からヴェクショー市営のこども園となっています。日本では公立保育園の民営化が行われていますが、こちらでは逆のパターンもあるということに驚かされます。以前にこの研修で訪問していた"Pilbäcken"こども園と同じく、イタリア発祥の保育哲学、レッジョ・エミリア(Reggio Emilia)・アプローチを実践しています。園内を見学させてもらっていると、子どもひとりひとりの自主性や能力を大切にした保育が行われている様子がとてもよく伝わってきました。園のすぐ近くには森が広がっていて、屋内での活動と野外での活動がバランスよく取り入れられていました。

 

続いては、この研修で必ず訪問している高齢者施設、トフタゴーデン(Toftagården)へ。市営の高齢者施設の中で最も高い評価を得ているのがこの施設です。ここは4つのユニット、計35室で構成されていて、3つのユニットは高齢者の、もうひとつのユニットは、身体障害のある方のためのユニットになっています。建物は平屋建てで、4つのユニットの中心に食堂や庭が配置され、入居者のみなさんが自然に集まりやすい構造になっています。以前はユニットごとに全ての食事をしていましたが、運動の機会を作ってもらうために、昼食は外部の人たちにも開かれたメインのダイニングを使用しているとのことでした。施設長のアン・マリーさんが、今回導入されたばかりの勤務シフト作成ソフトを見せてくれました。それぞれのスタッフがまず勤務の希望を入力し、スタッフ間で調整をした後に、施設全体での調整をするそうです。これを導入することにより、より効率的でスタッフの希望に添ったシフトが作れるようになったということで、評判は上々のようです。また、スタッフひとりひとりのこれまでの経歴や、研修の受講状況もコンピュータで管理されていて、市営の施設であれば異動があってもデータが引き継がれるとのこと。働く人の環境をしっかりと整えることによって、よいサービスを提供するという姿勢がここにも表れていました。

昼食は私たちもトフタゴーデンのダイニングでいただきました。この日のメニューは豚肉のミートボールまたはサーモンのスープ。キッチンスタッフの方々もとても親切にしてくださり、ますますトフタゴーデンのファンになりました。

 

引き続き午後からは、安心住宅(Bo Tryggt)を訪問しました。ここは、高齢者の生活をサポートする様々なテクノロジーやアイディア商品を紹介する、モデルルームのような場所になっています。2012年にオープンし、当初は高齢者団体などの訪問が多かったそうですが、最近では知名度も上がり、一般の高齢者のグループや個人で来られるかたも増えてきたようです。見守りカメラや緊急アラームといった大がかりなものから、高齢者が持ちやすい調理器具やカトラリー、スープでも食べやすい工夫がされたお皿など非常に身近なものまで、ありとあらゆるものが展示してあります。私自身、介護とテクノロジーの活用に関する研究を国内外で行っていますが、いまあるテクノロジーを生かすという点においては、スウェーデンの取り組みが最先端をいっているのではないかと思います。これからも継続して調査していきたいですね。

そして今回の研修では最後のプログラム、障害者の余暇活動のコーディネーターのお二人からお話を伺いました。今年度、ヴェクショー市では60種類近い障害者のための余暇活動のプログラムが行われています。散歩やカフェ、料理、ダンス、釣り、ボウリング、アイスホッケー観戦、日帰り旅行など、その内容は様々。余暇も含めて「ふつうの生活」であるという理念がとてもよく伝わってきました。

 

研修の残り時間もわずかとなり、レンタカーにガソリンを入れ、支払いを終えた私たちは、ヴェクショーからひとつ隣のアルベスタ(Alvesta)駅に向かいました。いつも研修でお世話になっている、日本人のマスミさんとご主人のエマニュエルさんが運営する"Café St.Clair"(http://saintclair.se/)に寄るためです。スウェーデンのミシュランガイドともいわれる"White GUIDE"に2014年から載り続けていて、いつ行ってもお客さんでいっぱいの超人気カフェとなっています。今年はスケジュールがタイトだったので、いきなりの訪問となってしまいましたが、「おかえりなさい!!」といつものようにとても温かく迎えてくれました。わずかな時間でしたが、とてもおいしい手作りのシナモンロールやコーヒーをいただいて、お店のInstagramにも写真を載せてもらいました。マスミさんが日本から遠く離れたスウェーデンでがんばっている様子に、私たちもなんだか元気をもらえますね。

そして駅に移動した私たちは、この研修のコーディネートや訪問への同行、そして通訳にと大変お世話になった鈴木先生ともここでお別れです。鈴木先生あってのこの研修。いくら感謝してもし尽くせない思いです。電車の扉が閉まる瞬間まで話は尽きませんでしたが、また日本でお会いできることを楽しみにしています。

 

アルベスタから首都のストックホルムまでは約3時間半。ハードな時間の疲れから、ウトウトしているうちにあっという間に到着しました。いつも利用している駅前の"Hotel C"にチェックインして、夕食へ。ヴェクショーと比べるとさすがは首都。建物の数や高さ、人の数も全然違います。明日に備えて今日は早めに解散することとなりました。

 

Tsukasa

2019年

11月

13日

オリンピアスウェーデン研修2019―その4

いつものように7:00にHotel Cardinalの朝食会場に集合すると、いっぱいの宿泊客で満席になっていました。駅前で、朝食・夕食がついている便利さから、かなり人気のホテルとなっています。

 

さて、今日は10:00から、移動幼稚園の見学に行きました。去年始まったこの取り組みは、ヴェクショー市内のある幼稚園の4・5歳児のうち希望する子どもたちを特別なバスに乗せて、毎日違う場所に出かけていって活動を行うというプログラム。現在、16人の子どもたちがこのグループに属していて、3人の先生と1人のバスの運転手さんが担当しています。今日の活動場所は、歩兵団の演習場跡地の自然保護地区。到着すると、子どもたちはすでにバスを離れて広場のようなところに移動し、音楽に合わせてダンスをしたり、○△□といった図形を学ぶゲームをしたりしていました。しばらくすると、みんなで森の方に移動していきました。鳥のさえずりや風の音を楽しみながら、ふかふかの落ち葉を踏みしめて森の奥の方に到着すると、そこは子どもたちにとって絶好の遊び場。大きな岩に登ったり、ジャンプ台のようなところからプールに見立てた大きな穴に飛び降りたり、溺れたふりをしている子に救急救命をしたり・・・。寒さも吹き飛ばしてしまうような子どもたちの元気さが印象的でした。一足早くバスに戻った私たちは、バスの様々な設備を見せてもらうことができました。給食を温めるための大きなオーブンや遊び道具をしまう場所、靴箱、トイレ、そして先生の休憩場所など、バスの中の限られたスペースを工夫して目一杯使って設計されていました。いまスウェーデンではこの野外教育が人気を集めているとのことですが、この内容であればそれも納得できますね。

 

昼食はリンネ大学のカフェテリア「クリスティーナ」へ。私も留学していたときは毎日のようにお世話になった場所です。行ってみると、入口にセルフレジが設置されていて、先に自分で食券を購入するシステムに変わっていました。こっちの方がよいと思えば、大胆にシステムの変更をするのがスウェーデン流。このスピード感はぜひ日本にも欲しいものです。

 

午後からは大学の近くにある、40以上のNPO団体が事務所を構えている建物に行き、認知症の人の家族の会を訪問しました。会長のカトリーヌさんは、20年ほど前に認知症のお母さんを介護したことがきっかけで、この活動に携わるようになりました。年会費は20年間据え置きで110クローナ。現在このヴェクショーを中心とした支部で85-90人の会員が活動をしているとのことです。この会の会計を担当しているご主人が大きな一眼レフを持って同席されていたのでどうしたのかと思っていると、年4回発行されている全国誌に、私たちが訪問したという記事を掲載したいとのこと。とても光栄な経験となりました。とてもおいしいカルダモンのパンとコーヒーをいただきながら、この会の認知症のご本人やその家族をサポートする活動について伺いました。さまざまな取り組みの中でも重要なのは、啓発活動。先日は、街の図書館のホールを使って、シルヴィア王妃が設立した認知症ケア教育機関「シルヴィアホーム」の方を講師に迎え、その取り組みやシルヴィアシスターズについて講演をしてもらったそうです。この活動を通して、新しい学びや経験ができることが楽しいとカトリーヌさんはおっしゃっていました。やはり「楽しみながらやる」ということが継続の秘訣だと改めて感じさせられました。

 

さて、今日のプログラムを終えた私たちは、ヴェクショーから東へ40kmほど離れた、コスタ(Kosta)の町に向かって東に車を走らせました。ガラスの王国として有名なスモーランド地方のこの地域には、たくさんのガラス工場が立ち並び、人気の観光スポットとなっています。私たちもミュージアムを見学したり、コスタボダ(Kosta Boda)やオレフォス(Orrefors)のアウトレットでお土産を購入したり、すっかりクリスマスの装いとなったガラス工場を見て回ったりしました。

そしてヴェクショーに戻り、私の留学時代からの友人、エリック(Erik)とハンス(Hans)と一緒に夕食に、ベトナム料理の店に出かけました。スウェーデンにはベトナムからの移民も多く来ているため、年に何度かベトナムに行く私から見ても本格的なベトナム料理を楽しむことができました。留学から16年たってもいつでも温かく迎え入れてくれる友人がいることは、何よりの財産だなと改めて感じさせられました。

 

Tsukasa

2019年

11月

12日

オリンピアスウェーデン研修2019―その3

雨の音にまた早く目が覚めてしまった、ヴェクショーの朝。今日もしっかりと朝ご飯を食べて、ワクワクする1日のスタートです。

 

まず10:00からは、Humana社がヴェクショー市から運営委託を受けている高齢者施設、"Humana Södra Järnvägsgatan" を訪問しました。例年通り、グループリーダーのマリソール(Marisol)さんが案内をしてくれました。ここの施設は、9名のユニットが2ユニットずつ4つのフロアに配置されているので、定員は72名となっています。現在、退居が相次いだこともあって、8室が空室となっています。収入が減ってしまって困るのではないかと思って聞いてみると、スタッフを減らして対応しているとのこと。ほとんどの人がフルタイムではなく75%で働くなど、フレキシブルな働き方をしているので、こういうことが可能になっています。訪問したときはちょうど、1900年代はじめのスウェーデンについてみんなで話をする、回想法のプログラムの真っ最中でした。毎日いくつかのプログラムが用意され、施設内のデジタルサイネージでお知らせされているほか、居室のテレビでも確認することができます。居室のカギは、入居者が手首に付けている緊急アラームで開け閉めができるほか、スタッフが一人一台持っているスマートフォンでも開け閉めが可能です。テクノロジーが効果的に活用されていて、民営化のメリットが生かされている感じがしました。

 

街中の人気イタリアンレストランでランチの後は、知的障害の方のデイケアセンターのひとつ、テキスティール・グルッペン(Textilgruppen)の訪問です。ここには約20名の利用者が登録し、毎日10人ほどの方が通っています。自分たちで機織りをしたり、刺繍をしたり、布の染色をしたり、シルクスクリーンで絵付けをしたりと、布を使った素敵な作品を製作しています。また、3か月前にはコンパクトな陶芸の窯が導入されたこともあって、カップやお皿などを作ったりもしています。ここで作られた作品は、昨日訪問したパッペリーアンのショップで販売されるほか、最近では公共の施設や病院、学校、そして個人の人から注文を受けて販売することも増えているようです。一通り見学を終えたあと、利用者・スタッフのみなさんと一緒に、フィーカ(Fika)の時間となりました。スウェーデン人の生活に欠かすことのできない、お茶の時間です。コーヒーや紅茶を飲みながら、日本の障害者福祉の取り組みや私たちの仕事について、たくさんの質問をいただきました。私たちがスウェーデンの福祉に関心をもっているのと同じように、彼らも日本のことについて興味を持ってくれていることをうれしく思いました。ただ見学をするだけではなく、このようにディスカッションの機会を持てて、非常によい経験となりました。

 

見学を終えた私たちは、リンネ大学に向かいました。来年の5月にソーシャルワークを学ぶ2名の学生の実習を、大阪大学とオリンピアで受け入れることになっているので、実習コーディネーターのズムさんとその打ち合わせを行いました。スウェーデンの実習のカリキュラムは、日本のものと比べて非常に細かいところまで目標設定がなされていて、評価もその観点にそって行われます。以前から、スウェーデンのソーシャルワーカーの教育のレベルの高さには驚かされていましたが、その裏側を知ると納得がいきます。

 

さて、18:00からは今年初めてプログラムに組み込まれた、"Overpowered E-sport Center"を訪問しました。ここは、コンピュータやVRを使った言わばゲームセンターなのですが、毎週火曜日の夜は、ヴェクショー市から委託を受け、様々な障害を持ったり不登校・引きこもりになったりしている子どもたちのためのプログラムが行われています。ただ単にゲームをさせるだけではなく、スタッフが寄り添ってコミュニケーションを取っていて、子どもたちが生き生きとした様子が非常に印象的でした。付き添いで来ていたお母さんにお話を聞いてみると、「これまで子どもが引きこもっていて地獄のような日々だったのが、ここに来るようになって友達ができ、会話も増えてきて、以前は想像もできなかった生活をしています」とおっしゃっていました。このゲームを使った取り組みはスウェーデンでも初めてとのこと。これからが楽しみです!!

 

今日も長い1日となりました。そろそろ旅の疲れもたまってきたとこなので、夕食をとってちょっと早めに解散しました。明日の研修も楽しみです!!

 

Tsukasa

 

2019年

11月

11日

オリンピアスウェーデン研修2019―その2

時差のせいで夜中に何度か目覚めながら、ヴェクショーで最初の朝を迎えました。この時期のスウェーデンは、日照時間も短く曇りがちで太陽が恋しくなりますが、キリッとした寒さはなかなか心地がよいものです。

7時に朝食に行くと、いつもいっぱいのホテルなのに、この日はガラガラ。勤勉なスウェーデンの人たちは、もう食べ終わって仕事に行ってしまったのかもしれませんね。

 

さて、今日はまず8:30に鈴木先生と合流して、大きなスーパーマーケットへ。海外でその国の人たちの生活の様子を知るには、スーパーマーケットに行くのが一番ではないかと思います。"世界一臭い" ニシンの缶詰、シュールストレミングや、ザリガニ、ヘラジカの肉など、みんな興味津々です。すでにクリスマスのグッズも数多く並んでいて、とても賑やかな店内でした。

 

街の中心部に戻って、最初の訪問先は、知的障害のある方々が働く紙細工の工房「パッペリーアン」(Papperian)。この研修では毎年欠かさず訪問している、すっかりお馴染みの場所です。今年もいつものようにスタッフのモニカさんとエヴァさんの二人が、ヴェクショー市の障害福祉サービスとここでの取り組みについてお話をしてくれました。利用者のみなさんは手際よく、街の印刷工場から出た不要な紙を水につけてミキサーにかけ、用途に応じた色やサイズの紙を漉いて、ポストカードや封筒など様々な製品に仕上げていきます。紙の脱水に使うプレス機が新しくなっていたので聞いてみると、リンネ大学が用意してくれたとのこと。こういった形での地域貢献も大切です。さて、パッペリーアンの大ニュースと言えば、今年、ここのデザインを使った商品が世界中のIKEAで販売されたということ。私も実際に神戸の店舗で商品を購入しましたが、とても夢のあるプロジェクトだなあと感動を覚えました。

 

 

昼食をはさんで午後からは、子どもたちのためのアウトドア教育法"UTEKLASSRUM"を開発・販売している"Linnes Mathus"という会社を訪問し、お話を伺いました。「アウトドア教育」というと、キャンプなどを思い浮かべますが、ここが目指しているのはそうではなく、算数や英語など、普通の教科をアウトドアでの活動を通じて学ぶというコンセプトで、教育学のエビデンスに基づいたそのメソッドは非常に興味深いものでした。代表のヤンさんはもともとブランディングの専門家で、VOLVOの世界的なブランディング戦略にも携わった経験をお持ちで、引き込まれるようなプレゼンテーションが印象的でした。スウェーデンでも、民間企業の開発したメソッドを公立学校に普及させていくことは容易ではないそうですが、現在、いくつかの市には取り入れられ始めているとのこと。パリ協定の目指す持続可能な社会の実現のために、学校や先生だけでなく、保護者や政治家も巻き込んでムーブメントを起こしていきたいとのことでした。

 

夕方、少し空き時間ができたので、ヴェクショーの中心部を散策しました。人口が増加し発展を続けるヴェクショーですが、ツインタワーが印象的な大聖堂(Växjö domkyrka)や湖、街のメインストリートなど、昔のまま変わらない様子にちょっとほっとしました。

そして夜、リンネ大学社会科学部でソーシャルワーカーの実習のコーディネーターをされているズムさんが、「森を散歩してみたい!!」というスタッフたちのリクエストに応えて、森の中のトレッキングコースまで連れていってくれました。夜の森はとても静かで幻想的で、北欧の世界観を満喫することができました。

さあ、明日はどんな1日になるのでしょうか!?

 

Tsukasa

2019年

11月

10日

オリンピアスウェーデン研修2019―その1

今年もまた、スウェーデン研修の季節がやってきました!!

このブログも、すっかりスウェーデン研修ブログとなってしまっております・・・

 

今年の研修には、オリンピア兵庫の髙田さん、オリンピア神戸北保育園の森さん、そしてオリンピア長峰の洲上さんが参加することになりました。オリンピアの中での勢いを表しているのか(笑)、女性3人での参加となりました。

さて、昨年、台風の影響で関西国際空港が利用できないかもしれないとのことで、成田―コペンハーゲンのスカンジナビア航空(SAS)を初めて利用したのですが、時間を有効に使うことができてなかなか快適だったので、今年も同じルートを選択しました。

 

伊丹空港は現在大規模改修工事中で少し混雑していましたが、6時50分に元気に集合した私達は、7:50発のANA2176便で成田空港に向かいました。この便はB777の国際線仕様機であることが多いのですが、搭乗してみてビックリ。4人とも、運良くビジネスクラスのシートに乗ることができました。幸先のよい研修のスタートですね!!

成田空港に到着した私たちは、出国手続を済ませ、お土産を買ったり、空港内をいろいろと見て回ったりしました。昨年も書きましたが、ここでの乗り継ぎはとてもスムーズで、私も成田や羽田経由で海外に行く機会が増えてきています。関空や神戸空港も負けてはいられません。

 

昨年と同じ31番ゲートに着くと、すでに飛行機はスタンバイ状態。機内はシンプルな北欧デザインでまとめられていて、とても機能的な作りになっています。

 ―そして出発。成田空港の混雑のため、出発が少し遅れて心配だったのですが、あっという間に約11時間半の空の旅を終え、気がつけば定刻よりも10分早く、デンマークのコペンハーゲン、カストラップ国際空港に到着することができました。入国審査もとてもスムーズで、電車の時間までは空港内のスターバックスでコーヒーを飲みながら打ち合わせをしました。

 

ここ何年か、コペンハーゲンから研修の地、スウェーデンのヴェクショーまで行く電車の線路で工事をしていたために、代替バスに乗り換えて1時間以上余分に時間がかかっていました。ところが、ようやくこの工事も終わり、乗り換えもなく通常の2時間半で行けるようになっていました。

今年はこの電車で、17年前に私がヴェクショーに留学していたときに、隣の寮に住んでいた旧い友人と会うこができました。彼女はいま、ルンド(Lund)の近くの街で花屋さんの学校に通っているのですが、どうしてもスケジュールが合わず、電車で一緒に移動することになったのでした。あの頃の友人たちはいま、それぞれの道で活躍しているようで、私にとってもよい刺激になりました。

 

ホテルは、毎年泊まっている、駅前の"Clarion Collection Hotel Cardinal"。夕食のあと、今年も研修のコーディネーターとしてお世話になる鈴木満先生と合流し、スケジュールの確認など打ち合わせをしました。いま大阪大学からリンネ大学に留学中の2人の大学院生も部分的に参加したいとのことで、今年はちょっと賑やかな研修になりそうです!!

 

Tsukasa

2018年

11月

18日

オリンピアスウェーデン研修2018―その7

充実したスウェーデン研修もあっという間に最終日。ストックホルムの土曜日の朝は平日に比べるとゆっくりで、朝食コーナーにもそれほどお客さんは多くありません。パン、チーズ、ハム、ソーセージ、ニシン、ベリー、コーヒー・・・スウェーデンの味ともしばらくお別れです。

 

ストックホルムの市内からアーランダ国際空港までは、アーランダ・エクスプレス(Arlanda Express)でたったの20分。通常はひとり片道295SEK(約3,700円)なのですが、木曜日から日曜日までは4人だと550SEK(約6,900円)で乗れてしまいます。スウェーデンの交通機関は様々な割引サービスが用意されている場合があるので、ぜひ調べてみてください!!

スウェーデンで最大、ヨーロッパでも6番目の規模を持つアーランダ国際空港は、モダンな北欧デザインと機能性で、航空ファンからも人気のある空港。特にレストランやお土産物屋さんが充実しているので、早めに行って旅の最後を楽しむのがお勧めです。

 

ストックホルムを少し遅れて出発した私たちの飛行機でしたが、定刻よりも少し早く、コペンハーゲンのカストラップ国際空港に到着しました。乗り継ぎが少しタイトだったのですが、こちらの空港もとても機能的に設計されているため、迷うことなく余裕を持って搭乗ゲートに向かうことができました。

帰りの飛行機は、行きと同じくスカンジナビア航空のA340-300の新型機でしたが、スターアライアンス塗装となっていました。それでもエンジンだけは他の飛行機と同じように赤色にしているのがオシャレですね。

 

現在日本では、スカンジナビア航空は成田ーコペンハーゲンの1日1便だけが運航していますが、東京オリンピックを目標に羽田ーコペンハーゲン便への変更と、新たに成田ーストックホルム便の就航を検討しているとのこと。これが実現すると、北欧への旅がますます快適になりそうですね!!

 

帰りも11時間半の快適なフライトで成田に到着。電車で羽田に移動し、伊丹空港に戻ってきました。

ちょうど1週間前の日曜日の朝、ここに集合したとは思えないほど、あっという間の研修でした。今回スウェーデンで学んだことを、さっそく明日からのオリンピアでの取り組みに生かしていきたいと思います。

鈴木先生をはじめ、この研修でお世話になった全ての方に、心からお礼を申し上げます。

 

Tsukasa

2018年

11月

16日

オリンピアスウェーデン研修2018―その6

ヴェクショーでの充実した研修を終えて、ストックホルムで迎える朝。宿泊先の "HOTEL C STOCKHOLM" の朝食はとても種類が豊富で味も良く、毎年楽しみにしています。この時期のスウェーデンは、どんより曇っていて寒いというのが通常ですが、今日は奇跡的に快晴となりました。参加者は雨男ばかりだと思っていたのですが(笑)残された時間を有効に使うために観光のプランをしっかり立てて、出発です!!

 

まず最初に向かったのは、ストックホルム市庁舎。ストックホルム観光には絶対に欠かすことのできないスポットです。ノーベル賞の記念晩餐会が行われることでも有名なこの市庁舎は、現在も現役のストックホルム市の庁舎として、またストックホルム市議会の議場として使用されています。このため、館内はガイドツアーでしか見学ができないのですが、毎年参加してて感じるのは、ガイドによって説明のポイントが違うということ。今年は初めて男性のガイドでしたが、この仕事にとても誇りを持っているような感じで、今までにないお話も聞くことができました。今年は京都大学の本庶佑先生がノーベル医学・生理学賞を受賞されることが決まったので、日本のテレビなどでも取り上げられる機会が増えることと思います。詳しい説明は過去のブログをご覧ください。

 

続いて向かったのはストックホルムの旧市街、ガムラスタン(Gamla Stan)。今も古いスウェーデンの街並みが変わらず残されています。ストックホルム大聖堂を見学した後、ノーベル博物館へ。ここでは遺言によってノーベル賞を設立したアルフレッド・ノーベルの生い立ちや、歴代の受賞者の横顔や研究内容などが展示されているほか、企画展も行われています。現在は1964年にノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キング・ジュニアに関する展示がされていました。ノーベル賞の受賞者はここのカフェの椅子の裏にサインをするのが恒例になっています。今年も本庶先生のサインがひとつ増えることでしょう。ここのお土産として有名なのが、ノーベル賞の記念晩餐会でも出されるノーベル賞をかたどったチョコレート。日本人観光客に特に人気なようで、日本語でも説明が書いてありました。

 

いくつかお土産物屋さんを回って、ガムラスタン内のカフェで昼食。その後、昨年店長さんととても仲良くなったアンティーク食器のお店を訪問しました。日本でも大人気のグスタフスベリ(GUSTAVSBERG)やロールストランド(Rörstrand)などの1960年代の食器が所狭しと並んでいます。中には中国の100年前の陶器も飾られていて、陶器が趣味の陳さんも大喜びしていました。

 

先日ハンスと話をしていたときに、ストックホルムで行くべきと薦められたのが、先月リニューアルオープンしたばかりのスウェーデン国立美術館(Nationalmuseum)です。ここにはスウェーデン王家が収集した15世紀以降のヨーロッパの美術作品や、スウェーデンの芸術家の作品などが数多く展示されています。1866年に完成した美術館の建物そのものがまるで一つの作品のようで、建物の中心を突き抜ける大きな階段がシンボルになっています。私も15年ぶりに訪れましたが、リニューアルしたことによってより見やすく、センスの良い美術館に生まれ変わっていました。また、スウェーデンの商業デザインをテーマにしたコーナーがあり、スウェーデンのデザインの歴史についても学ぶことができました。

 

さて、ヴェクショーでの研修期間中、鈴木先生がストックホルム市庁舎の地下のレストランで提供される、2017年のノーベル賞の記念晩餐会と同じメニューのディナーを予約してくださっていました。実は私にとっても初めての経験。食器は本番の晩餐会と同じく、先日コスタでアウトレットを訪問したオレフォス(Orrefors)のものが使われています。1皿目はアーティチョークをふんだんに使った料理。コールラビの花の香りがおいしさを引き立てます。メインとなる2皿目は、ラムのショートロイン。ポテトのテリーヌや塩焼きの根セロリ、リンゴのサラダと一緒にサーブされました。表面はカリッとしていて中はとてもジューシーな絶妙の火加減でした。そしてデザートはビルベリーのババロアとアイスクリーム。北欧ならではの濃厚なベリーの味を楽しむことができました。ワインパッケージを選択するとワインも当日サーブされたのと同じものが提供されるのですが、ノンアルコールの方にもそれぞれに合わせたノンアルコールワインが用意されていました。今年はいったいどんなメニューになるのでしょうか。いまから12月10日が楽しみです!!

 

Tsukasa

2018年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2018―その5

ヴェクショーで迎える最後の朝。毎年のことですが、充実した時間は経つのが早すぎて、信じられないほどです。ホテルの朝食は6:30からスタートなのですが、今日はスケジュールがタイトだからと10分ほど前に行ってみるとすでに何人かのお客さんが食べ始めていました。スウェーデンの人たちは朝早くから仕事を始めて、夕方にはすっぱり切り上げます。この効率のよい働き方は、私たちも真似したいものです。

 

さて、今日は8時からリンネ大学へ。実は来年の春、オリンピアではリンネ大学医療福祉学部の4名の学生の実習を5週間、受け入れることになっています。学生さんたちの自己紹介や関心がある分野について聞いたあと、私がオリンピアについてプレゼンテーションをしました。リンネ大学の国際化の取り組みのひとつとして紹介をしたいとのことで、ピンマイクをつけて撮影されていたので、久しぶりに緊張感のあるプレゼンテーションとなりました。4人ともとても関心をもって聞いてくれ、ぜひ日本に行きたいとのことだったので、よい実習プログラムになるように、これから準備をしていきたいと思います。

 

その後、私が留学していたときからお世話になっている、クリスティーナ先生から、スウェーデンの高齢者福祉について講義をしてもらいました。国・県・市の3つのレベルの役割分担や、社会サービス法と保健医療法、そしてスウェーデンの高齢者福祉の歴史についてお話がありました。1970年代、スウェーデンにおいてもホームヘルプは家事援助が中心で、主婦の仕事の延長線上にありました。実際に現場で働いていたクリスティーナ先生によると、年に1回だけ約200名のスタッフが顔を合わせるミーティングがあったということでした。しかし、80年代に入ると、スウェーデンの女性たちの社会進出が進み、主婦があまりいなくなったということ、そして専門化されていないヘルパーでは高齢者のケアのニーズに対応できなかったということにより、ホームヘルパーの仕事の専門性を高めフルタイムの仕事にするという取り組みが行われました。1日に複数回のミーティングがあり、チームでのケアを行うことによって、ホームヘルパーの仕事というものが確立されていったのでした。

 

そして10:00からは、昨年オープンしたばかりの高齢者施設、"Humana Södra Järnvägsgatan" を訪問しました。Humana社がヴェクショー市から運営委託を受けている施設です。昨年と同じく、グループリーダーのマリソール(Marisol)さんが案内をしてくれました。ここの施設は、9名のユニットが2ユニットずつ4つのフロアに配置されているので、定員は72名となっています。市営の施設と比較したときに、民営施設の強みは意思決定の速さだと、マリソールさんはおっしゃっていました。新しいアイディアをすぐに実行できるのも、民営施設で働くことの魅力だということです。今日も、「ホテル・ブレックファスト」というイベントが行われていました。施設内の共用スペースを利用して、ホテルの朝食ビュッフェのような高級感と雰囲気を提供するというものです。各フロアのインテリアも北欧デザインで統一されているほか、居室の天井が非常に高く設計されているため、全く施設特有の閉塞感を感じることはありませんでした。また、マリソールさんは日本の高齢者介護にも大変興味をもっていて、彼女からも逆にいろいろな質問をされました。スウェーデンと日本、それぞれの良さを共有して、よりよいケアを追求していくことができればいいなと思います。

 

昼食はリンネ大学のキャンパス内にあるテレボーイ城(Teleborgs Slott)のレストランへ。ホテルや会議場も兼ね備えているテレボーイ城ですが、最近スウェーデンの有名人の対談番組の収録があったということで、ますます人気が出ているとのこと。今日もあっという間に多くのお客さんで一杯になりました。日替わりランチのメニューは豚肉の煮込みか白身魚のソテー。ヴェクショーでの研修の打ち上げということで、ゆったりと昼食を楽しむことができました。

 

さて、午後からは今年の研修の最後のプログラムとなる、知的障害の方のデイケアセンターのひとつ、テキスティール・グルッペンの訪問です。ここには約20名の利用者が登録し、毎日10人ほどの方が通っています。自分たちで機織りをしたり、布の染色をしたり、シルクスクリーンで絵付けをしたり、最近では陶芸を始めたりと、とてもクリエイティブな活動を利用者の方々が主体的に行っているのが大変印象的でした。ここで作られた作品は、街中のパッペリーアンで販売されているほか、市役所や市の関係の団体、個人の人からの委託で作品を製作したりもしています。この取り組みはスウェーデンの中でも注目を集めていて、全国から見学者が訪問しているとのことです。そして2年ほど前から、IKEAとの共同プロジェクトが進行していて、ついに来年の2月ごろに、テキスティール・グルッペンとパッペリーアンのデザインを使った商品が、世界中で販売されるとのことです。もちろん日本のIKEAでも購入可能ですので、みなさん是非お買い求めください!!

 

その後、4日間お世話になったレンタカーのボルボV90にガソリンを入れ、パッペリーアンで昨日の紙漉き体験でできた紙を受け取り、ヴェクショーのメインストリートに面するカフェでこの研修の評価会を行いました。3人のスタッフそれぞれ口にしていたのが、「百聞は一見にしかず」ということ。いくら他のスタッフが経験してきたことを話で聞いて、映像で見たとしても、スウェーデンの人々の生活や文化を肌で感じるのとは全く異なるということです。そしてこの研修で学んだことを、日本に戻ったらすぐに明日からの仕事に生かして欲しいと強く思います。

 

電車の出発まで少し時間があったので、ヴェクショーの大聖堂やスモーランド博物館を少し見学し、駅に向かうこととなりました。4日間、私たちのために時間を割いて、この素晴らしい研修をコーディネートしてくださった鈴木先生が、駅まで見送りにきてくれました。駅に着くと、空はもう暗くなっているのに電灯は付いておらず、プラットホームは真っ暗。何の説明もありません。日本では考えられない状況ですが、これもスウェーデンでのよい経験。お互いのよいところを学び合っていくというのが、国際交流をする上では大切だと、改めて感じさせられました。

 

ヴェクショーを出発し、お隣のアルベスタでSJ(スウェーデン鉄道)のX2000という高速列車に乗り換え、私たちはスウェーデンの首都ストックホルムに向かいました。3時間半ほどの鉄道の旅ですが、ウトウトしている間にあっという間に到着しました。ストックホルムの街に出てみると、ヴェクショーとはまた違う、大都会の雰囲気。さあ、明日はストックホルムの観光です!!

 

Tsukasa

 

2018年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2018―その4

スウェーデンの人たちの朝は、日本に比べるとちょっと早め。だいたい8時ごろから仕事を始める人が多いので、7時に朝食に行くと部屋はあっという間に一杯になってしまいました。

 

今日は9時から、知的障害のある方々が働く紙細工の工房「パッペリーアン」(Papperian)を訪問しました。ヴェクショーのメインストリートから少し入ったところにお店と工房があり、ここで作られた商品はデザインや色使いがユニークで魅力的なので、ヴェクショーの人たちからとても愛されています。オリンピアの研修では毎回欠かさず見学していますし、私も留学していたときに何度もお邪魔しました。すっかり顔なじみとなった、スタッフのモニカさんとエヴァさんが活動の様子についてお話しをしてくれました。

現在ヴェクショー市には26箇所の障害者のためのデイケアセンターがあり、そのひとつであるパッペリーアンがオープンしたのは1997年。月曜日から金曜日まで、15人の利用者が登録し、毎日8人ぐらいが通っています。複数のサービスを利用している人も多く、カフェで働いたり、演劇や歌のグループに属している人もいます。最初に4週間の体験利用を行うことによって、利用者とのミスマッチを防いでいるとのことでした。パッペリーアンの魅力はなんといってもお店があるということ。憧れのレジの仕事ができるということで人気があるそうです。このレジ、タッチパネルで商品やお金の写真を押すと自動的に計算ができるという優れもの。支払いは現金、クレジットカードのほか、携帯電話番号と銀行口座を紐付け、スマートフォンのアプリで支払いができる"Swish"にも対応していたのには驚きました。

私たちも実際に紙すきを体験させてもらったり、お店を見せてもらったりと、楽しい時間を過ごすことができました。お土産にぴったりの商品がたくさん販売されていますので、ヴェクショーにお越しの際は是非お立ち寄りください!!

 

続いてはヴェクショー市役所で、福祉部長のエヴァさん(Eva Ekman)から、福祉人材の確保と育成についてお話を伺ういました。現在ヴェクショー市の高齢化率は20%、2021年からはスピードアップすることが予測されています。この状況に対応するために、福祉部では35名のスタッフが「高齢者福祉」「障害者福祉」など9つの部署で働いています。実際のケアに目を向けると、ヴェクショーの福祉サービス現場では2,300人のスタッフが働いており、高齢者分野が1,100人、障害者部門が700人、家庭医療が120人、リハビリテーション70名となっています。ここ数年、スウェーデンも景気がいいということで、人材の確保が困難になってきています。この状況を改善するために、施設長や看護師の給料を上げたり、デジタル化を進めることによってより少ない人員で効果的なサービスを提供できるようにしたり、様々な取り組みが行われています。介護の分野においてロボットやIoTなどの技術を導入することに抵抗はないかと質問したところ、「ノーマルな生活ができるようになるためであれば抵抗はない。当事者団体にも実物を見てもらうことによって理解を深めている」という答えが返ってきました。積極的に新しいものを取り入れてよりよい社会を作っていこうという姿勢は、私たちも学ばなければならないと改めて感じさせられました。

 

スウェーデンで典型的な小エビのオープンサンドで軽く昼食を済ませたあと、急遽、ヴェクショーに最近導入されたばかりの「移動幼稚園」を見学させてもらえることになりました。野外活動をベースにしたこの幼稚園は、大型バスを改造し、20人の子どもが乗ることができるようになっています。現在、18人の子どもたちが3人の先生と運転手さんと一緒に9:00に出発し、15:00に幼稚園に戻るようになっています。今日はヴェクショーの南の方にある自然保護公園にバスを停め、子どもたちは元気に自然の中に遊びにいっていました。この移動幼稚園、ヴェクショーでもかなり話題になり、新聞などにも度々取り上げられていたということです。予定外の見学でしたが、大変貴重な経験となりました。

 

午後は、ヴェクショー出身のノーベル賞作家ペール・ラーゲルクヴィスト(Pär Lagerkvist)の名前が付けられた、ペール・ラーゲルクヴィスト・スクールを訪問しました。去年の8月にオープンしたばかりのこの学校は、小学校・中学校・こども園が併設され、将来的には1,000人の子どもを受け入れることができます。ヴェクショー市でも先進的な取り組みを行っているこの学校での実践が、他の学校のモデルとなるとのことでした。デジタル化には特に力が入れられていて、97の教室全てにプロジェクターが設置されているほか、こども園からiPadを積極的に使っています。また、各園児のレポートを親が読むことができる新しいシステムも導入されていました。昨年も訪れましたが、白樺の木材をふんだんにつかった建物はとてもスタイリッシュな北欧デザインで、この環境で勉強をすればきっと素晴らしい感性が育まれるだろうなとうらやましく思いました。

 

そして夜。リンネ大学の医療福祉学部で実習のコーディネートをしているツム(Zum Wik)さんご夫妻が、自宅へと招待してくれました。教えてもらった住所を探し当てて到着すると、とてもスウェーデン的で素敵な一軒家がありました。インテリアは家具屋さんのショールームのように素敵にアレンジされていて、長くて暗いスウェーデンの冬も楽しく過ごすことができそうな雰囲気でした。ツムさんは日本から訪れている私たちのために、「ヤンソン氏の誘惑」やスモークサーモン、ミートボールなど、スウェーデンの伝統的なクリスマス料理を用意してくれていました。スウェーデンの蒸留酒シュナップスをいただきながらお話に花が咲き、とても思い出に残るスウェーデンの夜となりました。

 

Tsukasa

2018年

11月

13日

オリンピアスウェーデン研修2018―その3

今朝は少し早めに、6時半の朝食からスタート。昨晩から降り続いていた雨もなんとかやんでくれました。

今日はまず、ヴェクショー市のゴミ収集センターを見学に行きました。「ヨーロッパで最もエコな街」と言われるヴェクショーは、ゴミの分別やリサイクル、間伐材を使った地域暖房システム、バイオガスを利用したバスの運行など、様々な取り組みを行っています。ここのセンターに持ち込まれたゴミは、空き瓶(透明・緑・茶色)、プラスチック、紙、木材など、20以上に分別して捨てることになります。DIYが盛んなスウェーデンらしく、古くなった建材なども多く捨ててありました。

 

 

9時からはヴェクショーでも大人気の野外幼稚園"Uteförskolan Äventyret"の見学。オリンピアの研修では毎年必ずコースに入ってるスポットです。今年は、昨年お子さんの病気でお休みだったヨナタン先生が案内をしてくれました。彼とももう10年近いお付き合いになりました。昨年お話を伺ったように、野外保育に特化した新園舎が2020年の夏に完成予定となっているため、現在は旧園舎が完全になくなって、プレハブの仮園舎だけになっていました。工事の期間中はやはり危険なので、ヴェクショー市の移動幼稚園を利用するとのこと。実は急遽鈴木先生がアレンジをしてくださり、明日、移動幼稚園を見学できることになりました。こちらもとても楽しみです!!

少し肌寒く感じられましたが、森の中では1歳から3歳までの子どもたちが元気よく遊び回っていました。いま、森に住む動物たちの様子を描いた絵本をテーマに活動を行っているということで、森の奥の方まで案内をしてもらいました。すると、日曜大工でも作るのが難しそうな、立派な家を子どもたちが作っているところでした。3歳の子どもであってもちゃんと危険性を理解した上で、本格的なノコギリや金槌を使っている姿からは、ひとりひとりの自主性を重んじるスウェーデン社会ならではという印象を受けました。

 

次の予定まで少し時間ができたので、ヴェクショーの北の方に位置するクロノベリィ城跡と聖シグフリッド国民高等学校を見学しました。日々すごいスピードで変化を遂げていくスウェーデンにあって、逆に変わらず残されているものに触れることができ、とても懐かしい感じがしました。

 

さて、13時からは次の見学先、ヴェクショー市が運営する高齢者施設、トフタゴーデン(Toftagården)のレストランで昼食。スウェーデンの施設には必ずレストランやカフェが併設されていて、地域の人たちが気軽に立ち寄ることができるようになっています。今日のメニューはハムとマッシュポテトかピッティパンナ。いつもスウェーデンの伝統的なメニューを楽しむことができます。

昼食を済ませると、施設長のアン・マーグレット(Ann-Margret Bohlin)さんがにこやかに出迎えてくれました。トフタゴーデンは定員9人の高齢者向けユニットが3つと、定員8人の障害者向けユニットがひとつから成り、高齢者ユニットと障害者ユニットのそれぞれに施設長がいます。今回偶然障害者ユニットの施設長が通りかかり、お話を伺うことができました。55歳から75歳の利用者が暮らすこちらのユニットでは、外部でのアクティビティや外出にも力を入れていて、週2-3回、就労支援の作業所に出かけている人もいるとのことでした。

また、トフタゴーデンは、ヴェクショー市の在宅で介護の必要な高齢者を21時から7時までカバーする、ナイトパトロールサービス(Nattpatrullen)の拠点ともなっています。こちらも偶然マネジャーのペーター(Peter Nilsson)さんにお話を伺うことができました。PCの画面上では、それぞれのスタッフが何時に誰の家に行ってどんな介護をするかが分単位で計画されていて、スマートフォンを通じて指示がいくようになっていました。介護を行った報告もスマートフォンを通じて行われ、時間の微調整などが図られるようになっています。ナイトパトロールはスタッフひとりの負担が大きくなるため、合計18名のマネジャーが年に3週間ずつ、バックアップを担います。その期間中はヴェクショーを離れられないので旅行にも行けないし、夜お酒を飲むこともできないと、ペーターさんが教えてくれました。

施設内を見学して、入居者のエヴァさんとヒレビさんのお部屋を案内してもらうことができました。どちらもお二人のこれまでの人生が凝縮したようなお部屋になっていて、ゆったりと「自分らしく」暮らしている様子が感じられました。私もスウェーデンでたくさんの施設を見学させていただきましたが、ここは本当にお気に入りの場所のひとつです。

 

見学を終えて、空き時間ができたので、またまた急に思い立って、ヴェクショーから東に40kmほど離れた、ガラス工場で有名なコスタ(Kosta)まで出かけることになりました。街は一足先にクリスマスの装いとなっていて、コスタボダ(Kosta Boda)やオレフォス(Orrefors)のアウトレットでお土産を買うことができました。

1時間ほどかけてヴェクショーに戻ると、私の15年来の友人であるハンス(Hans Parment)さんご夫妻が、私たちを自宅に招待してくれました。「私たちはミニマリストよ」と言う彼らのお家は、とてもシンプルで機能的で、まるでモデルルームのようです。お嬢さんがいま日本に留学中で、卒業式に合わせて11月の終わりに2週間、日本に来るとのことでした。お茶やケーキをいただいていると、もう一人の私の大切な友人、エリック(Erik Bratt)さんが合流してくれました。実は、ハンスはプロのフルート奏者、エリックはプロのギター奏者で、それぞれ作曲活動をしたり、学校で音楽を教えたりしています。急遽二人でセッションをしてくれました。スウェーデンの方々の温かさに触れ、とても思い出に残る夜となりました。

 

Tsukasa

2018年

11月

12日

オリンピアスウェーデン研修2018―その2

研修2日目、ヴェクショーでの最初の朝を迎えました。

日本とスウェーデンの時差は8時間。こちらの夜が日本では明け方になるので、毎年スタッフのみなさんは時差に慣れるまではなかなか寝付くことができないようです・・・。私は割と平気ですが(笑)

 

しっかりと朝ごはんを食べて、9時からホテルで、今年もこの研修をコーディネートしてくださるリンネ大学の鈴木先生と打ち合わせを行いました。毎年参加するスタッフの所属や職種、経験や関心が異なるので、それぞれに合わせたオーダーメイドの研修を組み立てていただいています。これも、前回の東京オリンピックの年(1964年)からスウェーデンに住んでおられる先生だからこそ可能なことで、オリンピアにとって大変貴重な研修となっています。

 

打ち合わせを終えると、さっそく車に乗り込んでリンネ大学へ。15年前に私が留学していた大学です。現在34,000人の学生が、150の学位プログラムと2,000のコースで学んでいます。2010年にヴェクショー大学とカルマル大学が合併し、現在の形となりました。

 

今日は、幼稚園教諭養成プログラムのコーディネーターのジュッタ先生(Jutta Lesell)と、実習コーディネーターのテレス先生(Therese Emrin Feltenstedt)から、「スウェーデンにおける幼稚園教諭養成」についてお話を伺いました。

スウェーデンでは通常、年40週のプログラムで3年修了すると学士号が取れるのですが、このプログラムは半年長く、7セメスター(3年半)で修了という形になっています。教育内容は、「教育学全般」「幼児教育」「実習」の3つのセクションに分かれおり、最初のセメスターからさっそく実習が組み込まれています。これは、早い段階で現場に触れることによって、学生のミスマッチを防ぐ目的があるとのことでした。

現在のフルタイムのコース、働きながら受講できるパートタイムのコースに加え、現役の先生を対象とした5セメスターのプログラムも準備中とのこと。また、実習先としては、スウェーデン国内はもちろんのこと、ウガンダ、オランダ、ドイツ、オーストリアなど海外を選んでいる学生もいるということでした。日本でもできるのではないかと話が盛り上がったので、もしかすると将来、オリンピアの保育園やこども園でリンネ大学の学生さんを受け入れることになるかもしれません。

 

昼食は大学の食堂、クリスティーナへ。私も留学していたとき、毎日のようにお世話になっていたところです。4種類の日替わりメニューからメインを選ぶことが可能で、今日はチキンの煮込み、白身魚のフライ、ベジタリアン用の野菜のソテー、パスタとなっていました。こちらは昼食がメインの食事なので、ボリュームに圧倒されながらも、みんな綺麗に完食していました。

 

この研修は、スウェーデンの福祉を学ぶことを目的としていますが、そのためには歴史や文化を学ぶことが欠かせません。午後からはヴェクショーとその周辺の観光に出かけることになりました。

まず最初に立ち寄ったのは、鈴木先生が「百見は一聞にしかず」と名付けた、ヴェクショーの水道塔へ。ここを通じて、ヴェクショーの街に水が送られています。でもどうしてこんな変わったネーミングなのか?それは、ぜひ現地でご確認ください!

 

続いて、ヴェクショーから南西に車で約1時間走り、「分類学の父」とも呼ばれる植物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linné)の生家を訪れました。リンネ大学の名前は彼にちなんでつけられたものです。私たちが知らない間に使っている 二名法や生物の分類法などは、実はリンネによって生み出されました。彼の父親は近くの教会の牧師だったため、当時としては割と大きな家が残されています。残念ながらオフシーズンということで、他に訪問客はおらずちょっと寂しい雰囲気でしたが、よい経験となりました。

 

私たちはさらに車で10分ほど走り、エルムフルト(Älmhult)という街に向かいました。ここは日本でもお馴染みのIKEAの第1号店がオープンした場所です。巨大なIKEAのエルムフルト店を見学したあと、もともと第1号店があった建物を利用して作られた、イケアミュージアムを訪問しました。

IKEAという名前は、創業者のイングヴァール・カンプラード(Ingvar Kamprad)と彼が育った農場エルムタリッド(Elmtaryd)、そして彼が育った街アグナリッド(Agunnaryd)の頭文字を取ってつけられました。イングヴァールが17歳で始めた雑貨店は、今や世界最大の家具量販店となりました。しかし、彼らはその理念として「優れたデザインとは、形、機能性、品質、サステナビリティ、低価格を兼ね備えなければならない」という"Democratic Design"の考え方を大切にしています。すなわち、優れたデザインが一部の人のためだけにあるのではなく、全ての人のためにあるべきだということです。これは、ノーマライゼーションの理念にも通じる考え方だと、改めて感じさせられました。

 

その後、また1時間ほどかけてホテルに戻って夕食。夕食後は街のスーパーマーケットに出かけて、スウェーデンの人たちの普段の食生活についても見てもらうことができました。明日からタフなスケジュールということもあり、今日はちょっと早めに解散となりました。

 

Tsukasa

2018年

11月

11日

オリンピアスウェーデン研修2018―その1

気がつけば、あっという間に1年が過ぎ、今年もスウェーデン研修の季節がやってきました。

ブログを書くのも1年ぶりとなってしまいました・・・。

 

今年の研修には、オリンピア兵庫の陳さん、オリンピア神戸北保育園の仲内さん、オリンピア住吉の尾上さんの3人が参加することになりました。実は、陳さんは日本に永住しているのですが、中国籍ということでスウェーデン入国にはビザが必要となります。様々な書類を用意して、東京のスウェーデン大使館に面接に行ってもらってと、なかなか苦労しましたが、出発の5日前に無事にビザが届きました!!

 

ちょうどこの研修の準備をしていた頃、台風21号が近畿地方を直撃し、関西国際空港が一時は利用できなくなるような状況になりました。いまはほぼ正常通りに動いているのですが、当時は状況がわからなかったということもあり、今年のフライトは、スカンジナビア航空(SAS)の成田―コペンハーゲン便を初めて使うことになりました。

 

なんとか仕事を片付けて、朝、6時50分に伊丹空港に元気に集合した私達は、7:50発のANA2176便で成田空港に向かいました。国内線ではありますが、機体はB777の国際線仕様だったので、すでに海外に向かう雰囲気はバッチリです。

1時間少しの快適なフライトで、成田空港に到着。出国手続を済ませ、空港内をいろいろと見て回りました。インバウンドの増加を受けて、成田空港も設備やショップがかなり充実してきています。羽田空港の国際線も大幅に増加していますし、私も東京経由で海外に行くことが増えてきました。関西ももう少しがんばらなければと、改めて感じさせられます。

 

31番ゲートに着くと、すでに飛行機はスタンバイ状態。周りではちらほらスウェーデン語も飛び交っていて、ワクワクしてきました。機内はシンプルな北欧デザインでまとめられ、毎年利用していたフィンエアーとはひと味違った雰囲気です。

 

―そして出発。約11時間半の空の旅は非常に快適で、気がつけばデンマークのコペンハーゲン、カストラップ国際空港に到着しました。例年だとここから乗り継ぎがあるので、その分ちょっと楽に感じられます。

毎年スタッフがドキドキの入国審査なのですが、今回の担当の審査官の人はとても優しく「あとの3人は一緒のグループだから」と伝えておくと、とてもにこやかに対応してくれました。

 

コペンハーゲンから研修の地、スウェーデンのヴェクショーまでは、通常であれば電車で2時間半。ところが、昨年に引き続き、終末は線路の工事が行われていて、ルンド(Lund)からヘッセルホルム(Hässleholm)までは代替バスで移動しなければなりません。1時間ほどバスに乗って目的地へ。ここからアルベスタ(Alvesta)経由でヴェクショーにようやくたどり着きました。

しかし、駅に到着してビックリ!! 駅舎は新しくなっているし、マンションは立ち並んでいるし、1年前とかなり雰囲気が変わっていました。さすが、ストックホルムと並んで人口の増加が続いているヴェクショーの勢いを感じさせられました。

 

ホテルは、毎年お世話になっている駅前の"Clarion Collection Hotel Cardinal"。21時過ぎに到着したので本当は夕食の時間は終わっていたのですが、「お腹すいてるんじゃない?」とチェックインを後回しにして食事をさせてもらうことができました。早速スウェーデンの人達の優しさに触れることができた、研修のスタートとなりました。

 

Tsukasa

2017年

11月

16日

オリンピアスウェーデン研修2017―その5

気がつけば、あっという間にヴェクショーで迎える最後の朝となりました。いつものことながら、充実した時間が過ぎるのはとても早く感じます。

朝食を済ませて、車に荷物を積み込み、野外幼稚園"Uteförskolan Äventyret" に向かいました。1日の大半を森の中で過ごす、ヴェクショーでも大人気の幼稚園です。いつも私たちの見学を担当してくれているヨナタン先生が、お子さんの病気でお休みになったので、代わりにヨハンナ先生が案内をしてくれました。今朝のヴェクショーはかなり冷え込んでいて、見学をしている私たちはガタガタ震えていたのですが、子どもたちはどこ吹く風。しっかり防寒着を着込んで、全身泥だらけになりながら、走り回ったり飛び回ったりしていました。この野外幼稚園、11年前に地域のスポーツクラブの建物を改造してオープンしましたが、この度、新しい建物に立て直すことが決まり、子どもたちはプレハブの建物を利用していました。これから、2020年のオープンに向けて、先生や保護者、そして子どもたちの意見を取り入れながら、スウェーデンで初めての野外幼稚園専用の建物ができるそうです。今からとても楽しみですね。

毎年訪れているこの幼稚園ですが、今回とても面白い話を聞きました。ヨハンナ先生によると、ここに子どもを預けている親には3つのタイプがあるそうです。1つ目は、病気がちな子どもの健康のために選ぶ人たち。2つ目は、親がアウトドアが大好きで、子どもにも経験をさせたい人たち。そして3つ目は、親はアウトドアが嫌いで自分たちで経験させたくないから、幼稚園に任せている人たち。何か日本にも通じるところがあるような気がして、思わず笑ってしまいました。

 

見学の後、リンネ大学に行って、看護福祉学部のソーシャルワークのコースの国際交流の担当の方と打ち合わせをしました。現在こちらでは、5週間の海外実習プログラムを行っていて、日本での受け入れをしてもらえないかというお話でした。4週間、日本の様々な福祉サービスの現場で学び、1週間は観光もできるというステキなプログラム。きっとオリンピアのスタッフたちにとっても良い刺激となりそうなので、喜んで協力したいとお伝えしました。うまくいけば来年の秋、学生さんを受け入れることになりそうです。

このリンネ大学、敷地内にはテレボーイ城(Teleborgs Slott)というお城があります。現在はレストラン、ホテル、会議場として利用されていて、ヴェクショーの人たちにとっても人気のスポットとなっています。せっかくだからということで、予約をしてランチを取ることにしたのですが、私たちが行ってすぐに満席になってしまいました。今日のランチはチキンのグリルか魚のスープ。料理の味も雰囲気も、最高の場所です。機会があればぜひお越しください!http://www.teleborgsslott.com/

 

午後からは、この研修では初めての訪問となる、ヴィーカホルムこども園(Vikaholms Förskola)を訪問しました。こちらの園長のイングリッドさんは、以前別のこども園の見学でお世話になっていた先生です。これまでにもたくさんの日本からの見学に対応してこられたので、とてもわかりやすく説明、案内をしてくださいました。ここのこども園でもテーマを用いた保育が行われていて、今年のテーマは「体」。それぞれの年齢に応じたレベルで、自分たちの体について勉強をしたり、体の絵を描いたり模型を作ったりしていました。ちょうどおやつの時間だったのですが、小さな子どもでも自分でサンドイッチを取りに行ったり、牛乳を入れたりと、ちょっとしたことでも「自分のことは自分でやる」ということが徹底されていました。

こちらの保育を見ていて驚かされるのは、iPadやディスプレイなど、様々なデジタル機器を小さな子どもたちに対しても積極的に使っているということ。新しいものをどんどん取り入れて、常に今よりも一歩先へ行こうとするスウェーデンのすごさが、こんなところでも垣間見られるような気がします。

 

見学の後は、4日間活躍してくれた、レンタカーのVolvo V90にガソリンを入れて精算をし、電車の出発までの時間、スモーランド博物館の中にある居酒屋「もし」で鈴木先生と一緒に最後のFikaをすることにしました。今回もお忙しい中、研修のアレンジ、案内、通訳をしてくださった鈴木先生には感謝の気持ちでいっぱいです。春にはまた日本に来られるそうなので、これまで研修に行ったメンバーで集まって、同窓会ができればいいなと思います。

 

さて、私たちは、ヴェクショーからアルベスタに行き、ストックホルム行きの高速鉄道SJ2000に乗り換え、一路スウェーデンの首都ストックホルムへ。最初の電車が遅れたせいで、アルベスタでスーツケースを持った乗客たちが猛ダッシュをしなければならないというハプニングもありましたが、研修の疲れからか、3時間半ウトウトしている間にあっという間に到着していました。

さあ、明日はいよいよお楽しみのストックホルム観光です!!

 

Tsukasa

2017年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2017―その4

今日も曇り空のヴェクショーの朝。7時に朝食のレストランに行ってみると、もうすでに満席。スウェーデンの職場では8時始業のケースが多く、出張でヴェクショーに来ている人たちも早くから準備をしています。人口9万人ほどのヴェクショーですが、実は8,000もの企業が集まっています。その多くは中小企業で、最近はIT関係の会社が増えているとのこと。ホテルでも、スウェーデン語だけでなく、英語やドイツ語など、さまざまな言葉が飛び交っています。私たちはもちろん日本語でしゃべっているわけですが・・・。

 

さて今日の最初のプログラムは、私の15年来の友人のエリック(Erik Bratt)が勤める、隣町アルベスタ(Alvesta)の小学校の訪問。電車の乗り継ぎ駅として多くの人が行き交うアルベスタですが、人口は2万人弱の小さな街です。教えられた住所を頼りに、15分ほど車を走らせていると、小学校は簡単に見つかりました。昔は地図を片手に目的地にたどり着くのに苦労しましたが、いまはGoogle Mapが世界中どこに行ってもナビをしてくれるので、海外での運転もだいぶ楽になりました。

約束の9時半に学校を訪れると、なんとエリックはいません!! 先生たちに聞いてみると、急に病気で休んだ先生のフォローで、子ども達をプールに連れて行っているとのこと(もちろん室内プールですが)。みなさん代わる代わる電話をしたりしてくれているのですが、つながりません。途方にくれていると、キャロラインという一人の若い先生が、案内役を買って出てくれました。小学校の各学年、6歳児を対象としたプレスクールの授業の様子や、子どもたちの遊ぶ様子を、丁寧に説明しながら案内してくれました。プレスクールの子どもたちは、昨日消防署に見学に行ってきたそうで、今日は消防車の絵を描いたり、もし家が火事になったらどうやって消防署に電話をするかという話し合いをしたりしていました。

子どもたちにとって日本人のお客さんはよほど珍しかったようで、すぐにみんなが集まってきて質問攻めにあいました。英語が出来る子は英語で話をしてくれたり、「こんにちは」「さようなら」と日本語を知っている子は日本語で話しかけてくれたりしました。

さらには先生たちの休憩室でコーヒーまで出してもらってくつろいでいると、やっとエリックが戻ってきました。いまは年に1回しか会うことができませんが、お互いに顔を合わせるとすぐに15年前にタイムスリップすることができるような、そんなステキな関係です。

 

アルベスタで一番有名なカフェといえば、「Cafe St.Clair」でしょう。日本からやってきたのマスミさんとご主人のエマニュエルさんが夫婦で営んでいる、スウェーデン風日本風カフェです。日本風の「おもてなし」はスウェーデンの人たちの心をしっかりとつかんでいるようで、今日も12時からは予約で満席。それまでの間にランチをいただくことにしました。今日のメニューはなんと「ヘラジカとシカのシチュー」。3人のスタッフにとっては初体験のヘラジカでしたが、臭みをうまくおさえてうまみが引き出されていて、大満足のランチとなりました。お礼にオリンピアのマスコットキャラクター、ヘラジカのエリィくんのトートバッグを差し上げてきました(笑)12月に日本に来られるときには、神戸を訪問してくれるとのこと。いまから楽しみがひとつ増えました!!

 

午後は、高齢者福祉や障害者福祉の現場で働くアンダーナース(Undersköterska)の養成を行っている、職業訓練学校"Lermia"を訪問し、講師のアンネ(Anne Purell)さんから認知症ケア教育についてのお話を伺いました。認知症の方のグループホームを最初に始めたスウェーデンで、どのような教育が行われているのか、ぜひ聞いてみたいということで、今年初めてプログラムに入れてもらいました。

こちらの学校では、いまも働いている生徒が多いため、教育の多くの部分はオンラインで行われています。そのため入学時期もバラバラで、現時点で101名の生徒がいるとのことです。彼らは28ヶ月をかけて1,400ポイントを取得し、卒業します。厳密に言うと、アンダーナースは資格の名前ではなく、養成課程を卒業した生徒が就職して初めてアンダーナースとなることができます。アンダーナースでなくても働くことはできますが、多くのコミューンで、正規採用はなかなかされていないのが現状です。現在、コミューンで働いている無資格の介護士が30名、特別枠で勉強をしているそうです。残念ながら、スウェーデンにおいても介護の仕事は待遇のよい仕事ではありません。でも、現在学んでいる学生の多くは、介護の仕事に興味をもって来てくれているとのことでした。

オンラインでの教育は、与えられた課題に対するレポートの提出を中心に行われます。具体的な架空の事例に基づいたレポートや、実習に行ったときに接した利用者さんに関するレポートなど、実践的な内容になっているのが印象的でした。提出されたレポートは、コンピュータのプログラムによって自動的に、他の生徒のレポートや過去のレポート、論文や本、Web上の記事と何パーセント一致するかがチェックされます。盗用に対して非常に厳しく対処がなされています。日本の大学も見習わなければ・・・。

アンダーナースの教育は高等学校レベルですが、コース修了のためには卒業論文を書かなければなりません。理論に基づいた本格的な論文を書くそうで、しっかりと論理的な思考力を身につけた上で介護の仕事に就くのは心強いことですね。

 

さて、今日のプログラムを終えた私たちは、1時間ほど東に車を走らせて、コスタ(Kosta)という街に向かいました。「ガラスの王国」として有名な、スモーランド地方のこの地域には、たくさんのガラス工場が集まっていて、夏の時期には多くの観光客が訪れます。私たちも、1960年代、70年代のアンティークのガラス製品の掘り出し物を見つけたり、有名なコスタボダ(Kosta Boda)やオレフォス(Orrefors)のアウトレットでお土産を探したりしました。様々なイルミネーションで彩られたガラス工場は、すっかりクリスマスの装いでした。

今日はヴェクショー最後の夜。ホテルに戻って夕食を済ませた後、新しくできた"Chapter House"というパブに行ってみました(http://www.chapterhouse.se/)。各国から集めたクラフトビールが売りのお店で、これからヴェクショーの人気スポットになりそうです。冷たい夜風に吹かれながら、少し街中を散策し、長かった1日も終わりを迎えました。

さあ、明日はいよいよヴェクショー最終日です。

 

Tsukasa

2017年

11月

14日

オリンピアスウェーデン研修2017―その3

昨日とは打って変わってどんよりとした曇り空のヴェクショーの朝。窓から外を見ていると、とても寒そうな格好で通勤の人たちが歩いています。この時期のスウェーデンはこのお天気が標準なのですが、神戸からやってきた私たちには少しこたえますね・・・。

 

昨日より早めの朝食を終えてまず向かったのはリンネ大学。15年前に私が留学していたヴェクショー大学はカルマル大学と合併して現在リンネ大学となっています。毎年お世話になっている私の恩師、クリスティーナ先生から、「スウェーデンの高齢者福祉」と題してミニ講義をしてもらいました。長年高齢者介護の現場でもマネジャーをしていた彼女の話はとても実践に即していて、いつも勉強になります。特に近年の動向として、予算削減の中でホームヘルプサービスが減らされていった結果、再び家族が高齢者のケアにおいて重要な役割を果たすようになったとのこと。「日本は家族が介護する歴史があったけど、スウェーデンは長年家族は介護をしていなかったから、いま大変なのよ」とお話ししてくれました。実は彼女、10年ほど前に日本に来られたことがあり、オリンピアの各施設をご案内しました。西塚くんとはそのとき以来の再会ということで、改めて時の流れの速さを感じさせられました。

 

大学のパブでランチを済ませた後は、ヴェクショーで最新の高齢者施設、"Humana Södra Järnvägsgatan" を訪問しました。ここは「Humana」という大手の民間事業者が運営委託をされている施設で、今年の6月にオープンしたばかりです。出迎えてくれたマリソール(Marisol)さんは、以前他の民営の施設を見学したときに案内してくれた方。新しい環境でチャレンジがしたくてこちらに転職し、現在は施設の2つのフロアの責任者をされています。各階に9名のユニットが2つずつ配置された4階建てで、計72名の入居者の方が入れるようになっています。いまのところ、半分ぐらいの方が入居されていました。

建物に入ってまず驚いたのは、その広さとデザインのセンス。どこのインテリアショップに来たのだろうかと錯覚するぐらい、オシャレに北欧デザインでまとめられていました。各居室も39.3㎡あり、リビング、バス・トイレ、ミニキッチン完備。天井がとても高くゆったりした空間で、介護リフト用のレールも備え付けられていました。各居室はスマートキーになっていて、ドアのカギの開け閉めや、薬の管理などは全てスタッフが持っているスマートフォンで行うことができます。施設内にはデジタルサイネージのパネルが何枚も配置され、1週間の食事のメニューや、アクティビティのプログラムなどの情報が流れていました。

スタッフは最終的には60-75名程度になる予定とのこと。バラツキがあるのは、スウェーデンの介護現場で働く人たちは、フルタイムではない方も多いから。こちらでも、フルタイムの50%-90%の仕事をしている人たちがいます。こちらのスタッフ数は、「ここでの仕事にどれだけの人数が必要か」によって施設が決めています。人員配置基準が厳格に定められている日本と比べると、非常に効率的に運営することが可能になります。

今日も引っ越し屋さんが新しく入居される方の荷物を運び込んでいて、これからどんな施設になっていくのかがとても楽しみなところです。

 

さて、次の訪問先は、ヴェクショー・コミューンが運営するホームヘルプサービスの事務所。この事務所があるダルボという地区は、実は私が15年前に留学していたときに住んでいた寮があるところ。久しぶりに行ってみましたが、当時と全く変わらない様子で、懐かしい思い出がいろいろと蘇ってきました。

ここには2棟の高齢者住宅があり、現在、このステーションのヘルパーさんたちは、この住宅の中でのみサービスを提供しています。お話しをしてくれたのはマネジャーのマリー(Marie Skoglund Hansson)さん。彼女は着任して14ヶ月ですが、これまでにヴェクショーの内外で様々な福祉の仕事をしてきた経験があるほか、一時期は道路標識を作る会社を経営していたこともあるという、異色の経歴の持ち主でした。

現在26名のスタッフが働いていて、そのうち6名が夜間専門。その中に1名のリーダーと、2名の兼任プランナーがいるとのことです。スウェーデンのホームヘルプサービスは社会サービス法に基づいて提供されるのですが、常に法律に適合しているかを照らし合わせるために、コミューンには法律の解釈を教えてくれる部署があるそうです。

ホームヘルプサービスにおいてもデジタル化はかなり進んでいて、ヘルパーさんたちは1人1台スマートフォンを持ち、サービス内容の指示を受けたり、提供したサービスや、利用者の方々の様子を記録したりしています。近年の財政状況の影響でヘルパーの仕事はかなりタイトになっていて、夜間の見守りなどは2分単位で仕事の指示が入っています。そんな時に大切なのが、いかに労働環境を整えるかということ。マリーさんはそこが最も重要な仕事だとおっしゃっていました。実際に現場のヘルパーさんたちともお話しをしましたが、彼女がとても信頼されているということがとてもよく伝わってきました。

それにしても驚いたのは、マネジャーとして仕事をするために、30以上のコンピュータのプログラムを駆使しているということ。いくつかのプログラムを見せてもらいましたが、ここまできめ細かくマネジメントができていれば、よいサービスが提供できるのは当然、といった印象を受けました。日本がまだまだ学ばなければならない分野だと思いました。

 

充実した研修を終えてホテルに戻った後、私の友人のハンス(Hans Parment)さんがお家に招待してくれました。彼とは空手を通じて知り合って、15年のお付き合いになります。いまはヴェクショー・コミューンのカルチャースクールで、子ども達にフルートや作曲を教えているほか、音楽プロデューサーとしても活躍しています。ケーキとお茶を楽しみながら、フルートの演奏をしてくれたり、スウェーデンの文化や歴史についても面白い話をたくさんしてくれました。そうこうしていると奥さんのウリーカ(Ulika)さんが帰宅。彼女はいまヨガ教室を開いて先生をしています。お嬢さんの結婚式の写真を見せてもらったり、二人の馴れ初め話を聞いたりと、あっという間にとても楽しい時間は過ぎていきました。

 

Tsukasa

2017年

11月

13日

オリンピアスウェーデン研修2017―その2

ちょっと肌寒いなと思ってヴェクショーで迎えた朝、気温は-4℃。北欧の長い冬の始まりを感じさせられるお天気です。スウェーデンと日本の時差は8時間。こちらの深夜が日本ではお昼頃になるので、疲れているはずなのに何度も目が覚めてしまうのは仕方ないですね。

7時半に朝食を取り、9時半に今年も研修をコーディネートしてくださっている、リンネ大学の鈴木満先生と合流し、研修スケジュールの打ち合わせを行いました。今年は色々と新しい訪問先をお願いしたこともあり、ギリギリまで調整をしてくださっていました。お楽しみに!

さて、今年の研修のスタートは、毎年欠かさず訪問している、知的障害者の方々が働いている工房パッペリーアン(Papperian)。すっかり顔なじみになったスタッフのモニカさんが、ここでの活動の様子を説明してくれました。まずは、地下の作業場で、コミューンの印刷工場から出た不要な紙を水に浸して撹拌し、紙すき・脱水・乾燥をして、色とりどりの紙を製作します。それを1Fの作業場で、ポストカードや封筒など、様々な商品に加工していきます。いまはちょうどクリスマスカード作りの真っ最中。たくさんのサンタクロースが描かれたカードや包装紙が、ところ狭しと並んでいました。今日はちょっと利用者のみなさんが少ないと思って聞いてみると、月曜日の午前中は成人教育の学校に通っている人が多いとのこと。前のセメスターからの試みで、お店での商品の販売などの対応も学んでいるそうです。毎年訪れていても常に新しいことにチャレンジしている姿は、とても刺激になります。パッペリーアンもオープンしてから今年で20年。12月にはお祝いのパーティが催されるとのことです。

 

さて、今日のランチはこちらもお馴染みの高齢者施設、トフタゴーデン(Toftagården)のレストランで。スウェーデンの施設には必ずレストランやカフェが併設されていて、地域の人たちが気軽に立ち寄ることができるようになっています。今日のメニューはハンバーグか魚のシチュー。「ジャガイモはいくつ?」と聞かれるのが定番です(笑)

お腹もいっぱいになってすっかり温まったところで、施設長のアン・マリーさんからお話を伺いました。トフタゴーデンは、4つのユニット、計35室で構成されていて、3つのユニットは高齢者の、もうひとつのユニットは、身体障害のある方のためのユニットになっています。中を見学させてもらうと、インテリアのセンスの高さにビックリ。オープンから11年経つとは思えないほど、とてもキレイに整えられています。今年87歳になられる入居者のエヴァさんにお話を伺うと、「ここにいると毎年若くなっていくわ」とのこと。使い慣れた家具や思い出の品に囲まれて、とても穏やかに暮らしておられたのが印象的でした。トフタゴーデンは平屋建てで従業員のケアにも力を入れていて、人気のある職場とのこと。オープン時からのスタッフも何人か頑張っているようです。

 

15時からは、ペール・ラーゲルクヴィスト・スクール(Pär Lagerkvist Skola)に見学に行く予定だったのですが、見学の担当の方が体調不良でキャンセルに。半ば諦めていたところ、鈴木先生がコンタクトをとってくださり、ヴェクショーの西部地区の教育長、アンダシュ・シェーデル(Anders Tjäder)さんが16時から案内をしてくださることになりました。

この空き時間を利用して、ヴェクショーの市内観光に。鈴木先生が「百見は一聞にしかず」と名付けた水道塔や、エヴェダール湖、クロノヴェリィ城跡などを巡りました。ヴェクショー(Växjö)の"Väx"は道、"jö"は湖を意味するように、交通の要所で湖が多いのがヴェクショーの特徴。ひんやりとした空気の中で、湖の美しさが際立っていました。

 

そして16時にペール・ラーゲルクヴィスト・スクールを訪問。ヴェクショー出身のノーベル賞作家ペール・ラーゲルクヴィスト(Pär Lagerkvist)の名前が付けられたこの学校は、小学校・中学校・こども園が併設され、今年の8月にオープンしました。今回はこども園を中心に見学させてもらいましたが、どの部屋も白樺の木材をふんだんに使った北欧デザインで、勉強したり遊んだりしたりすることが楽しみで仕方ない!!と思えるような、素晴らしい環境でした。

こども園の部門では、レッジォ・エミリア・アプローチをはじめとした様々な教育法を組み合わせた独自のアプローチをするために、建物の設計や組織の編成など5年前から準備を進めてきたとのこと。3-5歳の子ども達には「創造」「科学」「言語」のそれぞれのテーマの部屋が用意され、自由に行き来をして学びを深めることができることになっています。そしてここにももちろん、屋外でお昼寝をするスペースが完備されています。スウェーデンではどこのこども園にもあるのですが、いくら防寒するとは言えこの寒さの中で寝るのはちょっと勇気がいりそうです。とても健康によいそうですが・・・。

それにしても驚かされたのは、アンダシュさんが学校の隅々まで詳しく分かっていて、案内をしてくださったこと。このポジションにいる方にこのような理解があるということが、スウェーデンで素早い意志決定やアクションを行うことができる秘密のひとつなんだということを、改めて感じさせられました。

 

ホテルに戻って今日のディナーのメニューは、鶏肉のハーブ風味。お腹がいっぱいになった後は、ハードな研修の疲れもあって、早めに解散となりました。さあ、明日はどんな1日になるのでしょうか?

 

Tsukasa

2017年

11月

12日

オリンピアスウェーデン研修2017―その1

ブログを1回も更新しないままあっという間に1年が過ぎ、今年もオリンピアのスウェーデン研修の季節がやってきました。「スウェーデンのときだけ書くブログ」と言われているので、来年こそは充実させていきたいと、(毎年)思っています(笑)

さて、今年の参加者は、オリンピア兵庫のグループホーム管理者の西塚くん、同じくヘルパーステーションのサービス提供責任者の南さん、そしてオリンピア神戸北保育園の保育士の影山さんです。

 

いつものように関西国際空港の4F、出発ロビーで集合・・・したのですが、西塚くんの軽装を見てビックリ!いまから北欧の地に行くんですよー。ちなみにブログを書いているいま、ヴェクショーの気温は-4℃です。

秋の行楽シーズン、日曜日の朝ということもあって、毎年出発のときは旅行者でいっぱいの関空ですが、今年はいつもに増して人が多いような感じです。ここで威力を発揮するのが、去年から導入した「KIX-ITM Global Business Club」のカード。Fast Laneで手荷物検査もラクラクです。

 

今年も例年通り、フィンランド航空78便でまずヘルシンキへ。エアバスA330-300、今年は残念ながらマリメッコ塗装ではなかったのですが、こうやって見ると、ワイドボディが際立ちますね。機内がゆったりとしているので、長時間のフライトのときは助かります。

ここ数年、フィンランド航空はマリメッコ社とコラボレーションをしているので、機内のアメニティグッズなどは全て"marimekko for FINNAIR" のものが使われています。機内販売限定の食器などは、今シーズンから新しいデザインになりました。北欧ファンのみなさんは要チェックですね。 

 

快適な10時間のフライト終えて、私たちはヘルシンキのヴァンター国際空港に到着。北欧デザインでまとめられた、シンプルでコンパクトな空港を散策して、乗り継ぎまでの時間を過ごしました。日本人の観光客に人気なのはやはりマリメッコとムーミンショップ。フィンランドマニアの南さんにいろいろと教えてもらって、とても勉強になりました。

小さな飛行機に乗り換え、1時間半のフライトでコペンハーゲンのカストラップ国際空港に到着。こちらもまたデンマークらしいデザインで、北欧の玄関口となっているハブ空港です。とにかく広くて面白いお店がたくさんあるので、預け入れ荷物を受け取るターンテーブルまでなかなかたどり着くことができません(笑)

 

さて、ここからデンマークとスウェーデンをつなぐオーレスン・リンク(Øresund link)という橋を渡って電車1本でヴェクショーに向かう、というのがいつものコースなのですが、今年は線路の工事のため、途中の区間が通れません。とりあえず大学街として有名なルンド(Lund)でバスに乗り換えて、そこから1時間半かけてヘッスレホルム(Hässleholm)へ。そしてまた電車に乗り換えてヴェクショーへと、いつもより1時間近く長い移動となりました。

結局、駅前の"Clarion Collection Hotel Cardinal"に到着したのはもう23時過ぎ。関空で集合してから実に21時間以上の移動となりました。長旅の疲れをしっかりとって、明日からの研修に備えましょう!!

 

Tsukasa

2016年

11月

06日

オリンピアスウェーデン研修2016―その7

あっという間の1週間。充実した研修も最後の朝を迎えました。

ニシンの酢漬けやスウェディッシュパンケーキ、美味しいジャムやパンと濃いめのコーヒーともしばらくお別れということで、いつも以上に食べてしまう朝食となりました。

 

ストックホルム市内からアーランダ国際空港へは、アーランダエクスプレス(Arlanda Express)でたったの20分。大人ひとり280SEKのチケットが、週末のグループチケットを使うと4人でなんと500SEK!! スウェーデンではこのような旅行者にやさしいオファーがたくさんあるので、要チェックです。

 

Finnairはターミナル2から出発。シンプルでわかりやすいターミナルですので、迷う心配はありません。空き時間を利用して、スウェーデン式にコーヒーを飲みながら、4人でこの研修の振り返りを行いました。

みんながそれぞれ感じていたのが、スウェーデンという国のすごさ。今回は介護士、保育士、栄養士とバックグラウンドが異なる3人が参加しましたが、スウェーデンがどの分野においてもエビデンスに基づいて最も効果的なアクションを着実に実行に移している点は、まだまだ日本が学ばなければならないと感じたようです。

研修は今日で終わりますが、この学びを明日から日々の仕事に生かしていくことが、研修の価値を決めることになりますね。

 

さてさて、この研修で一番のいいお天気の中、1時間弱のフライトで、フィンランドのヘルシンキ・ヴァンター国際空港に到着しました。こちらはちょっと冷え込んでいて、空港は一面雪景色。気温も-4℃となっていました。ゲートに近づくとあちらこちらから日本語が聞こえてきます。ヘルシンキが日本から最短最速のヨーロッパの玄関口ということもあり、Finnairは北欧だけでなくヨーロッパへの旅行に人気急上昇中です。

少し遅れもありましたが、9時間半のフライトはあっという間。無事に関西国際空港へと戻ってきました。

 

さあ、日常の生活が戻ってきます。スウェーデンに負けないステキな社会を目指して、がんばりたいと思います!!

 

Tsukasa

2016年

11月

04日

オリンピアスウェーデン研修2016―その6

スウェーデンの子どもたちは、いま秋休みの真っ最中。Nordic C Hotelはスウェーデン中からの旅行客でいっぱいです。朝食のときに隣のテーブルに座っていたのは、おじいちゃん・おばあちゃんと孫ふたりのグループ。こういう光景はどこの国でも同じですね。

 

さて、今日はおたのしみのストックホルム観光。まず最初に訪れたのは、ストックホルムでは欠かせない市庁舎のガイドツアーです。ストックホルムを象徴するこの建物は、スウェーデンの建築家、ラグナル・エストベリ(Ragnar Östberg)によって設計され、1911年から1923年にかけて建築されました。ナショナル・ロマンティックスタイルで構成され、イタリアのルネッサンス様式の影響も随所に感じられます。ノーベル賞の記念晩餐会の会場として有名な「ブルーホール」には、1万本のパイプと135のストップを備えるスカンジナビア最大のパイプオルガンが設置されています。もうひとつ有名なのが、エイナール・フォルセッツ(Einar Forseth)によってガラスと金箔のモザイクでスウェーデンの歴史が描かれた「ゴールデンルーム」。ノーベル賞記念晩餐会のあと、舞踏会が行われる部屋でもあります。実はこのふたつの部屋、企業などがパーティ会場として借りられるそうで、お値段はブルーホールが6,000ユーロ。意外にお手頃な値段でビックリしました。

 

続いてはノーベル博物館へ。今年も医学・生理学賞を大隅良典さんが受賞されるということで、日本のテレビでも度々話題になっているノーベル賞。アルフレッド・ノーベルの生い立ちや、これまでの受賞者の研究成果について、楽しく学ぶことができます。ここのカフェの椅子の裏側に受賞者がサインをするのが恒例行事。今回も様々なサインを見つけることができました。実はいま、「ノーベルセンター」が2019年の完成を目指して建築されています。完成すれば、授賞式はノーベルセンターで行われるようになるということです。研修の新しいコースになりそうですね。http://www.nobelcenter.se/

 

さて、今年の研修は「食文化からもスウェーデンを学ぼう」ということで、昼食は現存する北欧最古のレストランとも言われる、1722年創業の「デン・ギュルデネ・フレーデン」(Den Gyldene Freden)へ。ここはいま話題のノーベル文学賞の選考を行うスウェーデン・アカデミーの人たちが集う店としても有名です。ランチタイムは超満員で、予約がないと入れないほど。日替わりランチは、仔牛のミートボールかタラのソテー。私が選んだタラはとても上品な味付けで、大満足でした。驚いたのは、こんな老舗であっても簡単にインターネットで予約ができるということ。お立ち寄りの際は、こちらからどうぞ(スウェーデン語のページしかありませんが・・・)。http://www.gyldenefreden.se/

 

お昼からは、大聖堂を見学したり、旧市街(ガムラ・スタン)でショッピングを楽しんだり。毎年訪れているこのあたりですが、新しい店をいくつか見つけることができました。そのうちのひとつが、KRAVというスウェーデンの認定のオーガニック食品にこだわっているカフェ。KRAVに認定された肉や乳製品のほか、子ども向けの食育の絵本もあり、スウェーデンの食の安心・安全へのこだわりを改めて感じさせられました。

 

さて、今回のストックホルム観光でもうひとつ楽しみにしていたのが、ストックホルムの台所、エステルマルム市場(Östermalms Saluhall)。ところが、行ってみると工事中ではありませんか!! 2018年完成とあってがっかりしましたが、隣を見てみると仮設の市場が。仮設と言っても非常に立派な建物で、いつも通りの活気がありました。中に入ると、新鮮な肉・乳製品・魚介類・野菜・スイーツ・・・となんでも揃うお店がたくさん。レストランやイートインコーナーもあり、私たちも地元の人たちに混じって、サーモンのマリネやサラダを楽しみました。その盛り上がりようといったら、お客さんみんなが友達になっちゃうんじゃないか、というほどでした。

 

そして夕食は、ホテルで紹介してもらった、スウェーデンの伝統料理のお店 "KNUT" へ。お目当てはもちろん、ヘラジカのハンバーグです。とても気さくな店員のお兄さんが運んできたハンバーグは、ボリュームたっぷり。小さなビンに入った自家製のリンゴンソースが、ひとりにひとつ付いていました。味は、ヘラジカの独特の臭みは全くなく、とてもジューシーでやみつきになりそうな感じ。ストックホルムでの定番のお店がまたひとつ増えそうです。http://restaurangknut.se/knut-restaurang/

さあ、充実したスウェーデン研修もいよいよ終わりを迎えようとしています。明日は日本に向けて出発です!!

 

Tsukasa 

2016年

11月

03日

オリンピアスウェーデン研修2016―その5

ヴェクショーで迎える最後の朝。空を見上げると、充実した研修の締めくくりにふさわしい、澄み切った青空が広がっていました。Hotel Cardinalの朝食ともしばらくお別れです。

 

チェックアウトを済ませた私たちは、知的障害を持つ人たちの働く紙工房パッペリーアン(Papperian)を訪問しました。ヴェクショー市の障害福祉サービスのひとつであるこの場所は、街のメインストリートのすぐ北側に位置し、オシャレなショップが併設されていることもあって、一般の方や観光客にも大人気のスポットです。活動の様子についてお話を伺ったあと、工房の地下に移動して、紙漉きの工程を見せてもらうことができました。材料となる紙は市の印刷工場などで不要になったもの。細かく粉砕して水に溶かしたものを、木枠を使って漉いたあと、大きなプレス機を使って2度脱水し、鉄板に貼り付けて乾燥させます。この作業にオリンピアの3人も挑戦!! 完成したら送っていただくことになりました。

実はこのパッペリーアン、スウェーデンを代表する某企業との共同プロジェクトが進行中です。みなさんにお伝えできないのは残念ですが、2019年2月にお披露目されるとのこと。しばらくお待ちください!!

 

昼食までの時間を利用して、14年前に私が留学していたリンネ大学を訪れました。スッキリとした北欧デザインでまとめられた建物内は、日本の大学とは別世界のような雰囲気。前期、大阪大学で私が講義を担当していた交換留学生にも会って色々と話を聞くことができました。元気そうな様子に、こちらも一安心です。

さて、このリンネ大学の敷地内には、テレボーイ城(Teleborgs Slott)というお城があります。実はこのお城、現在はホテルとレストランとして営業しているので、ここでランチをいただくことになりました。ちょうど博士論文を提出した人のお祝いの会が開かれていて、正装したお客さんたちはお城の雰囲気にぴったりでした。味もさることながら、中世にタイムスリップしたかのような気分を味わえる、オススメの場所です。WEBサイトはこちら。http://www.teleborgsslott.com/

 

午後は、私が留学していたときからお世話になっている、クリスティーナ先生による「スウェーデンの高齢者福祉の歴史」のミニ講義。彼女が高齢者福祉の現場で活躍していた1970年代から現在までの歴史や変化について、社会的・政治的な背景も交えながらわかりやすく説明をしてもらいました。世界中から注目を集めているスウェーデンの高齢者福祉も、一朝一夕にできたわけではないということがとてもよく理解できました。彼女は現在、年金を受給しながら週1回の勤務となっていますが、体の元気なうちはこの仕事を続けたいとおっしゃっていて、一安心です。

 

さあ、ヴェクショーで残された時間はあとわずか。駅のすぐ南側にあるスモーランド博物館を訪問しました。ヴェクショーが位置するスモーランド地方の文化や産業について豊富な資料を展示しているこの博物館ですが、数年前から「居酒屋もし」と名付けられたレストランを併設しています。シンプルで和風な感じにまとめられたこのお店、地元の人たちから大人気になっています。中にはちょっと怪しげなメニューもありますが・・・(笑)

 

名残は尽きませんが、電車の時間が迫ってきました。今回も4日間、コーディネーター・通訳として大変お世話になった鈴木先生と涙のお別れをして、まずはお隣のアルベスタに向かって出発です。10分ほどで到着して、SJ2000という新幹線のような電車に乗りかえて、ストックホルムを目指します。心地よい揺れと研修の疲れもあって、ウトウトしている間に3時間ちょっとで到着。いつものように駅前すぐのところにあるNordic C Hotelにチェックインしました。

ヴェクショーとはガラリと変わって「都会」という雰囲気のストックホルム。 明日はスウェーデンの文化をしっかりと味わいたいと思います。

 

Tsukasa 

2016年

11月

02日

オリンピアスウェーデン研修2016―その4

めっきり冷え込んだヴェクショーの朝。スウェーデン人の朝はちょっと早めで、8時始業のところが多いため、ホテルの朝食も8時ごろにはガラガラになります。

今日はまず、鈴木先生をお家に迎えにいくところからスタート。街の中心部から車で南へ15分ぐらいのところに、自然に囲まれたとてもステキなお家があります。念のために住所を確認しておこうとインターネットで調べると、家と携帯の電話番号や奥さんの名前まで載っています。こちらでは、個人情報をオープンにしている方が多いので、必死になって保護しようとしている日本の感覚に慣れていると、ちょっとビックリしてしまいます。

 

午前中の訪問先は、ピールベッケン幼稚園(Pilbäcken)。この研修でも度々お世話になっている、1971年にオープンした10クラスの大きな幼稚園で、副園長兼主任のカタリーナさんにお話を伺いました。この幼稚園の特徴は、イタリア発祥の保育哲学、レッジョ・エミリア(Reggio Emilia)・アプローチを実践しているということ。カタリーナさんは専門のトレーニングを受けて、指導者としても活躍しています。今年もテーマは「木」。子どもたちは顕微鏡を使って木を観察したり、木がどうやって水を吸い上げているのか考えたり、落ち葉や実などを拾ったり、木を題材にしたアート作品を作ってみたり・・・。芸術家や植物の研究者など、様々な分野の専門家たちの協力も得ながら、自分たちで木についての理解を深めていきます。これらの取り組みは全て記録され、それに基づき評価をし、次への改善に繋げられています。エビデンスに基づいたアプローチは、いつ見ても大きな発見があります。

 

ピールベッケン幼稚園の隣には小学校もあり、食堂は共用されています。今日は小学校が秋休みということで、私たちも給食を食べさせてもらうことにしました。今日のメニューは魚のスープ。ビュッフェスタイルになっているので、自分たちで野菜たっぷりのスープをお皿に入れて、アイオリソースをかけたりディルの葉っぱをちぎって乗せたりしています。ここでも自己決定ということが大切にされていました。少し厨房を覗いてみると、700食を作る機器はどれもピカピカに磨き上げられていました。また、各種のアレルギーやベジタリアンへの対応に加えて、様々な宗教に対応できるように、数多くの特別メニューも用意されています。多くの移民を受け入れているスウェーデンならではの光景ですね。

 

午後はヴェクショー市に古くからあるホフスルンド(Hovslund)という高齢者施設へ。施設長であり、ヴェクショーの介護家族支援員(Anhörigkonsulent)のアン・クリスティンさんから、ヴェクショー市での介護家族支援についてのお話を伺いました。日本と同じようにホームヘルプやデイサービスといった在宅介護のサービスがあるのはもちろんのこと、家庭で介護をしている家族の相談に乗ったり、研修会を開催したり、様々な取り組みが家族を支えています。特に、地域診療所で認知症と診断された方がいると、認知症専門看護師やケアマネジャーと連携をとって、家族を支えるアプローチをしていきます。「施設に入るのではなく在宅生活を長く継続することができれば、コストも安く済むのよ」とおっしゃっていたのが印象的でした。長年お世話になったアン・クリスティンさんも、今年で定年を迎えられるとのこと。彼女がヴェクショー市の高齢者福祉に残した功績はとても大きいものがありますね。

 

さて、今日のプログラムを終えた私たちは、東に車を走らせました。45分ほどで、「ガラスの王国」の中心地、コスタ(Kosta)に到着。コスタ・ボダ(Kosta Boda)やオレフォス(Orrefors)のショップでお土産探しです。そこで鈴木先生が教えてくださったのが、アンティークのグラスたち。在庫処分ということで格安で販売されていましたが、いまの職人さんでは作れないかもしれないという超貴重品を手に入れることができました!! 本場ならではの幸運ですね。

 

ヴェクショー最後の夜は街の中をブラブラと散策・・・の予定でしたが、あまりの寒さにさっさとホテルに戻ることになりました。さあ、明日はどんな1日になるのでしょうか??

 

Tsukasa

2016年

11月

01日

オリンピアスウェーデン研修2016―その3

今朝のヴェクショーはどんより曇っていて、いまにも雨が降り出しそうな感じ。典型的なこの時期のスウェーデンのお天気です。

 

今日は朝からヴェクショー市とその近くのウップヴィーディンゲ市(Uppvidinge Kommun)の認知症専門看護師(Demenssjuksköterska)のお二人から、スウェーデンの認知症ケアに関するお話を伺いました。実は、私にとってはこれが今回の訪問の最大の目的。日本ではあまり知られていないスウェーデンの認知症専門看護師の存在を、色々な形で紹介していきたいと思っています。認知症専門看護師は全国の多くのコミューンに配置され、認知症の方の家族のサポートや、高齢者施設やホームヘルプで働くスタッフの研修や指導に携わっています。よく"Spindeln i nätet"(巣の中のクモ)と表現されるように、認知症の人を取り巻く様々な人や資源を繋いでいく役割をしています。また、スウェーデンで最近導入が進んでいる「BPSD登録システム」についても、スライドを使いながら丁寧に説明をしてくれました。「この仕事には情熱が必要なのよ!!」というお二人から、予定時間を30分以上超えてとても貴重なお話を伺うことができました。

 

昼食は近くにあるタイ料理のレストラン、"Thai House Restaurang"へ。フミポン国王の崩御を受けて国旗が半旗になっていましたが、地域では人気店ということで多くの人で賑わっていました。スパイシーで本格的なタイ料理のビュッフェを手軽に楽しむことができる、オススメの店です。お近くに来られた際にはどうぞ。

 

午後は、ヴェクショー市の福祉分野で働く栄養士のセシリアさんとルイスさんからお話を伺いました。まず驚いたのは、この仕事をしているのはお二人だけだということ。現場で調理や栄養指導に関わるのではなく、市全体のマネジメントや職員教育が主な仕事だということです。ヴェクショーでは、2003年から福祉施設の食事のメニューは統一されていますが、ランチもディナーも2種類から選ぶことができますし、ベジタリアン、アレルギー食、栄養食、宗教食への対応など、細かい配慮がなされています。以前に実施した、ミシュランで星をとったヴェクショーの有名レストラン"PM"とタイアップして食の質向上のプロジェクトなど、興味深い取り組みをたくさん紹介してくれました。

お話のあとはフィーカタイム!! コーヒーと美味しいお菓子をいただきながら、こちらも予定を大幅に超えて楽しい時間を過ごすことができました。

 

今日のプログラムを終えた私たちは、ヴェクショーのお隣のアルベスタへ。エマニュエルさんとマスミさんが運営するカフェ"Cafe St. Clair"にお邪魔しました。日本的なおもてなしの心と豊富なメニューで、カフェはいつも大人気。私の友達もすっかり常連になっています。ここのカフェ、毎日とってもステキな写真をinstagramにアップしています(https://www.instagram.com/cafe.st.clair/)。よかったらフォローしてくださいね。 念願がかなって、私たちも載せてもらうことができました!!

 

そして夜は私の親友のエリックのお家へ―。留学時代に空手を通じて仲良くなった彼とは、もう14年のお付き合い。いまは自宅の地下で空手道場を開いているので、稽古の様子を見せてもらうことにしました。道場生は女の子ばかりですが、なかなかハードな稽古をしていたのにはビックリ。以前からよく知っている子もいつの間にか大きくなって、いい技を繰り出していました。

稽古のあとは、子どもたちと一緒になぜか折り紙教室タイムとなりました。実はエリック、子どもが3人いる新しいパートナーができたので、知らない間に5人の子どものパパに。兄弟たちも仲よさそうな様子で、さすがスウェーデンといった感じでしょうか。

たくさんはしゃいで遊び疲れた子どもたち、きっと今日はぐっすり眠れることでしょう。私たちもですが!!

 

Tsukasa

2016年

10月

31日

オリンピアスウェーデン研修2016―その2

どんよりと曇ってちょっと肌寒い、ヴェクショーの朝。時差に体がついていけなくて早朝に目が覚めてしまった私たちは、7:00にしっかりと朝食をとって、いよいよ研修のスタートです!!

 

8:30。今回も研修のコーディネートをお願いしているリンネ大学の鈴木満先生が、ホテルに来られました。4日間のスケジュールについて打ち合わせをしたあと、少し時間があったので、ヴェクショー市のゴミステーションの見学をしました。「ヨーロッパでもっともエコな街」とBBCから認定されるほど、環境対策については先進的な取り組みをしているヴェクショー市。数十種類に分かれた分別エリアには、ひっきりなしに車がやってきてゴミを捨てていました。驚いたのは、冷蔵庫や洗濯機などの回収も無料ということ。「有料にすれば不法投棄が増えるでしょ」という説明に、スウェーデン人の合理性を改めて感じさせられました。

 

午前中に訪問したのは、この研修でもすっかりお馴染みになった、野外幼稚園"Uteförskolan Äventyret"。到着すると、ちょうど1, 2歳の子どもたちが少し離れた森に遊びに行くところでした。気温は5℃でしたが、子どもたちは元気そのもの。ここでは、朝7:30から、1日の大半を屋外で過ごしています。いつも説明してくれるヨナタン先生が休暇中ということもあり、今回は園舎の隣の森で遊び回っている3歳-5歳の子どもたちが、自分たちの遊び場を案内してくれました。「寒くないの?」と聞くと、「寒くないし、健康にいいんだよ!」とのこと。対応してくれたヨハンナ先生によると、普通の幼稚園に通う子どもたちよりも、病気になりにくいとのこと。10周年を迎えたこの幼稚園ですが、いまでも大人気で、入園希望者が待っているようです。

 

ちょっと空き時間ができたので、ヴェクショー市の北部に位置するクロノベリィ城跡(Kronobergs Slott)へ。1444年に建てられたこのお城は人気の観光スポットですが、ちょうどこのあたりはブナの生息の北限。あたり一面黄色に彩られた風景は、とても幻想的な感じでした。

さて、昼食は高齢者施設"Evelid"のレストランへ。スウェーデンの高齢者施設の多くは、カフェやレストランを併設していて、近所で暮らす高齢者の方や、一般の人もランチを食べたりお茶を飲んだりすることができます。今日のメニューはチキンのグリルかソーセージの煮込み。サラダやパン、コーヒーもついて大満足のランチでした。

 

午後からは高齢者施設を二つ訪問。まずは、ヴェクショー市が運営している高齢者施設、トフタゴーデン(Toftagården)へ。第1回の研修のときから毎回お邪魔しているこちらは、定員9人のユニット4つから構成されていて、そのうちの3つが高齢者用となっています。施設長のマーリンさんはいま産休中ということで、他のスタッフのみなさんがはりきって説明をしてくれました。強調されていたのは、いかにスタッフの労働環境を整えるかということ。そのためにも、介護用リフトなどの福祉機器は必須アイテムで、さまざまな種類のものを紹介してくれました。日本でも最近少しずつ導入されるようになりましたが、建物の構造や他のハードとの組み合わせがうまくいかないこともちらほら・・・。これからの日本の課題でもありますね。

 

続いては、2015年10月にオープンしたばかりの、民営の高齢者施設ヴィーカホルム(Vikaholm)へ。北欧でも非常に多くの高齢者介護サービスを展開しているアテンド社(Attendo)が運営している施設です。昨年はオープンしたところでまだ入居者の方も少なかったのですが、1年たって居室はすでに満室。入居者のみなさんもとても落ち着いておられ、最新のハードに家庭的な雰囲気がプラスされ、とてもよい施設になっていました。説明をしてくれたマリソールさんは、民営のメリットについて、「上からの指示だけでなく、自分たちで物事を決めて実行することができるところ」と答えてくれました。経営的な観点から立ち上げ時の話を聞くと、本社やアテンド社の運営する他の施設からは資金的、人的な応援はなかったそうで、苦労された様子も少し伝わってきました。また、日本の施設の様子についても興味津々で、スタッフの交換研修ができたらいいね、と話が盛り上がりました。

 

その後は空き時間を利用して、ヴェクショー市内を観光。鈴木先生が「百見は一聞に如かず」と命名した(?)水道塔や、いまはホテルとして活用されているリンネ大学キャンパス内に位置するテレボーイ城(Teleborg Slott)、そして街のシンボルの大聖堂(Växjö Domkyrka)など、盛りだくさんの一日となりました。

さあ、明日はどんな出会いが待っているのでしょうか??

 

Tsukasa

2016年

10月

30日

オリンピアスウェーデン研修2016―その1

あっという間に1年が過ぎ、またまたスウェーデン研修の時期がやってきました。

今年は例年より少し早い時期に設定したので、寒さはちょっとマシかと思っていたのですが、ヴェクショーの天気予報を見てみると、雪マークや氷点下の気温がちらほら・・・。

今回の参加者は、グループホームオリンピア篠原の管理者の長谷くん、オリンピア都こども園の保育士の竹内さん、そしてオリンピア兵庫の栄養士の来田さんの3人です。

 

日曜日の朝ということで、関西国際空港の保安検査場は長蛇の列!! でも今年からは、KIX-ITM Global Business Clubに入会したおかげで、Fast Laneを利用できてラクラク。別に宣伝しているわけではありませんが、関空をよく使う企業の方にはオススメです!!

ちなみに、出国審査も自動化ゲート登録を事前に済ませておくと、ほとんど並ぶことなくスムーズに通過できます。「出国のスタンプが欲しい!!」という方も、ゲートを出たあとに事務所に声をかけると押してくれますよ。必ず「何番目のゲートを通られましたか?」と聞かれるので、覚えておくのがポイントです。

 

今年も昨年同様、フィンランド航空78便でまずヘルシンキへ。どんな飛行機かなと確かめに行くと、なんとマリメッコバージョンのエアバスA330-300ではないですか!! 何度もこの路線は利用していますが、初めての体験で、ちょっと気分が盛り上がります。白い機体にウニッコの柄がとっても映えますね!!

ちなみにケシの花をモチーフにしたウニッコのデザインが誕生したのは1951年。65年たってもみんなから愛されるデザインは、さすが北欧ですね。

 

さて、10時間少しの快適なフライトを終えて、私たちはヘルシンキのヴァンター国際空港に到着しました。シンプルに北欧デザインでまとめられたこの空港、全ての路線を35分で乗り継ぎできることを売りにしています。オシャレでかつ機能的。私のお気に入りの空港のひとつです。

空港内をくまなく散策したあとは、フィンランド航空667便で、コペンハーゲンのカストラップ国際空港へ。

順調に1時間半ほどで到着し、電車の時間まで余裕があったので、世界一美味しいと評判のコペンハーゲンのホットドッグを食べたらと提案したのですが、3人は機内食と長時間の移動でお腹いっぱいだったようです・・・。

 

さてさて、空港に直結している駅からデンマークとスウェーデンをつなぐ国際列車を利用して、研修の目的地であるヴェクショーへ。デンマークとスウェーデンはオーレスン・リンク(Øresund link)という橋で結ばれているので、気がつくと国境を越えて、駅の名前も電車内のアナウンスもスウェーデン語になっています。去年は途中の駅で警察官によるIDチェックがありましたが、今回は電車に乗るときにパスポートを見せただけ。少しヨーロッパも落ち着いてきたのかな、という雰囲気です。

 

この電車、なにかトラブルがあって遅れることが多いのですが、今回は予定通り2時間半ほどでヴェクショーに到着。それでも時間は23時前。関空に集合してから21時間の移動は、さすがにくたびれましたね・・・。

今回の宿泊先は、駅前すぐの"Clarion Collection Hotel Cardinal"。ここの魅力はなんといっても晩ご飯が付いていること!! ホテルのお話はまたの機会に。

 

さあ、いよいよ明日から、研修のスタートです!!

 

Tsukasa

2016年

1月

23日

発達障害理解のための基礎と実践講座

2016年1月23日(土)、新神戸駅近くの神戸芸術センターにて、「第18回 発達障害理解のための基礎と実践講座」が行われました。この講座は、兵庫県・兵庫県教育委員会・神戸市・神戸市教育委員会の後援を受けて国際ロータリー第2680地区社会奉仕委員会が主催し、オリンピアが事務局となって毎年1月に開催している講演会で、今回で18回目を迎えました。

 

1,000人近くの方にお越しいただくビッグイベントということもあり、毎年半年ほど前から、チラシを作ったり各種媒体を使ってPRをしたりと、念入りに準備をしています。今回は、神戸市環境局のマスコットキャラクターのワケトンや、須磨海浜水族園のキャラクターたちの生みの親である、イラストレーターのthe rocket gold star(ザ・ロケット・ゴールド・スター)さんにお願いして、とても素敵なチラシを作ることができました。

 

そのかいもあって、強力な寒波が到来したにもかかわらず、1,200人収容の会場は超満員。会場の後ろの方には立ち見の方も多数おられ、ステージ上で司会をしていた私も圧倒されるほどの大盛況でした。

 

第1部では、大阪教育大学名誉教授、大阪医科大学LDセンター顧問で、発達障害の研究の第一人者である、竹田契一先生に、「発達障害のある児童生徒への合理的配慮とは―LD・ADHD・自閉スペクトラム症への支援」というテーマでご講演いただきました。今年の4月の「障害者差別解消法」の施行を見据えて、教育・福祉現場における「合理的配慮」について、いつものように大変わかりやすくお話しをしてくださいました。

 

引き続き第2部では、大阪医科大学の金泰子先生に、「思春期発達障害の心のケア―教師、保護者がしてよいこと、わるいこと」と題して講演をしていただきました。金先生は、小さな子どもたちだけではなく、思春期の子どもたちの発達障害について、豊富な知識と現場での経験をお持ちで、今日もたくさんの事例を交えながら、やさしい語り口でお話ししてくださいました。新潟からもファンの方々が駆けつけたというのが納得できるような、とても素晴らしいお話でした。

 

小中学生の6.5%がかかえていると言われる発達障害。そのせいで、みんなと同じように勉強をしたり、集団生活をすることが難しくなってしまっている子どもたちが、いまもたくさんいます。でも、教育や福祉の現場で適切な対応をしていけば、その可能性は無限に広がっていくんだ、ということを改めて教えられた気がします。

これからも、私個人としても、オリンピアとしても、様々な形で発達障害を持つ方々へのサポートを続けていきたいと思います。

Tsukasa

2015年

11月

25日

オリンピア若手リーダー育成研修 in Okinawa

11月24日(火)・25日(水)の2日間、オリンピアの次世代リーダーを育てる「若手リーダー育成研修」のスピンオフ企画として、「オリンピア若手リーダー育成研修 in Okinawa」を実施しました。

スウェーデンから帰ってきて時差ボケも直っていない状態でしたが、せっかくスタッフたちが走り回って実現させてくれたこの企画。大学での講義を終え、空港に直行しました。


久しぶりに乗るボーイング787-8の快適なフライトで那覇空港に到着すると、気温は27℃。土曜日のストックホルムが-3℃でしたから、気温30℃差。さすがに体にこたえますね・・・。

今回参加した7名のスタッフは朝から沖縄入りし、認知症高齢者グループホームや老人保健施設、デイサービスなどを見学させてもらっていました。沖縄ならではのホスピタリティから学ぶことは多かったようで、私が合流したときに、とても楽しそうに報告をしてくれました。


24日の夜は、認知症の方への音楽療法や職員研修などを実施している「みねいケア」(http://www.meetsnature.com/)の代表、坂本 健さんが、沖縄で前向きに介護に取り組んでいる方々との食事会を企画してくれました。坂本さんとは、5月に那覇で講演をしたことでご縁をいただき、これまでも神戸と沖縄をつないでSkypeで認知症ケアに関する議論をしたりと、お付き合いが続いています。

総勢15名で沖縄の料理やお酒を楽しみながら、介護に関する熱い議論が交わされました。沖縄のグループホームは1ユニットのところがほとんどであったり、沖縄のデイサービスでは三線が基本プログラムになっていたりと、様々な違いはありますが、お互いに学べることは多そうです。

今度は是非、神戸にも遊びに来てください!! と固い約束を交わし、沖縄の夜は更けていきました・・・。


さて、25日は朝から沖縄国際大学を訪問。沖縄の福祉系の学生の動向などについて教えていただきました。

引き続き、デンマークで福祉を学び、沖縄から福祉のあり方を変えるために発信を続けている神谷牧人さんがCEOを務める、株式会社アソシア(http://associa-lnd.co.jp/)にお邪魔しました。8月に引っ越ししたばかりというオフィスは、まるでオシャレなデザイン事務所のような作り。まさか福祉サービスを提供している会社のオフィスとは思えない雰囲気でした。

精神障害や発達障害をもつ若者の自立支援を行うアソシア社会大学での取り組みについてお話を伺ったあと、就労支援事業所であるアソシアソーシャルトレーニングへ。ここでは、併設するCafe Associaの業務に関連して、接客コース、厨房コース、製菓コース、庶務コース、清掃コース、製作コースの6種類の職業訓練を行っています。メンバーのみなさんが、とても笑顔でイキイキと仕事に取り組んでいるのがとても印象的でした。


昼食は併設のCafe Associa(http://cafebar-associa.blogspot.jp/)へ。ボリュームたっぷりでレベルの高いメニューは大人気で、オープンと同時に地域のみなさんでいっぱいになりました。途中から神谷さんにも合流していただき、アソシアの取り組みの秘密についてお話を伺いながら、とても有意義なランチとなりました。中でも特に、仕事をする上で「オシャレかどうか」がひとつの基準になっているという話は、オリンピアでも是非取り入れていきたいと思いました。

神戸と沖縄、距離はありますが、「福祉を変えたいという」熱い思いを同じくした仲間がいるということは、私にとってとても心強いものでした。ぜひ、オリンピアとアソシアでコラボをしましょう!! と約束をして、私は仕事のために一足先に神戸に戻りました。


常に新しいことにチャレンジをして福祉を変えていくためには、学び続けることが何よりも大切。今回は、参加したスタッフたちにとって、とてもよい刺激になったことでしょう。オリンピアにも全国からたくさんのお客さまに来ていただいていますが、お互いに成長することができるような、いい関係を作っていきたいと改めて思いました。


・・・神戸に戻ってきたら、急に寒くなっていてビックリ。みなさまもご自愛くださいね。


Tsukasa

2015年

11月

22日

オリンピアスウェーデン研修2015―その7

7日間の研修も、あっという間に最終日。帰国の日の朝を迎えました。
今朝のストックホルムは-3℃。すっかり冬の装いですね。


朝食に行くと、昨日までのビジネス客に替わって、家族連れをたくさん見かけました。しばらく食べられなくなるなと、スウェディッシュ・パンケーキや、ハム・チーズなどをたっぷりいただきました。
ホテルをチェックアウトして、アーランダ・エクスプレス(Arlanda Express)に乗り、アーランダ国際空港へ。とても静かで快適な電車で、たった20分で空港に到着です。


自動チェックイン機で搭乗手続きを済ませ、フィンランド航空でヘルシンキへ。45分の空の旅で、いよいよスウェーデンともお別れです。
ヘルシンキのヴァンター国際空港では、ムーミンショップやマリメッコショップを見たりして、搭乗ゲートへ。周りから聞こえてくる日本語がとても懐かしい感じです。


除雪作業のために少し飛行機は遅れましたが、大きく揺れたりすることもなく、ぐっすり眠っている間に、無事に関西国際空港へ。
今年のスウェーデン研修も、これにて無事に終了となりました。


スウェーデンの福祉を学ぶためには、1週間は短すぎる時間かもしれません。でも、3人のスタッフにとって、実際にスウェーデンでの取り組みを見て、人々に出会い、数え切れないほどの経験をしたことは、これからの仕事や人生に大いに役立つことでしょう。


もちろん、文化や環境の違う中で、スウェーデンから学んだことを実践していくのは、簡単なことではありません。でも、スウェーデンの人たちが、常にノーマライゼーションの理念を忘れず、ひとりひとりの「ふつうの暮らし」を大切にしながら、どんどん新しいことにチャレンジしていること。この姿勢はいますぐにでも真似できることではないかと思います。


彼らが今後、それぞれの職場で活躍してくれることを、大いに期待したいと思います。

私自身は、普段からもうちょっとブログも書かないと、と反省しております・・・。


Tsukasa

2015年

11月

20日

オリンピアスウェーデン研修2015―その6

びっくりするほど快晴のストックホルムの朝。この時期のスウェーデンでこのお天気にお目にかかることは、なかなかありません。「日頃の行いがよかったんだね」などと冗談を言いながら、1日がスタートです。


今年も宿泊先に選んだのは、"Nordic C Hotel"。駅のすぐ側でとてもオシャレな北欧スタイルのホテルで、気に入っています。実は昨日、到着して部屋に行ってみると、ドアノブがとれてドアが閉められなくなってしまうハプニングが!! すぐに電話をして見に来てもらうと、とてもよい部屋にアップグレードしてくれました。こんなハプニングも旅のたのしみのひとつですね。


朝食を済ませてまず向かったのは、ストックホルム市庁舎。市役所はもちろんですが、ストックホルム市議会や、ノーベル賞の記念晩餐会が行われるホールのある歴史的な建物で、見学ツアーに参加しようと思ったのですが、まさかの休館日!! 中に入ることはできませんでしたが、外から見るだけでもほれぼれとするような美しい建物です。


続いては旧市街であるガムラスタン(Gamla stan)へ。大聖堂、ドイツ教会、ノーベル賞博物館など、主な観光スポットを巡ってみると、あたりはすっかりクリスマスムードになっていました。クリスマスのときに飲むグレッグ(glögg)というちょっと甘いホットワインの屋台が出ていたので試してみたり、屋台のクリスマスグッズショップを覗いてみたり。この時期ならではの楽しみ方ができました。

ガムラスタンの中には数え切れないほどのお土産物屋さんがあって、店からはみ出しそうなぐらい、所狭しといろいろなスウェーデン土産を売っています。それを見ながら歩くだけでも楽しいのですが、毎年ちょっとずつ新製品が出ているので、毎年来ていても飽きないですね。


さて、今年はひとつ行ってみたい場所がありました。セルスカペット(SÄLLSKAPET)という会員制のクラブです。1800年に設立されたこのクラブは、会員数を2,000人に限定していて、国王のカール・グスタフ・16世もメンバーになっている、とても由緒正しい場所です。普通では入ることができないのですが、KOBE CLUBと提携をしているということを聞き、紹介状を書いてもらってきました。重厚な建物の中は静かで、外の喧噪とはまるで別世界。中を案内してもらうと、ダイニングルームはまるで宮殿のようでした。緊張しながらコーヒーを飲んでいると、メンバーの方が話しかけてきてくれました。「僕は日本が大好きで、レクサスを2台持ってるんだよ!!」と言ってくれて、ちょっと気持ちもほぐれました。


外に出ると、まだ16時だというのにあたりは真っ暗。街の中には屋外のスケートリンクがオープンしていて、寒さに負けず、みんな楽しそうです。「どうしてもヘラジカが食べてみたい!!」というスタッフのリクエストに応えて、エステルマルム市場へ。ここは、たくさんの種類の魚、肉、野菜、そしてヘラジカやトナカイの肉まで何でも揃う、地元の人にも観光客にも人気のスポットです。中にはレストランやイートインコーナーがあり、新鮮な食材を使った料理を楽しむことができます。

でも、ヘラジカ料理を出してくれる店を探したのですが、結局中では見つからず。困っている私たちに、「ヘラジカのミートボール、試食してみる?」と、店のおじさんがやさしく声をかけてくれました。オリンピアのマスコットキャラクターのエリィくんにはちょっと悪いなと思いながらも食べてみると、とても濃厚でしっかりとした味。ヘラジカ特有の匂いもほとんどなく、とてもおいしいミートボールでした。またひとつ、スウェーデンの人に優しくしてもらった思い出が増えましたね。


夕食を済ませたあとは、地元の人たちで賑わうパブへ。スウェーデン人は昼間はシャイな人も多いのですが、夜、こうやってお酒を飲んでいると、とっても陽気でフレンドリーになります。金曜日の夜だということもあって、店の中は大騒ぎ!! スウェーデン研修のよい締めくくりになりました。


さあ、明日はいよいよ日本に向かって出発です。トラブルなく帰れるといいですね。


Tsukasa

2015年

11月

19日

オリンピアスウェーデン研修2015―その5

ヴェクショーで迎える最後の朝。残念ながら雨がしっかり降っていましたが、今日も元気に朝食をとるためにレストランへ。7:30に集合すると、いままで一番の混み具合。スウェーデンの人たちは、8時ぐらいから働き始める人が多いので、この時間が一番混雑するのでしょう。


今日はまず、ホフスルンド(Hovslund)というヴェクショーでも歴史のある高齢者施設へ。ここの施設の一部を利用して行われている、ルンデン(Lunden)という小規模のデイサービスを見学させてもらいました。ここでは、月曜日から金曜日までで、8つのグループの利用者を、3人のスタッフで受け入れています。市の移送サービスなどを使って集まった利用者は、テーマ活動をしたり、簡単な運動をしたり、新聞を読んでみんなで感想を話し合ったり、Fika(ティータイム)を楽しんだりして過ごします。

テーマ活動とは、1週間でひとつのテーマを決めて、その思い出について語り合ったり、関係するアクティビティをしたりするもので、ここ5年半で200以上のテーマ活動をしてきたそうです。先週のテーマは「スウェーデン式チーズケーキ」。みなさんで一緒に焼いたのはもちろんのこと、スーパーでも2種類買ってきて食べ比べをしながら、昔話に花が咲いたそうです。聞いているだけでおいしそうですね!!

そのほか、ここの施設で力を入れている介護をしている家族の支援について丁寧に説明してもらったり、逆に日本の介護の状況についてお話ししたりと、とても充実した訪問となりました。


少し空き時間ができたので、私の留学していたリンネ大学(旧・ヴェクショー大学)へ。12年前と比べると、新しい建物もたくさん出来て、どんどんオシャレになって、まるで別の空間になってしまったようですが、当時勉強した教室などを見ていると、昔のことが思い出されますね。通りがかりの学生さんに写真を撮ってもらって、当時お世話になったクリスティーナ先生のお家へ。本当は大学でお話を聞く予定だったのですが、ヒザの手術をされたところだったので、急遽、ご自宅での特別講義となりました。

スウェーデンの高齢者福祉の歴史や現状、これから直面するであろう課題などについて、パワーポイントのスライドを使いながら、丁寧にわかりやすくお話ししてくれました。英語での講義だったので、スタッフたちにはとてもよいトレーニングになったようです。


さて、遅めのお昼は、ヴェクショーの隣のアルベスタ(Alvesta)にある、Café St.Clairへ。ここは、日本人の真澄さんとご主人のエマニュエルさんが経営されている、ちょっとスウェーデン風、ちょっと日本風な料理を楽しめる、ステキなカフェです。いつも地元の人たちでお店はいっぱい。日本好きな私の友人達もよく通っています。今日のメインはサーモンとタラの煮込み料理。野菜もたっぷりの優しい味で、なんだか心も温かくなりました。ちなみにエマニュエルさんは以前、リンネ大学の食堂で働いていたので、留学時代からの知り合いなのです。世間って狭いですね!!


そうこう言っているうちに、電車の時間が近づいてきます。慌ててヴェクショーに戻り、大きなスーパーでうちのCafe Olympia用の食材を買い込み、レンタカーにガソリンを入れて、レンタカー屋さんで料金を支払って、ホテルに荷物を取りに行って、なんとか駅にたどり着きました(こう書くと簡単ですが、実際は冷や汗をかきながらです)。今年もコーディネーター、通訳として、何から何まで大変お世話になった鈴木先生に御礼を言って、アルベスタ行きの電車に乗り込みました。

アルベスタでSJ2000という新幹線のような電車に乗り換え。途中で信号の故障で待たされるというトラブルはありましたが、とても快適な約3時間の旅で、首都ストックホルムに到着しました。駅から外に出ると、ヴェクショーより寒い!! 神戸の真冬の感覚でしょうか。駅の周辺を散策して、簡単な夕食をすませると、すぐにでも眠れそうです。


さあ、明日はストックホルム観光。お天気がもってくれるといいのですが・・・。


Tsukasa


2015年

11月

18日

オリンピアスウェーデン研修2015―その4

ヴェクショー3日目の朝。今日は出発が早いので7時に朝食に行くと、あたりはまだ真っ暗。しっかり腹ごしらえをして、出発です。


まず訪問したのは、定番コースとなっている高齢者施設のトフタゴーデン(Toftagården)。若い女性施設長のマーリンさんに1年ぶりに会うと、なんだか名字が変わっている気が・・・。結婚して、出産を間近に控えているようでした。毎年研修を続けていると、出会う方々の変化もよく分かって楽しいですね。
施設についての説明を聞いたあとは、中を見学させてもらいました。シンプルで機能的で、でも木の温かみがあって・・・。まさに理想的な居住空間だなと、いつも感心させられます。


街に戻って訪れたのは、障害をもった人たちの紙工房、パッペリーアン(Papperian)。ヴェクショーのメインストリート沿いにお店と作業所を構えているということで、スウェーデンでも有名なこちら。お店の中はすっかりクリスマスモードで、サンタクロースをモチーフにした作品や、クリスマス用のキャンドルがたくさん並んでいました。昨日訪問したテキスティール・グルッペンで作られたものもこちらで販売されています。
市の印刷工場から出た不要な紙を使って紙すきをして、出来た紙を加工したり絵を描いたりして商品にしていくプロセスを、解説しながら見せてもらうことができました。


昼食は、エベダールという湖水浴場の近くのレストランへ。典型的なスウェーデン料理をビュッフェスタイルで楽しめるということで、地元の人たちに大人気のこのお店。今日のメニューは、ローストポークにスチームしたチキンと、とても満足できる内容でした。


そして訪問したのは、ヴェクショー市が運営する補助器具センター。こちらでは、身体が不自由があって普通に生活をすることが困難なとき、ひとりひとりに合った補助器具を無料で借りることができるのですが、この器具を用意したりメンテナンスするのがここのセンターです。
説明をしてくれた所長さんの顔を見て、ビックリ!! 実は私が13年前にヴェクショーに留学していたときに、実習で通っていた高齢者施設の施設長だったキッキさんではありませんか!! あれから他の施設の施設長をしたり、大学のコースに行ったりして、2年前からこちらで働いているとのこと。思わぬ再会にとてもうれしくなりました。


「真面目はいいけど"クソ真面目"はいけないよ」という鈴木先生の言葉に忠実に従って、今日はIKEAの第1号店までドライブすることにしました。日本でもすっかりお馴染みになったスウェーデンの家具メーカーIKEAですが、この名前は、創業者のイングヴァル・カンプラード(Ingvar Kamprad)の名前と、彼が育った農場エルムタリド(Elmtaryd)、そして出身地のアグナリッド(Agunnaryd)の頭文字から名付けられました。
ヴェクショーから60kmほど南西にあるこのお店は3年ほど前にリニューアルし、世界のIKEAで最も品揃えがいいとのこと。中をくまなく見学して、ホットドッグを食べていると、スウェーデンの人たちが衣食住の「住」をどれだけ大切にしているのか、よく伝わってきますね。


さてヴェクショーに戻った私たちを迎えに来てくれたのは、大切な友人のハンス(Hans Parment)さん。プロのフルート奏者であり、音楽音楽プロデューサーである彼と私を繋いでくれたのも空手でした。彼のお宅にお邪魔し、スウェーデンの典型的なFika。彼がフルートでスウェーデンの民族音楽を演奏してくれたり、奥さんが家の中を案内してくれたりと、スタッフたちにとっても「スウェーデンの普通の家庭を訪問する」という貴重な機会となりました。


さあ、明日はいよいよヴェクショー最終日。充実した1日にしたいですね!!


Tsukasa

2015年

11月

17日

オリンピアスウェーデン研修2015―その3

ヴェクショーで迎える2回目の朝。この時期のスウェーデンの天気予報はもちろん「曇りときどき雨」。でも、ちょっとだけ太陽が顔を覗かせてくれて、ラッキーでした。


今日は朝からピールベッケン幼稚園(Pilbäcken)を訪問し、カタリーナ(Katarina Lidén)さんのお話を伺いました。ここは、1971年にオープンした10クラスの大きな幼稚園で、2002年よりレッジョ・エミリア(Reggio Emilia)・アプローチを実践しています。レッジョ・エミリア・アプローチとは、イタリアを発祥とする保育哲学で、プロジェクト活動や創造力を育む環境、そしてドキュメンテーションを活用し、子どもたちひとりひとりが持つ力を引き出すアプローチです。
カタリーナさんはストックホルムにあるレッジョ・エミリア研究所でトレーニングを受けてきていて、このアプローチに取り組む他の園の先生達も含めて、指導者として活躍されています。今年のテーマは「木」。新学期が始まる前から先生達はテーマを通した教育の研修を受け、子どもたちの力を引き出す準備をしていきます。子どもたちは、みんなで自分たちのクラスの木を表現したり、葉っぱを観察して絵を描いたり、木の枝を使って数を学びながらオブジェを作ったりと、元気いっぱい。でも、何気ない遊びのひとつひとつにしっかりとした理論的な裏付けがされているのには驚かされました。
「レッジョ・エミリアはマニュアルではないから、先生たちは大変。でもその分得られるものも大きいからやりがいにつながるのです」というカタリーナさんの言葉が印象的でした。


実はこのピールベッケン、お隣は小学校になっていて、子どもたちは共用の食堂で給食を食べます。ちょっと空いたタイミングを見計らって、私たちも一緒にいただきました。この秋からヴェクショー市では、給食の質の不公平をなくそうと、全市で統一したメニューが出されることになりました。でもこのメニューが不評・・・。次の学期からは、ピールベッケンの敏腕栄養士さんが作ったメニューが全市で使われるようになるとのことです。でも、いつもここで驚かされるのは、ビュッフェスタイルになっているということ。自分がどれだけ食べるのが適切なのか、自分で判断させるというのは、とても大切なことだと思います。


午後はまず、布を使った作業を行う障害者のある方たちの作業所、テキスティール・グルッペン(Textilgruppen)を訪問しました。今年移転してリニューアルオープンしたということで、以前よりも広く、快適で、作業のしやすい環境になっていました。それだけ利用者のみなさんから人気があるということでしょう。ここでは、機織りをしたり、布の染色をしたり、シルクスクリーンで絵を付けたり、出来た布を利用して様々なグッズや作品を作ったりと、見ているだけでワクワクするような作業に、みなさん一生懸命取り組んでいました。利用しているメンバー同士もとても仲が良さそうで、ここにも人気の秘密があるのでしょう。最近では、公共施設はもちろんのこと、一般企業からもグッズ製作の依頼などがあって、大忙しとのこと。みなさんが誇りを持って作業に取り組んでいるということが、とてもよく伝わってきました。


ちょっとだけ空き時間ができたので、ヴェクショー市立図書館へ。ここは私が留学していたころにリニューアルされた、とても開放的で美しいデザインの図書館です。・・・あれからもう12年ほど経ちますが。リニューアルに際し、大きなシンボルツリーを切らなければいけないというので、反対運動があったりもしたそうなのですが、その木は加工され、図書館のカフェの床材や壁面を飾るオブジェになっています。自然をとても大切にするスウェーデンの人たちの気持ちが、こんなところにも息づいているのだと、うれしくなりました。コーヒーのおともはもちろん、シナモンロール。3人のスタッフたちも、本場の味に喜んでいました。


引き続き訪問したのは、知的障害のある方のグループホーム。6人の方が住んでいるのですが、みなさん学校の同級生で、卒業後22年間一緒に暮らしているとのこと。さらに驚かされたのは、5人に対してスタッフが9人いて、さらにもう一人の方に対しては4.5人もスタッフがついているということ。「障害があっても、高齢になっても、すべての人に"ふつうの暮らし"を送る権利があり、社会にはそれを支える責任がある」というノーマライゼーションの理念が、当たり前のように実践されているということでしょう。とても貴重な訪問となりました。


夜は、私の12年来の親友、エリック(Erik Bratt)と彼女と一緒に居酒屋「もし」へ。ここはスモーランド博物館の中にあり、ヴェクショーの人気寿司店「もしもし」がプロデュースしたお店です。早い時間だったにもかかわらず、店内はいっぱい。巻き寿司、焼き鳥、お好み焼き、餃子、魚料理・・・と、いろいろ試してみましたが、納得できるものと納得できないもの(笑)があり、とても楽しいディナーとなりました。こうやって、いつ来ても大歓迎してくれる友達がスウェーデンにいてくれることが、とてもうれしい夜でした。


Tsukasa

2015年

11月

16日

オリンピアスウェーデン研修2015―その2

時差ボケのために早くから目が覚めてしまう、ヴェクショーの朝です。
ワクワクしながらの朝食は、ハムやソーセージ、ニシンの酢漬け、卵料理、数多くの種類のパン、チーズやヨーグルト、各種ジュースにコーヒー・紅茶と、典型的なスウェーデンの朝食ですが、どれをとってもおいしく、朝からお腹いっぱいです。

そしてホテルのロビーで今回もお世話になるリンネ大学の鈴木満先生と打ち合わせ。いよいよ研修のスタートです。


さて、今日はまず、2015年10月にオープンしたばかりの、民営の高齢者施設"Vikaholm"を見学しました。北欧でも非常に多くの高齢者介護サービスを展開しているアテンド社(Attendo)が運営している施設です。
行ってまず驚いたのは、まだ周辺や施設内で工事が行われているということ。徐々に入居をしていただきながら、工事も進めていくというのがこちらのスタイルなのです。
お話をしてくれたのは、施設長のマグナスさん。これまで日本の県にあたるランスティングで医療に関する仕事をしていましたが、2年前からアテンド社で働いているとのことです。
この施設が目指すコンセプトやケアの理念について丁寧な説明を受けたあと、施設内を見学しました。
全館床は木製のフローリングで、とても清潔感がある中にも温かみを感じさせられます。
毎年スウェーデンの高齢者施設を訪問しているのですが、まだ見たことのない最新の設備がたくさん取り入れられていたのには驚かされました。例えば、電磁式の鍵の保管庫。スタッフの役職によって使える権限のある鍵だけが取り出せるようになっていました。また、車いすの方が通りやすいように反転するトイレのドア。
最新のテクノロジーをどんどん現場に取り入れていくこのスピード感は、スウェーデンならではですね!!


昼食は、この研修ですっかりおなじみとなったリンネ大学のカフェ・トゥーバン(Cafe Tufvan)で。大学とヴェクショー市が共同で運営をしていて、知的障害をもった人の働き場のひとつとなっています。
ミニハンバーグやピタのセットなどを注文して席に着くと、ひとりの女性が立ち上がり、「パリのテロでの犠牲者を悼み、1分間の黙祷を捧げましょう」と呼びかけました。リンネ大学は国際化に力を入れていて、フランスからの留学生も中東からの留学生もたくさんいます。また、スウェーデンは移民や難民の受け入れを積極的に行っているので、イスラム系の住民も大きなコミュニティを形成しています。さらに、今回のテロでスウェーデン人も犠牲になっているとのことで、非常に複雑な状況の中、その場に集う人々の心が一つになり、しばしの沈黙が流れたのでした。


午後は、こちらも定番コースの"Uteförskolan Äventyret"という幼稚園。ここでの保育はほとんどが野外で行われます。案内してくれたのは、育児休暇から戻ってきたヨナタン先生。スウェーデンでは両親あわせて480日の育児休暇を取ることが可能で、そのうち60日は「パパの月」といってお父さんしか取れません。なので、男性の育児休暇取得率が非常に高いのです(ちなみに2016年から男性の育児休暇が3ヶ月に延長されます)。気温3℃と今回の研修中最高の冷え込みでさらに雨も降っていたので、私たちはガタガタ震えていたのですが、子どもたちは元気いっぱい!!事前に「日本からお客さんが来る」と準備をしてくれていたようで、"Välkomna"(ようこそ)と書かれたバナーや、日の丸の旗を飾ってくれていました。子どもたちは大きな岩の上から飛び降りたり、手作りの遊具で遊んだり、走り回ったりと、全身どろんこになりながら遊び回っていました。「大きなケガはないんですか?」と聞いてみましたが、子どもたちは運動神経が鍛えられるし、自分たちで危険なことを事前に判断できるようになるので、大ケガはこれまでないとのこと。「これまで野外で活動することにこだわりすぎて、それ自身が目的になってしまっていたけど、野外活動はあくまでも手段なんです。」というヨナタン先生の言葉が印象的でした。


さて、ようやく暖かい車に乗り込んだ私たちは、一路ヘラジカ公園へ。もうオフシーズンになってしまっていますが、公園の前で記念撮影。現在スウェーデンには30-40万頭のヘラジカが生息していますが、その数をコントロールするために、毎年10万頭の狩猟をするとか。ヘラジカ料理もスウェーでの文化として根付いています。
そして「ガラスの王国」のガラスショップでお土産探し。ヴェクショーが位置するスモーランド地方は、原材料、薪、水、職人の4つの要素が揃っていたことから、スウェーデンを代表するガラス生産地になりました。
あるお店で見つけたのは、1970年代の古いクリスタルのワイングラス。思わぬ掘り出し物に出会えるのも、旅の醍醐味でしょう。


ヴェクショーに戻って、リニューアルしたレストラン"Hong Kong"で夕食をとって、長かった1日が終わりました。さあ、明日はどんな研修になるのでしょうか。


Tsukasa

2015年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2015―その1

みなさま、ご無沙汰しております。


あっという間に1年が過ぎ、またまたスウェーデン研修の時期がやってきました。
9月に公募をしたところ、今年も応募が殺到。厳正な審査の結果、今回はグループホームオリンピア灘の深澤くん、グループホームオリンピア兵庫の高井くん、そしてオリンピア都保育園の渡邊さんの3人が研修に参加することになりました。

 

そして迎えた出発の日の朝。日曜日ということもあって、関西国際空港は人でごった返していました。これだけ多くの観光客の方々が海外から来られているのですから、その受け入れ態勢もしっかりしていかなければいけないなと、改めて考えさせられました。


今年は例年と少しルートを変えて、フィンランド航空78便でまずヘルシンキに向かいます。フィンランド航空は日本でも大人気のライフスタイルブランド、マリメッコ社と提携をしています。両者がコラボレーションしたアメニティグッズや食器は、ファンの方にはたまらないことでしょう!!
追い風のおかげで予定よりも30分早く、飛行機はヘルシンキのヴァンター国際空港に到着。シンプルですが、随所に北欧デザインが取り入れられたこの空港は、私のお気に入りのひとつです。

 

乗り継ぎの飛行機が45分遅れたこともあって、空港の中をくまなく散策した私たちは、フィンランド航空667便で、デンマークの首都コペンハーゲンのカストラップ国際空港へ。2時間弱のフライトで、スウェーデンを飛び越えてデンマークに到着です。クリスマスツリーが飾ってあったり、雑貨屋さんにクリスマスグッズが並んでいたりと、ちょっとクリスマス気分を楽しむことができました。有名なお見送りをしているふたりの像も、クリスマスバージョンでした!!


ここからはデンマークとスウェーデンをつなぐ国際列車を利用して、研修の目的地であるヴェクショーへ。いつもならすぐに電車に飛び乗るとろですが、ここのところ電車での盗難事件などが増えているという話を聞いていたので、事前に指定席を確保しておきました。

デンマークとスウェーデンはオーレスン・リンク(Øresund link)という橋で結ばれていて、気がつけば国境を越えていた、というのがいつものパターン。でも今回は、国境を越えてすぐのハイリエ(Hyllie)駅で警察官が乗り込んで来て、全員のIDをチェックしていきました。パリでのテロの影響でしょう。

 

長旅の疲れからうとうとしていると、今度は電車が急に止まって、全員向かい側の電車に乗り換えろとの指示。何があったのか、不安になりながら乗り換えて、車掌さんに話を聞くと、トイレが全部故障したから別の列車を用意したとのこと。

結局、ヴェクショー(Växjö)に到着したのは23時過ぎ。関空に集合してから実に21時間以上経過していました。慣れているはずの私でも、さすがにちょっとくたびれる移動でした。

今回の宿泊先は、駅の目の前にある"Elite Stadshotellet Växjö"。1853年に建てられた、由緒あるホテルです。ホテルの話はまた今度にして、とりあえず寝ましょう・・・。

 

さあ、いよいよ明日から、研修のスタートです!!

 

Tsukasa

2014年

11月

14日

オリンピア スウェーデン研修2014―その6

Time Flies! あっという間にヴェクショーでの最後の朝を迎えました。

4泊お世話になったホテル・カーディナルとも、しばらくお別れです。


今日はまず、ヴェクショー市から委託を受けて、ヴァーダーガ(Vardaga)という会社が運営している、エーベリッド(Evelid)という高齢者施設を見学しました。実はこの施設、1F部分ではヴェクショー市がショートステイサービスを運営していて、2,3Fの入所部門が民間に委託されているという、珍しい形態をとっています。

スウェーデンでは現在、高齢者福祉サービスをこのように民間に委託するケースが増えてきています。民営化にはメリット・デメリットがあり、まだまだ議論がなされているところですが、いったん民営化してもうまくいかなければまた市の運営に戻ったりと、柔軟な対応がなされているのがスウェーデンらしいところです。

施設長のヘレーナさんは、「市営の施設よりも私たちの方が入居者に対してより丁寧なケアをしていて、満足度も高いんです」と、自信を持っておっしゃっていました。もともと看護師だった彼女にスウェーデンの看護師事情について聞くと、「給料が高いノルウェーに働きに行く看護師がとても多い」ということを教えてくれました。


午後からは、ヴェクショー市が位置するクロノヴェリィ県の補助器具センターへ。スウェーデンでは市が福祉や教育を、県が医療や交通を管轄するというように、完全に分担を分けて効率よく運営されています。県の補助器具センターでは、18歳までの子どものための補助器具と、大人の障害者のための補助器具を準備し、安価で必要とする人に貸し出しをしています。

一口に「補助器具」といっても内容はさまざま。車いす・電動車いすから、iPhoneやiPadを使ったコミュニケーションツール、そして目の動きだけでコンピュータを操作できる装置など、「ふつうの生活」をするために必要なありとあらゆる器具が含まれています。

その中でも面白かったのは、最近需要が増えているという「重い掛け布団」。精神的に不安をかかえる人や認知症の人が安心して眠ることができるという研究結果が出ているということで、重い物では14kgのものもありました。「寝苦しいかな」という気がしたので試しに横になってみると、とても落ち着く感じがしました。今後、日本でもはやるかもしれませんね。


以上ですべてのプログラムを終了し、レンタカーを返却するためにガソリンを入れに行きました。今回はボルボのV70のバイオエタノールエンジンバージョンを借りていました。馬力も十分にあり、運転した感じもふつうのガソリン車とそんなに違いはありませんでした。燃費ではガソリン車に及びませんが、「ヨーロッパで最もエコな街」ヴェクショーだけあって、徐々に増えてきているようです。


今年も大変お世話になった鈴木先生と今度は日本での再会を約束して、電車で2時間ほどかけてスウェーデン南部のルンドという街を目指しました。ルンド大学の大学院で社会心理学の研究をしている、私の友人のアルビッドに会うためです。予約をしてくれていたちょっとオシャレなレストランに入ると、"Ja, må han leva"の大合唱が聞こえてきました。これはスウェーデンで定番のお誕生日の歌で「もちろん彼は100歳まで長生きできるさ」という意味。スウェーデン最後のディナーはとても温かい雰囲気で、思い出話に花が咲きました。


そして私たち一行は、コペンハーゲンの空港と街の間にあるクラウンプラザホテルへ。さあ、明日はいよいよ日本に向けて出発です。

Tsukasa

2014年

11月

13日

オリンピア スウェーデン研修2014―その5

スウェーデン研修もいよいよ5日目。

スウェーデンの障害者福祉サービスは、LSS法(一定の機能的な障害のある人々に対する援助とサービスに関する法律)に基づいて、各コミューン(市)によって提供されています。ヴェクショーでも様々な取り組みが行われていますが、今日は、市内26か所で行われている日中活動のうち、5か所を見学することになりました。


朝8:30から、まずスルッセン(Slussen)というセンターで、10か所の日中活動を管轄しているヨーハンさんから、LSS法の概要とこのセンターでの活動についてお話をうかがいました。ここでは、様々な企業から委託される仕事と、絵画や創作などの芸術活動を行っています。見学に行くと、ちょうどみなさんが車のナンバープレートを取り付ける台をパッキングしているところでした。グループになって作業を行う広い部屋の他に、ひとりで静かに作業をしたい人たち向けの小さな部屋もあり、「ひとりひとりの持っている能力を引き出す」ということにとても力を入れていることがよくわかりました。

続いては街の中心部に戻って、毎年訪れているパッペリーアン(Papperian)という紙細工を中心とした作業所へ。ここでは、市の印刷工場から出たさまざまな色の紙を再利用して紙すきを行い、それを使ってポストカードや招待状などさまざまな製品に加工し、販売を行っています。紙すきをするのが得意な人、絵を描くのが得意な人、とそれぞれの力を上手く発揮しながら作業を行っているのが印象的でした。

お店のコーナーでは、スルッセンとテキスタイル・グルッペンで作られたものも一緒に販売しています。障害がある人たちでも使えるように、レジはタッチパネル式。商品や預かっお金をタッチしていくと、お釣りがお金の写真で表示されるというシステムで、「物を作り上げて売る」というプロセスすべてにみなさんが携わることができるようになっていました。ここで売られているさまざまなグッズは、素敵なデザインと風合いでお土産にはぴったりです!!


昼食はリンネ大学にあるカフェ・トゥーバン(Cafe Tufvan)へ。市と大学が共同で運営するこのカフェも実はLSS法に基づく日中活動の場。障害がある方が手際よく注文をとってサーブしています。料理もかなりおいしく、雰囲気がとてもいいカフェなので、いつ行っても学生でいっぱいです。私はチキンのスティックとポテトグラタンのセットを注文。とてもボリュームもあって、大満足なランチとなりました。

午後からは、布を使った製品を作っている、テキスタイル・グルッペン(Textilgruppen)へ。ここでは、布を染色して絵柄を付けて、それを使ってカバンやクッションカバー、キッチン用品などを作ったり、布の切れ端を紐状に加工して機織り機で織ってランチョンマットを作ったりしています。とても明るい人ばかりで、見学している間も、ずっと冗談を言って笑わせてくれたり、実際に布への絵付けを体験させてもらったりしました。最近では、外部の会社に委託して、ここで作った布を木の板と一緒にプレスして、お盆を作っています。決して現状に満足することなく、常に新しいことにチャレンジしようという姿勢は、スウェーデンらしさを感じさせてくれました。


そして今日最後の訪問となる5か所目は、1年半前にできたばかりの、リングスベリィ・ゴーデン(Ringsbergsgården)。ここでの活動は、なんと「貸し会議室」。大小ふたつの会議室を用意し、ヴェクショー市の会議のために貸し出しているのです。意外なことに、スウェーデン人は会議好き。長時間になることもよくあるので、必ずコーヒーや紅茶、にシナモンロールやケーキなどが出てきます。ここでは、会議室の隣に本格的なキッチンがあって、パンやケーキなども自分たちで焼いて提供しています。文字で理解することが難しい人たちのために、すべての作業手順がピクトグラムで説明されていました。また、あまりにもここのパンやケーキがおいしいので、レシピを印刷・製本して販売するということもやっています。民間企業顔負けのアイディアで、たとえ障害があっても実社会と同じような仕事をすることができるのは、生きがいをもってひとりひとりが「その人らしく」生きる上で、とても大切なことだと感じました。


夕方、空き時間を利用して、リンネ大学のちょっと南に位置する給水塔(Vattentorn)に行きました。給水塔とは給水システムに水圧をかけるために、かつてたくさん作られたものですが、鈴木先生はここのことを「百聞は一見にしかず」ならぬ「百見は一聞にしかず」と呼んでいます。なぜ「百見は一聞にしかず」かって??それはぜひ、みなさんの耳で確かめてみてください。


夕食後、私の友人で、フルート奏者で現代音楽の作曲家のハンスが私たちに会いに来てくれました。ホテルの近くのカフェで、日本とスウェーデンの文化の違いについての話が盛り上がりました。日本から遠く遠く離れたスウェーデンに、いつ来ても心から歓迎してくれる友人たちがいることはとても幸せだなと感じた夜でした。

Tsukasa

2014年

11月

12日

オリンピア スウェーデン研修2014―その4

ちょっとお日様が顔を覗かせてくれるような、4日目の朝。


今日は、高齢者施設トフタ・ゴーデン(Tofta Gården)の見学からスタートです。ここは、3つの高齢者のためのユニットと1つの障害者のためのユニットで構成されている、とても家庭的な雰囲気の施設で、毎年必ず見学のコースに入れています。対応してくれたのは、施設長のマーリンさん。実は彼女、まだ20代なのですが、ベテランのスタッフたちからの信頼も厚く、素晴らしい施設運営をされています。今年も、入居者のグレータさんが私たちをお部屋に案内してくれました。いつものように日本からやってきた私たちを大歓迎してくれて、お部屋のことやここでの生活について、お話しを伺いました。ちなみに、彼女が飼っている犬は人気者で、施設中を我が物顔で歩き回っています。


昼食はここのレストランで。スウェーデンの施設の多くには、レストランやカフェが併設されていて、地域の方も自由に食事やお茶をしにくることができます。今日のメニューは、グラタンか魚のホワイトソース。温かくて、とても優しい味で、毎日でも食べに来たい感じです。レストランに来ていた近所に住む男性は、紺色のブレザーを着こなして、どこか誇らしげな雰囲気。オリンピアのスタッフをとても気に入ってくれたようで、何度も何度もハグをしてくれました。


午後からは、ホフスルンドという高齢者施設の中にある、ルンデンというデイサービスへ。ここも私のお気に入りの場所で、毎年欠かさず訪れる定番コースのひとつとなっています。ヴェクショー市で行われている介護している家族の支援について詳しくお話しを伺うことができました。その中でも興味深いのは、家族介護者のためのカード。緊急連絡先を書いて持ち歩くことによって、もし万が一介護者に何かがあったとしても、介護をされている人をサポートすることができるのです。この安心感はとても大きいと思います。

アットホームでこぢんまりとしたデイサービスには、今日は男性ばかりの利用者の方が来られていました。コーディネーターの鈴木先生が昔からよく知っている会計士の方と再会するなど、うれしいハプニングもあり、とても有意義な時間を過ごすことができました。


見学の後は、私の留学していたリンネ大学へ。ソーシャルワークを担当しているクリスティーナ先生から、スウェーデンの高齢者福祉の現状や、大学での人材育成についてお話を伺いました。スウェーデンでは、まず高校レベルの介護福祉士の教育を受け、現場で経験を積んだ後に大学でソーシャルワークを学び、施設長や行政の職員、ケアマネジャーとして仕事をするケースが多かったのですが、最近では、高校を出てすぐに大学で学ぶ学生も増えています。その結果、とても若い施設長やケアマネジャーが誕生しているのですが、充実したカリキュラムと教育への信頼のおかげで、即戦力としてみんな活躍しているようです。まだまだ年功序列が残っている日本から見ると、驚かされることもいっぱいです。


大学の中をいろいろと見学したあと、私の友人のエリックが住む隣町のアルベスタまで、車を走らせました。作曲家・ギタリストで、ヴェクショーにある聖シグフリッド国民高等学校で音楽を教えている彼は、実は空手の先生でもあります。稽古が終わった後、彼の家に行くと、なんと彼のお母さんが待っていました。11年ぶりの再会でしたが、私のことをとてもよく覚えていてくれました。なんでも、1年ほど前から同居しているとのこと。親と同居するというのはスウェーデンではとても珍しいことなのですが、子どもの面倒もよく見てくれて、とてもうまくいっているとのことでした。エリックの娘のリネアちゃんに、私の娘からのプレゼントを渡すと、とても照れながらも喜んでくれました。


その後、エリックと一緒にヴェクショーに戻り、メキシコ料理のお店でディナー。とてもフレンドリーな店員さんで、トルティーヤの作り方を教えてくれたりと、なぜかスウェーデンでメキシコ料理を満喫することができました。なんだか、明日もいい1日になりそうです!!

Tsukasa

2014年

11月

11日

オリンピアスウェーデン研修2014―その3

ヴェクショーで迎える最初の朝は、あいにくの雨模様。この時期のスウェーデンは、曇りと雨のどんよりとしたお天気がずっと続きます。でも、雨が降っても、ほとんどの人は傘をさしません。せいぜいフードをかぶるぐらいですね。こんなところでも文化の違いを感じることができます。


さて、今日は朝から時間に余裕があったので、ヴェクショー市のゴミ収集所に向かいました。ヴェクショーは「ヨーロッパで一番エコな街」として英BBCに認定されているほど、環境政策には力を入れています。日常的な家庭ゴミ・生ゴミ以外の大きなものは、自分たちで収集所まで運んでいくのですが、その分別の種類の多さにはビックリさせられました。

続いて訪問したのは、"Uteförskolan Äventyret"という名前の幼稚園。1日中子どもたちが森の中で過ごす幼稚園で、ここ3年ほどの定番コースになっています。到着すると、さっそく子どもたちの10時のおやつのパン作り。まるでキャンプに来ているような気分です。それにしても子どもたちは元気いっぱい。-5℃になるまでは、昼食の時間を除いて外で過ごしています。かなり厚着をしていったつもりだったのですが、私たちの方がガタガタ震えてしまいました。

毎年案内をしてくれていたヨナタン先生に代わって、今年はロニー先生が幼稚園での取り組みを説明してくれました。スウェーデンの幼稚園では、いつも何かテーマを持って保育をするのが特徴。子どもたちがいつもやるように、袋の中に入ったグッズを取り出し、それにまつわるテーマを説明してくれました。特に面白かったのは、「トロルからのお手紙」。「友だちがみんなお城の方に行っちゃったから探してきてくれない?」という手紙を見つけた子どもたちが、みんなでバスに乗って、リンネ大学の近くにあるテレボーイ城まで出かけていく、というプログラムです。途中でいろいろなハプニングはありましたが、「誰かのために力を貸してあげる」ことによって、連帯感や信頼を学ぶことができたそうです。子どもの頃からの教育が、スウェーデンの人たちの福祉の考え方の根底にあるんだということを感じさせられました。

ちなみに、ヨナタン先生は育休中とのこと。男性でも育休をふつうに取れるのスウェーデン流ですね。


辛い辛いタイ料理で体を温めたあと、ホテルに戻って、オリンピア兵庫で行われている「若手リーダー育成研修」にFace Timeのテレビ電話で飛び入り参加しました。スウェーデンに関する質問を鈴木先生に答えていただいたり、こっちに来ているスタッフが感想を伝えたりと、とても盛り上がったひとときでした。それにしても、ITの進歩はすごいですね。


午後は、ヴェクショー市の福祉委員会のカタリーナ委員長と、ヘルパーステーションのキャロリーン所長にお話を伺うために、市役所を訪れました。着いて驚いたのは、スウェーデンの国旗に並んで日章旗が掲げられていたこと。私たちへの歓迎の気持ちを表してくれていたのでした。おふたりからは、ヴェクショー市での福祉の現状について、データを交えながらとても詳しいお話しを伺うことができました。人口約86,000人のヴェクショーで、2,300人の人が福祉に従事していて、そのうち男性は11%。いま、利用者の選択肢を増やすということに力を入れていて、「需要より供給が多くないと選択肢は生まれません」という言葉が印象的でした。

また、スウェーデンのホームヘルパーの1日は、朝7時に集合し、ミーティングを行うところから始まります。そこで前日の記録の読み合わせをしたり、スケジュールを確認したりするのですが、ミスを減らすために、細かいところまでチェックをすることが徹底されている印象を受けました。認知症の利用者のケースでは、早い段階から認知症専門看護師などの専門職と連携を取り、適切な対応を行っているようです。


市役所を後にした私たちは車で東へ向かいました。ヴェクショーの位置する「スモーランド地方」には「ガラスの王国」と呼ばれる、ガラス工場が集まっている地域があります。お目当てはそこにある工場直営のアウトレット。時期によってはガラス作りの様子を見学できますので、ぜひお立ち寄りください!!

Tsukasa

2014年

11月

10日

オリンピアスウェーデン研修2014―その2

スウェーデンで迎える最初の朝。昨日の夜から降り出した雨がちょっと心配でしたが、なんとかお天気は持ちそうです。すっかりリニューアルされたホテルの朝食ビュッフェは、パンやチーズ、ハム、果物ととてもバラエティに富んでいて、朝からお腹がいっぱいになりますね。


今日のスケジュールは、ストックホルムの観光がメイン。やはり、スウェーデンの福祉を理解するためには、歴史や文化、人々の生活も含めて、スウェーデンという国を知ってもらうことが必要だと考え、毎年プログラムに入れています。

まずは、10:00からのストックホルム市庁舎の見学ツアーに参加。メーラレン湖に面する優雅なこの建物は、スウェーデン人建築家、ラグナル・エストベリ(Ragnar Östberg)によって設計され、1911-23年にかけて建築されました。なんといっても有名なのは、毎年12月10日にノーベル賞受賞祝賀晩餐会が開かれる「青の間」ですね。この空間に1,300人もの人が入って晩餐会が行われるとは、何度訪れても信じられないような気がします。

続いて向かったのは、ノーベル博物館。今年、青色発光ダイオードの研究で3名の日本人が物理学賞を受賞されるということもあって、注目を集めそうなスポットです。知らない間にスマートフォンで各国語の音声ガイドを聞けるようになっててビックリ。ここでのお土産の定番は、祝賀晩餐会でもコーヒーと一緒に出される、ノーベル賞のメダルの形をしたチョコレート。今年は紅茶とのセットも販売していました!!

さて、軽く昼食を済ませると、王宮での衛兵の交代式の時間になりました。どこの国で見ても素晴らしい交代式ですが、合間に伝統的なラッパのアラームについての説明があったりと、スウェーデンの交代式はとても楽しめるので、オススメです。でも、衛兵のみなさんはとても寒そうですね・・・。これからの時期、ちょっと大変そうです。

その後は、大聖堂に寄った後、旧市街であるガムラ・スタン(Gamla Stan)をぶらぶらと散策。たくさんのお土産物屋さんや、スウェーデンの伝統工芸品を扱うお店がたくさんあるので、要チェックです。とあるお店で、トナカイの毛皮をものすごく勧められたのですが、あまりにもかさばるので断念。でも、とってもサラサラしたキレイな毛皮で、断熱効果は抜群だそうです。


ストックホルム駅でちょっとFika(お茶)をしたあと、16:21発のSJ2000に乗って、アルベスタ経由でヴェクショーに向かいました。スウェーデンは比較的ましな方だと思いますが、やはり日本の新幹線のようには時間通りにならないこともしばしば。でも今回は、予定通り19:47にヴェクショーに到着しました。

駅では、毎年この研修でお世話になっているリンネ大学の鈴木満先生がお出迎えしてくださり、駅前のホテル・カーディナル(Hotel Cardinal)にチェックイン。研修のスケジュールについて打ち合わせをして、解散となりました。

さあ、明日からいよいよ本格的な研修のスタートです!!

Tsukasa

2014年

11月

09日

オリンピアスウェーデン研修2014―その1

今年もいよいよスウェーデン研修の時期がやってきました!!

多数の応募者の中から選ばれた、オリンピア灘の日原佐登美さん、オリンピア兵庫の稲田麻里さん、オリンピア住吉の大久保知香さんというメンバーで、7泊8日のスウェーデンの旅に出発です。


今回はフィンランド航空で、関西国際空港ーヘルシンキーストックホルムというルート。「フィンエアーなら北欧はこんなに近かった」というキャッチコピー通り、関空ーヘルシンキが約10時間、ヘルシンキーストックホルムが約1時間と、あっという間の快適なフライトでした。

フィンエアーは、日本でも大人気のマリメッコとデザインパートナーシップ契約を結んでいて、機内のいたる所でマリメッコのデザインを発見することができます。デザインを生活の一部として大切にする、北欧ならではの「おもてなし」ですね。http://www.finnair.com/JP/JP/marimekko


ストックホルムのアーランダ国際空港からは、アーランダ・エクスプレス(Arlanda Express)でたったの20分。今回は、通常大人片道260SEKのところ、木曜日から日曜日だけ使えるお得なグループチケットがあったおかげで、4人で480SEKで行くことができました。交通に限った話ではありませんが、北欧の国ではこのように、知らない間に新しくて良いシステムが導入されていることがよくあります。旅行の際は、ガイドブックには載っていない最新情報も調べておくことをオススメします!! https://www.arlandaexpress.com/


宿泊はいつものNordic Sea Hotel、と思ったら、"Nordic C Hotel"と名前が変わり、フロントのあるエントランスフロアは、とてもオシャレに大胆に改装されていました。入っていくと、フロントの方が私の姿を見つけるなり「Tsukasaでしょ?」と声をかけてくれたのにはビックリ。きっと面白い名前だったんでしょうね。http://www.nordicchotel.se/


ホテルの周辺を散策し、夕食を済ませるとさすがに旅の疲れが・・・。今日は早めに切り上げて、明日からの研修に備えることにしましょう。

Tsukasa

2014年

9月

19日

フィリピンから視察に来られました!!

9月19日(金)、神戸国際大学が提携を結んでいる、フィリピンのビコール・キリスト教医科大学から、学長、医学部長をはじめ8名の先生方が、オリンピア兵庫に視察に来られました。一部、ビザの発給に時間がかかり、予定より2日遅れの訪問となりましたが、無事にみなさん揃って来ることができました。

 

施設の概要について簡単にご説明した後、デイサービス、ショートステイ、グループホームの各サービスを見学していただきました。

デイサービスでは、小規模で家庭的な雰囲気の中で、利用者のみなさんが、手芸をしたり、絵を描いたり、お話しをしたりと、思い思いの時間の過ごし方をされていることに、みなさん驚いておられました。グループホームでは、ちょうどおやつのフレンチトーストを作っているところで、認知症になっても、ひとりひとりの残された力を最大限に引き出す、オリンピアのパーソンセンタードケアについて、大変関心をもたれていました。

 

引き続き、Cafe Olympiaでコーヒーを飲みながら、私がオリンピアの歴史や取り組み、理念についてプレゼンテーションをした後、ディスカッションとなりました。日本の高齢者施策のあゆみやこれからの方向性、介護保険制度といった大きな話から、オリンピアの運営や人材採用・人材育成といった具体的な実践まで、様々な議論を交わすことができ、大変充実した時間となりました。

フィリピンでは、レストランやホテル、薬局などで高齢者は20%割引を受けることができるとのこと。まさに、「所変われば品変わる」ですね。

 

オリンピアではこれまでもたくさんの海外からのお客さまを受け入れてきましたが、最近特にアジアの国々からの訪問が増えています。みなさん、とても熱心にお話しを聞かれ、ちょっとでも疑問に思えばどんどん質問が飛んできます。これから高齢化を迎える国々が、日本の経験から学びたいという強い思いが伝わってきます。

 

これからも、オリンピアの経験や取り組みを、海外に向けてもどんどん発信していきたいと思います。

Tsukasa

2014年

8月

10日

オリンピア兵庫が10周年を迎えました!!

 8月9日(土)、台風が接近してお天気が心配される中、高齢者総合福祉施設オリンピア兵庫10周年記念式典と、Olympia Market!! "Swedish Summer"を開催しました。


 神戸聖ミカエル教会の上原信幸司祭のお祈りによって開会した10周年記念式典では、山口 元 理事長のご挨拶に引き続き、神戸市会議員の守屋隆司様、兵庫区保健福祉部長の堀茂様よりお祝いのお言葉をいただきました。そして、オープニングから私と苦楽をともにしてくれた、5名の勤続10年のスタッフ表彰を行いました。
 引き続いて、オリンピア福祉塾講座「明日の福祉に希望の光を―オリンピア兵庫10年の歩み」と題して、私がオリンピア兵庫の目指してきたこと、これまでの取り組みの数々、そしてこれからのチャレンジについてお話しをしました。93歳の入居者の方のハワイ旅行、Salon de l'Olympia、若手リーダー育成研修、Cafe Oympia、海外交流プロジェクト、新入職員トレーニング合宿、スウェーデン研修・・・。常に新しいことにチャレンジし続けてきた10年間でした。

 

  ここで気分転換に、私のコントラバスと看護師の葛城はるかさんのピアノによるミニコンサート。クラシックの名曲や、懐かしい日本の歌を聞いていただきました。そして、「オリンピアフォトコンテスト2014」の表彰式。サッカーJリーグのヴィッセル神戸の相馬崇人キャプテンや、リンクエイジ(株)の吉奥祐介代表取締役などに審査員を務めていただき、63枚の応募作品の中から、最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞が決定しました。
 続いてメイン会場ではスウェーデンの夏の風物詩、ザリガニパーティを開催。ザリガニの食べ方のレクチャーをしたり、スウェーデンのザリガニパーティで必ず歌われるドリンキング・ソングを紹介したり・・・。お皿いっぱいに並べられたザリガニに最初は戸惑っていたみなさんも、「意外においしい!」と、たのしんでいただくことができました。
 

  引き続き行われた、イラストレーターのthe roket gold starさんによる2コマまんが教室には、小さな子どもたちから高齢者のみなさんにまで参加していただきました。ワークシートに描かれた図形を使って絵を作ったり、オリジナルの2コマまんがを作ったりと、脳をフル稼働させながら、新しいアイディア溢れる力作がたくさん完成しました。
 フィナーレは、ラッフルの抽選会!! ホテル宿泊券や北欧雑貨などの豪華賞品の数々に、会場は大変盛り上がりました。そして、私から、お集まりいただいたみなさまに感謝とお礼の言葉を申し上げて、オリンピア兵庫10周年記念"Olympia Market!!" は閉会となりました。

 

 オリンピア兵庫が入居者のみなさま、ご家族のみなさま、地域のみなさま、そしてスタッフたちに支えられていることを改めて認識した1日でした。苦労に苦労を重ねたオープンから、気がつけばあっという間に10年。毎日が順風満帆というわけではありませんでしたが、いまでも私はどこにも負けない施設だと思っています。
 これからも、全ての人が夢や希望を持って、輝いて暮らすことのできる社会を実現するために、チャレンジを続けていきたいと思います。みなさまのご支援、ご協力、よろしくお願いいたします!!

Tsukasa

2014年

7月

13日

Olympia Market!! @ Olympiar Tsurukabuto

7月12日(土)、オープンを間近に控えた、サービス付き高齢者向け住宅「オリンピア鶴甲」で、プレオープンイベント"Olympia Market!! @ Olypmia Tsurukabuto"が開催されました。"Olympia Market!!"とは、オリンピアの「いま」がぎっしり詰まったイベント。今回も、ティーパーティあり、野菜市あり、バザーありと、盛りだくさんの内容となりました。

 

心配されたお天気もなんとかもって、いざオープン!入居予定のみなさんや近所の方々など、次々にお客さまが来場されました。サービス付き高齢者住宅とは、60歳以上の方ならどなたでも入居できる住宅で、全館バリアフリー構造になっていたり、24時間の見守りサービスがあるなど、おひとりでも安心して暮らしていただくことができます。

 

オリンピア鶴甲は設計の段階から「北欧の高齢者住宅」をイメージして建てられました。25平米の個室にはお風呂やトイレも完備。パラマウントベッドが開発した"Smart Sleep"という最新式のベッドを導入し、ゆったりとお休みいただけます。デンマーク産のフローリングを使った室内は、シンプルで飽きのこないデザインとなっています。
ゆったりとした共用スペースにはダイニングやキッチンがあり、1Fの"Cafe Olympia"では、一般の方もお茶やスイーツをたのしんでいただくことができます。

 

さて、"Olympia Market!!"では、オリンピア鶴甲の中をじっくりと見学したり、ティーパーティでCafe Olympia特製のコーヒーやスウェーデンのスイーツをたのしんだり、丹波のOlympia Farmから届けられた野菜を購入したり・・・みなさん、思い思いの時間を過ごしておられました。

メインイベントはクラリネットコンサート。友人のクラリネット奏者に来てもらって、私のギターの伴奏で、ビートルズの「イエスタデイ」や、サイモンとガーファンクルの「スカボローフェア」などを演奏しました。お客さまからもリクエストをいただいたり、みなさんで一緒に歌ったりと、とても楽しいコンサートとなりました。

 

・・・そして今日。神戸新聞に"Olympia Market!!"の記事が書かれているというので読んでみると、コンサートの写真が載っているではありませんか!私もこれまでかなりの回数、新聞に取り上げていただきましたが、ギターを弾いている写真が掲載されたのは初めてでした。

お近くにお越しの際は、ぜひお気軽に「オリンピア鶴甲」にお立ち寄りください!

Tsukasa

2014年

7月

07日

午前7時の講演

今日は神戸朝祷会にお招きいただき、「明日の福祉に希望の光を―オリンピアのノーマライゼーション」というタイトルで、オリンピアのあゆみと取り組みについてお話しをさせていただきました。

 

朝祷会とは、クリスチャンが教派や教会を超えて集まり、祈りの機会を持つ会で、その取り組みは全国に広がっています。神戸朝祷会の歴史は古く、60年以上前から続けられているとのことでした。これまで、神戸YMCAのチャペルで行われていましたが、建て替え工事のため今週からは三宮キリスト教会に会場を移して開催されました。

 

「朝」祷会というように、スタートは午前7時。私もこれまでさまざまなところで講演をしてきましたが、間違いなく今回が「最も早い時間の講演」です。そして驚いたことに、礼拝で奏楽を担当してくれたのは、牧師である私の叔父、山口 光でした!!

 

礼拝と私の話が終わったあとは、参加者のみなさんとの朝食の時間。いろいろとお話を伺っていると、私の曾祖父や曾祖母の話が飛び出したりと、世間が狭いことにビックリ。でも、改めて人の繋がりの大切さを認識することができました。

 

月曜日の朝、仲間と一緒に礼拝を捧げて、語り合う。そんな1週間のスタートもいいものですね。

Tsukasa

2014年

7月

02日

発達障害を持つ方の就労支援のために

今日、発達障害者サポートセンター「オリンピア住吉」に、発達障害研究の第一人者である、大阪教育大学名誉教授・大阪医科大学LDセンター顧問の竹田契一先生がお越しになりました。

 

2015年1月24日(土)に神戸芸術センターで開催予定の「第17回 学習障害児理解のための基礎と実践講座」の打ち合わせをし、今年度は "発達障害をもつ方の就労" にスポットライトを当てることになりました。「働きたい!!」「自分の力を発揮したい!!」と思っていても、人間関係や仕事の形式によってうまくいかない彼らをどうサポートしていくか、実践的な事例を交えてお話ししていただけるとのことで、いまから楽しみです。

 

竹田先生の応援を受けてオープンしたオリンピア住吉も、2年目を迎えました。今後のオリンピア住吉の活動について先生とディスカッションしていると、ワーキングメモリーのトレーニングプログラムや、発達障害児支援の指導者養成プログラムなど、素晴らしいアイディアがたくさん出てきました。

「こうだからできない」とあきらめてしまうのではなく、「どうすればできるか」を常に考え、チャレンジを続けていきたいと思います。

 

実は竹田先生は、私にとってロータリアンとしての大先輩でもあります。先日シドニーで開催された世界大会の裏話や、「ロータリークラブのあるべき姿」についての熱いお考えも聞かせていただくことができました。

 

やはり、どの分野でも、第一線で活躍されている方のお話は刺激的で元気をもらえるなあ、と実感した1日でした。

Tsukasa

2014年

6月

28日

これからの福祉サービス経営のあり方

今日、株式会社リブウェル主催の福祉サービス経営勉強会に、ゲスト講師としてお招きいただきました。

「これからの福祉サービス経営のあり方―度重なる法改正のなかで安定経営を目指すには」というテーマで、日本の高齢者福祉のあゆみや介護保険制度、地域包括ケアシステムと今後の高齢者福祉の方向性、福祉サービス経営の戦略と、人材(ヒト)・サービス(モノ)・財務(カネ)・情報の4つの要素、そして福祉サービス経営が抱える課題とこれからについてお話をしました。

 

参加者は、実際に介護サービスの経営に携わっている方々。社会福祉法人やNPO法人、そして株式会社と、さまざまな所属の方が来られていました。

セミナー修了後、参加者の方々とお話していると、みなさん口にされていたのが、2015年度の制度改正に対する不安。確かに、我々は介護保険という大きな制度の中で事業を運営しているので、制度の変更から受ける影響は少なくありません。

 

でも、時代の変化や制度の改正は我々の手ではどうしようもありませんが、できることはたくさんあるはずです。迅速な情報収集に努め、適切な戦略を立て、すぐにアクションを起こしていく。そして、それを可能にするための企業理念をつくり、人材育成や組織づくりに日々取り組む。これが何よりの対応策なのです。

 

どんな分野でも、大成功を収めている人をじっくりと眺めてみたら、きっと「あの人があんなにうまくいっているのも不思議ではないなあ。あの人のやっていることすべてを見てごらんよ」とつぶやくことになる。

アメリカのマーケティング・コンサルタントのダン・S・ケネディはこのように言っています。

さあ、しっかりと前を向いて、どんどんアクションを起こしていきましょう!!

Tsukasa

2013年

11月

22日

オリンピアスウェーデン研修2013―その6

研修6日目、ヴェクショーで迎える最後の朝。

「たくさん飲む人には集合時間を1時間早く設定すればいいんだよ!!」という鈴木先生のアドバイスがきいたのか、みんななんとか荷造りを終えて時間通りにチェックアウトをすることができました。

 

今回宿泊したClarion Collection Hotel Cardinal Växjöは、ヴェクショー駅から徒歩3分という立地もありますが、ビュッフェスタイルの夕食がついているということで大人気。スタッフもとてもフレンドリーで、オススメのホテルのひとつです。

https://www.nordicchoicehotels.se/clarion-collection/clarion-collection-hotel-cardinal/

 

さて、今日は10:00から、ホフスルンドという高齢者施設を訪問しました。ここの中の一室を利用して行われている「ルンデン」(Lunden)とうデイサービスは、小規模でとっても家庭的な雰囲気で、私のお気に入りの場所です。みなさんちょうど朝のフィーカの時間で、それぞれがコーヒーやお好きなパンやスイーツをたのしまれていました。中には「日本で噴火があって新しい島ができたんでしょう?」と、最新のニュースを教えてくださる利用者の方もいて、ビックリです。

会議室に移動して、施設長のアン=クリスティンさんとルンデンのスタッフの方からお話を伺いました。こういうときには必ずコーヒーとスイーツが出てくるのがスウェーデン流。研修中、ずっと何かを食べているような気もしますが・・・。

ヴェクショー市で受けられる高齢者福祉サービスのお話の中で、最近は特に家族介護者へのサポートを充実させているとのこと。特に、介護者に緊急事態があったときに、介護をされている人が適切なサービスを受けられるように、緊急連絡先などが書かれたカードは、日本でもぜひ導入したいものでした。日本に比べると、何歩も先を行くシステムを作り上げているにもかかわらず、「それでも改善の余地があるのよ」と常に前向きに新しいことにチャレンジしようとしている姿を見て、スウェーデンのすごさを改めて感じさせられました。

 

昼食は、大学に移動して、障害をもった方が働くカフェ・トゥーバン(Cafe Tufvan)へ。スウェーデン名物のミートボールやパスタサラダなど、ヘルシーでおいしいメニューは学生にも大人気。障害があっても、ごくごくふつうに社会の中に溶け込んでいる様子は、「ノーマライゼーション」という言葉の本当の意味を教えてくれるような気がします。

 

さて、昼食後、スタッフのみんなを駅まで送って、私と鈴木先生で少し足をのばして、私が留学していたころにとってもお世話になった、ビョーン先生(Björn Albin)のお墓参りにいきました。留学して最初の講義を担当してくれたのがきっかけで、施設に実習にいったり、調査をしたりするときには、いつも親身になって話を聞いて、アレンジやアドバイスをしてくれた、とっても優しくて温かい先生でした。今回もお会いできるのをたのしみにしていたのですが、今年、急にお亡くなりになり、再会を果たすことはできませんでした。でもきっと、どこかから見守ってくれているような気がします。

 

駅まで戻ると、もう電車の時間。今回の研修でも、何から何まで本当にお世話になった鈴木先生にお礼を言って、記念撮影をして、電車に飛び乗りました。

―西に向かうこと約2時間。私たちはスウェーデン南部の街、ルンド(Lund)に到着しました。駅までは、私の友人で、現在ルンド大学の大学院で心理学の研究をしているアルビッドくんが迎えにきてくれていました。大学の彼のオフィスに荷物を置かせてもらって、新しくできたというドイツ料理のお店へ。たくさん食べて、飲んで、しゃべって、スウェーデン最後の夜はあっという間にたのしく過ぎていきました。

 

そしてまた電車に乗って西へ。スウェーデンとデンマークをつなぐ橋、オーレスン・リンク(Øresund link)を渡ると、あっという間にコペンハーゲンのカストラップ国際空港へ。そこから地下鉄で2駅いったところの、Park Inn Copenhagen Airportが今日のホテル。とってもシンプルでモダンな北欧デザインでまとめられたインテリアで、とってもステキなインテリアでした。

 

さあ、明日はいよいよ日本に向けて出発です!!

 

Tsukasa

 

 

2013年

11月

21日

オリンピアスウェーデン研修2013―その5

研修もいよいよ5日目。そろそろ疲れがたまってくるころかな・・・との心配をよそに、参加メンバーは今日も元気いっぱいです!!

 

今日は9:00より、ピールベッケン(Pilbäcken)幼稚園・小学校を訪問しました。ヴェクショー市の北部に位置するここは、幼稚園と小学校が同じ敷地内にあり、市内でも人気の学校となっています。

 

まずは幼稚園の責任者のカタリーナさんからお話を伺いました。こちらの幼稚園には、年齢別の11クラスに分かれて180人の子どもたちが通っていて、36人の先生が担当しています。ここでは、レッジョ・エミリア・アプローチというイタリア発祥の教育法が実践されていて、子どもたちの創造性や可能性を引き出すために、さまざまな取り組みが行われていました。子どもたちと何かを決めるときでも「民主性」が大切にされている様子を見て、スウェーデンの民主主義がこれほどまでに成熟している理由がわかるような気がしました。また、2010年の学習指導要領の改訂によって、これまでの「個人」を大切にしたアプローチが、再び「グループ」をを通して個人を見る、という考え方に変化したというのも興味深く思いました。

 

続いては小学校を校長のアンダシュ先生に案内してもらいました。ヴェクショー市でも人気のこの学校には、現在400人の児童が通っています。そのうち1/3が外国にルーツを持っているのですが、多様性を大切にしているので、問題は全くない、とおっしゃっていたのが印象的でした。学校の中を見学していると、「コンニチハ!!」とたくさんの子どもたちが集まってきてくれました。中には授業そっちのけで教室から出てきてしまう子も・・・。温かい歓迎がうれしかったです。

昼食は学校の給食をいただきました。ビュッフェ形式で、今日のメインはタラとニシンのパン粉焼き。食材の種類も豊富で、うらやましくなるような、とてもおいしい給食でした。

 

午後からは、月曜日に行く予定だった、森の中の幼稚園へ。ここでは冬でもほとんどの時間を外で過ごしています。子どもたちに大人気のヨナタン先生が説明をしながら案内してくれたのですが、子どもたちは私たちのまわりを走り回ったり、岩に登ったり、木に登ったり、こけたり・・・と元気いっぱい。子どもの持つ力が引き出されているなあ、ということを身をもって実感しました。ここの幼稚園ではお昼寝も外で。スウェーデンには、外で寝るためのベッドがあるのです。ふかふかの毛布や寝袋に包まれて寝ている様子を見ていると、とても気持ちよさそうでした。ちなみにこのときの気温は3.5℃。ずっと外で見学していたので、私たちの方が寒くなってしまいました・・・。

 

続いて訪れたのは、エベリッド(Evelid)という高齢者施設。ここは、1Fがヴェクショー市の運営するショートステイ、そして2F・3Fが民間企業に運営委託されたケア付き住宅になっているという、非常に珍しい施設です。市営の方と民営の方の両方の方が一緒にお話をしてくれたので、共通点と違いがはっきりと見えて、とても興味深かったです。そして、お互いがとてもよい関係であるということがよくわかったので、ショートステイからケア付き住宅に入居する場合も、うまく連携が取れているというのも納得でした。建物の中は、隅から隅までとても清潔感があり、家具や装飾など、とてもおしゃれでセンスがよく、そして機能的な空間になっていました。常にそこに住む人や働く人の目線に立って建物が作られている様子は、ぜひ参考にしたいと思いました。

 

そして夕方。留学していたときに一緒で、いまもスウェーデンに住んでいる日本人の友人が、ご主人とホテルに訪ねてきてくれました。10年ぶりの再会でしたが、そんな時間を感じさせない、とてもたのしいひとときでした。

さあ、明日はいよいよヴェクショー最終日。よい1日にしたいと思います!!

 

Tsukasa

2013年

11月

20日

オリンピアスウェーデン研修2013―その4

どんよりとした曇り空で雨がパラパラと降っている、典型的なこの時期のスウェーデンの天候の中、研修の4日目はスタートしました。

 

今日は8:00から、ヴェクショー市の高齢福祉課でお話を伺いました。朝早いことに驚かれるかもしれませんが、スウェーデンでは朝早くから働いて、夕方もきっちり帰るのがスタンダードです。市職員のベーリットさんと、高齢者施設の施設長のペーターさんが、行政と現場というふたつの立場からヴェクショー市の高齢者福祉の現状について、息ぴったりのチームワークでお話ししてくれました。

近年、スウェーデンの福祉分野において民営化が進んだり、財政的な問題からケアの質が下がったということが指摘されています。でも、少なくともヴェクショー市においては、そのような状況においても、しっかりとレベルの高いサービスを担保するために、とても機能的なシステムが作り上げられ、さらに進化しているということが、とても印象的でした。

 

続いて10:00からは、障害をもった方が働く紙工房、「パッペリアン」(Papperian)の見学です。私自身はヴェクショーに来るたびに訪れている場所ですが、市の印刷工場から持ち込まれる紙を細かくちぎってミキサーにかけ、紙すきをしてその紙を使った製品を作り、そして実際にお店で販売するという工程の中で、ひとりひとりの得意なことや能力を生かす場が与えられている、ということにはいつも驚かされます。

 

昼食はヴェクショー駅近くのタイ料理のお店で。私が留学していた10年前、ここのお店は"Tokyo"という名前の中華料理屋さんだったな、と懐かしく思い出しました。

午後からは、障害をもった方が働く、布を使った製品を作る工房、「テキスタイルグルッペン」(Texilgruppen)を訪問。行ってみると、留学していたときに、講義の実習で訪問させてもらったことがある場所で、当時から働いているとても懐かしい顔があってうれしく思いました。しかし、何よりも驚かされたのは、製品のクオリティの高さ。布の染色からデザイン、そして絵付けまで、主に知的障害をもった人たちがほぼ自分たちの力で行っているのです。ここで作られた製品は、先ほどのパッペリアンで販売されています。ヴェクショーにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください!!とてもステキなお土産が買えますよ。

 

夕方、私の空手仲間で、フルート奏者・現代音楽の作曲家のハンスが、ホテルまで私たちを迎えにきてくれました。なんと、アルベスタにあるエリックの道場まで、みんなで空手をしに行こうというのです!!車で約20分。道場に着いてみると、私の分まで道着やタオルを用意してくれていました。飛び入りで太西さん・尾崎くんも参加して、日本の空手とは少し違った(?)スウェーデン式のハードな稽古を1時間半ほど行いました。彼らとスウェーデンで本格的に稽古をするのは10年ぶりでしたが、全くそのブランクを感じさせられない、とてもステキなひとときでした。お礼に、私の流派である和道会の形を披露して、今日の稽古は終了。長い旅の途中でこうやって体を動かすことができるのは、とてもいいですね!!

 

さて、稽古の後はヴェクショーに戻り、スモーランド博物館の中に昨年オープンした、「居酒屋もし」で夕食となりました。このお店、「もしもし」というお寿司屋さんがプロデュースしたので「もし」という面白い名前がついています。料理は、前菜やお寿司、魚料理など、ヘルシーなものが多く、スウェーデン人には大人気。私たちから見ると、ちょっと変わった多国籍風のメニューもありますが、それはご愛敬ですね。

夕食後、ハンスが私たちを乗せて、市内をドライブに連れて行ってくれました。鈴木先生に「百見は一聞にしかず」と名づけられた水道塔や、大学の敷地内でレストラン・ホテルとして営業しているテレボーイ城、そして1400年代に建てられたクロノベリイ城跡と、思いがけない夜の観光をたのしみ、長かった一日が終わりました。

 

さあ、明日は子どもたちの幼稚園や学校を中心に訪問です!!

どんな1日になるのでしょうか?

 

Tsukasa

2013年

11月

19日

オリンピアスウェーデン研修2013―その3

ヴェクショーで迎えるひさしぶりの朝。町中を走り回る清掃車の音がとても懐かしく感じられます。

ハムやチーズ、ソーセージにミートボール、そしてたくさんのフルーツといった、典型的なスウェーデンのホテルの朝食をいただいて、いよいよ本格的な研修プログラムがスタートしました。

 

まずは9:00リンネ大学看護福祉学部のクリスティーナ先生(Christina Siwertsson)から、スウェーデンの高齢者福祉の概要と歴史について、1時間半ほど講義をしてもらいました。高齢者福祉の理念やシステムについて、実際に現場を見る前に話を聞くことができたのは、理解を深める上でも非常によかったのではないかと思います。これからの課題について質問をしたところ、介護職をどう確保するか、介護の仕事の魅力をどうやって伝えていくか、日本と共通する点も見受けられました。

 

続いて、親友のエリック(Erik Bratt)が音楽コースの教師として勤めている、聖シグフリッド国民高等学校へ。私が留学していた10年前、「学校に空手部を作ろうと思うから手伝ってくれない?」と声をかけられたのをきっかけに、私たちは毎日のように会って、空手の稽古をしたり、音楽談義をしたり、お酒を飲んだりしたものでした。残念ながら、彼のお嬢さんが熱を出して出勤できなくなったとのことで、校長先生とブリット先生が学校の中を案内してくれました。国民高等学校は、高校と大学の間に位置する北欧独自の教育システムで、いまから100年ほど前に国民運動の中から生まれてきました。現在スウェーデンには150の国民高等学校があり、音楽やアートなどの専門的なコースや、移民の人たちや高校をドロップアウトした人たちのためのコース、スウェーデンの言語や文化を学ぶコースなど、さまざまな役割を果たしています。今回、何人かの学生とも話をすることができましたが、その出身国は、イラク、アフガニスタン、コロンビア・・・とさまざま。いまの世界の情勢の縮図がここにはありました。

校長先生から「ここの学校のランチは最高だから、ぜひ食べていかない?」とお誘いを受け、学生たちと一緒にお昼後はんをいただきました。ここの学校では、全てエコロギスク(Ekologisk)と呼ばれるオーガニック食材を利用しているので、おいしく安全な食事がいつも提供されているのです。

 

さて、ホテルに戻って、今回も研修のコーディネートをお願いしている、リンネ大学の鈴木満先生と合流して、私たちはトフタゴーデン(Tofta Gården)という高齢者施設を訪問しました。施設長のマーリンさんがお忙しいとのことで、中を案内してくれたのは、ニクラスさん(Niklas)という23歳のという男性。なんと彼は、リンネ大学でソーシャルワークを学ぶ学生で、将来施設長になりたいとのことで、半年間、マーリンさんについて実習をしているのでした。「見学者の対応をするのも施設長の仕事だから・・・」と言っていましたが、実習生が施設の紹介をしてくれたのには私たちもビックリでした!!「施設長になるために、これから経営学や組織論についても学んで、チャンスがあったらすぐにでもチャレンジしたい!」と答えるニクラスさんに、私たちもとても刺激を受けました。そして、昨年もお会いした入居者のグレータさんにお部屋を見せてもらったり、中を案内してもらったりと、とても楽しい時間を過ごすことができました。

 

見学を終えた私たちは、レンタカーでヴェクショーから東に50kmほど離れたコスタのガラス工場を目指しました。ヴェクショーの位置するスモーランド地方(Småland)は、「ガラスの王国」と呼ばれるたくさんのガラス工場で有名。研修の参加メンバーは、日本からのお土産リストとにらめっこしながら、ショッピングを楽しんでいました。

 

ホテルに戻って食事を終え、スーパーマーケットをぶらぶらしていると、エリックから電話が・・・。「いま、他の音楽の先生たちと飲んでるからこない?」とのお誘い。お嬢さんはいま、前の奥さんが面倒をみているとのこと。さっそく彼らと近くのホテルのパブで合流して、昔話や音楽談義に花が咲きました。明日、彼の空手道場をみんなで訪問することが決まり、濃厚な研修3日目も無事に終了。今日はぐっすり寝られそうです・・・。

 

Tsukasa

2013年

11月

18日

オリンピアスウェーデン研修2013―その2

ストックホルムで迎えた2日目の朝。毎日どんよりした空が続くこの時期のスウェーデンにしては奇跡的に、雲ひとつなく晴れ渡りました!!今日もステキな1日になりそうです。

 

朝の散歩タイムに引き続き、宿泊した"Nordic Sea Hotel"で朝ご飯を食べていると、「コンニチハ」と陽気に声をかけてくれる男性がいました。日本語が少し話せるということで、私たちを見つけて話しかけてくれたとのこと。こういった出会いも、海外に行くときの楽しみのひとつですね。

 

今日はまず、毎年恒例となった、ストックホルム市庁舎の見学ツアーに参加。毎年12月にノーベル賞の記念晩餐会が開かれるこの場所は、何度訪れてもいいものです。詳しい説明は以前のブログを見ていただくとして、やはりそんなにスペースのない「青の間」で1,300人がフルコースのディナーを食べるということには驚かされます。

続いて王宮を少し見学してから、ノーベル博物館へ。日本人観光客に大人気のノーベルチョコレート(実際に晩餐会で出されるのと同じもの)に、10枚入りの缶バージョンができていました。もちろん、みなさんお買い上げです!!

お昼ごはんは、ガムラ・スタンの大聖堂近くにある"Kaffegillet"で。14世紀のワイン貯蔵庫をそのまま利用した、中世の雰囲気が漂うお店で、ミートボールやベイクドポテトといった、典型的なランチをいただきました。オーダーがひとつ忘れられるというトラブルもありましたが、食事をしたあとはお買い物タイム。ステキな雑貨屋さんをはしごして、いいお土産ができたようです。

 

続いて、スウェーデンのYMCA・YWCAである、KFUK-KFUM(Kristliga Föreningen av Unga Kvinnor och Kristliga Föreningen av Unga Män)を訪問。女性の方が先に来るのが、さすがスウェーデンといった感じです。

そして、電車まで少し時間があったので、今回はヴァーサ号博物館まで足を伸ばしました。ヴァーサ号とは、スウェーデンの強大な力を示すために作られた、当時としては最強の戦艦ですが、なんと1628年に処女航海に出るときに突風に襲われ、あっけなく海底に沈没してしまったのでした。333年後の1961年に引き揚げられ、現在は現存する最古の完全船として展示されています。私もこれまでなかなかチャンスがなく、今回初めて見たのですが、その大きさと美しさ、そしてものすごい迫力に、ただただ圧倒されるばかりでした。

 

さて、博物館から駅に向かう途中に乗ったピンク色の派手なタクシー。運転手はエレーナさんというロシア出身の方で、自ら「ディスコタクシー」と呼んでいるように、車内にはネオンが光り、大音量で音楽がかかっていました。

 

17:06ストックホルム発のSJ2000(日本の新幹線のようなもの)に乗り、アルベスタ経由で一路ヴェクショーへ。参加者のみなさんにも「街の雰囲気がステキ」とよろこんでもらうことができました。駅からすぐ近くにある、"Claropn Collection Hotel Cardinal"にチェックインし、夕食を食べて長かった1日もおわりです。

 

さあ、明日からいよいよ本格的な研修がはじまります!! とってもワクワクしてきました!!

 

Tsukasa

2013年

11月

17日

オリンピアスウェーデン研修2013-その1

今年もまた、スウェーデン研修の時期がやってきました!!

 

第4回目となる今回は過去最多の応募があり、厳正な審査の結果参加者は、特別養護老人ホームオリンピア施設長の太西さん、オリンピア都保育園主任の土井さん、オリンピア神戸北保育園主任の山本さん、オリンピア兵庫のショートステイのユニットリーダー尾崎さんに決定。そして、神戸YMCAから松田さんが参加されて、計6名でスウェーデンにいくことになりました。

 

2013年11月16日(土)、集合時間に余裕をもって関西国際空港に到着すると、すでに私以外のメンバーはスタンバイOK。研修への意気込みが感じられますね!!

今回はドイツのフランクフルト経由。利用したルフトハンザドイツ航空741便は、ボーイング747-400、日本の航空会社では引退してしまった、懐かしの「ジャンボ機」でした。すがすがしい秋晴れの中飛び立った飛行機は、とてもスムーズなフライトで、フランクフルト・アム・マイン空港に到着。12時間半のフライトではありましたが、機内でWi-Fiが使えたということもあって、今回は原稿をいくつか書いている間に、あっという間に過ぎていきました。

「せっかくドイツに来たのだから、ちょっとビールとソーセージでも」と思っていたのですが、あまりにも乗り継ぎがよすぎて、手荷物検査、入国審査を終えて搭乗ゲートまでたどり着くのでで精一杯でした。

フランクフルトから2時間弱のフライトで、飛行機はストックホルム・アーランダ国際空港へ。空港に子どもたちの遊ぶスペースが作られていて、ヘラジカさんが出迎えてくれました。空港からは、「アーランダ・エクスプレス」に乗って20分でストックホルム市内へ。週末なので3人セットのチケットがあり、半額以下で乗ることができました。

 

ホテルは毎年おなじみの、"nordic sea"。部屋一面に貼られた冬のストックホルムの景色を見ながら過ごすお部屋です。「予約していた部屋数が多いから、間違ってるのかと思った!!」とホテルの人が笑いながら話しかけてくれました。

時間に余裕があったので、ホテルのまわりを散策していると、立ち寄ったセブン-イレブンで、陽気な若者ふたりに遭遇。「何しにきたの??」「これからどこに行くの??」と、日本人の我々に興味津々の様子でした。「どこか食事するのにいいお店ない?」と聞くと「あるよ、あるよ!!」と盛り上がっていたふたり。でも、店の名前を聞くと、「えーっと、なんだっけ。」「忘れた!!」とのことでした・・・。

ストックホルム駅やまわりのお店などを見て、軽く食事をしようと入ったレストランで、なんとさっきの若者ふたりに遭遇!!彼らが推薦してくれた通り、ボリューム満点でおいしい料理ばかりでした。

 

さあ、いよいよ明日から本格的な研修がはじまります。今年も、いろいろな視点から、スウェーデンの魅力をお伝えできればと思っています。お付き合い、よろしくお願いします!!

 

Tsukasa

 

2012年

11月

18日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その8

あっという間の研修もとうとう最終日。今日は飛行機が出発するまでの間、少しコペンハーゲンを観光して帰ることにしました。

 

コペンハーゲンの名所といえば・・・そう、もちろん人魚姫の像。アンデルセンの童話「人魚姫」をモチーフにした像で、港の岩の上に腰をかけています。これまでペンキを塗られたり、首を切られたり、腕を切られたりと、数々の芸術テロの対象にもなってしまったこの像。工場の煙をバックに、少し寂しそうにたたずんでいたのが印象的でした。写真もちょっと寒そうですね。

 

ちょっと残念に思いながら駅に向かって歩いていると、目に飛び込んできたのがスウェーデンの国旗。近くに行ってみると、"スウェーデン・グスタフ教会"(Svenska Gustafskyrkan)と書かれていました。これも何かの縁かと足を踏み入れてみると、みなさん忙しそうに働いている様子。迷惑だったかなと思っていると、「スウェーデン語話せる?」と大柄な男性に懐かしい(?)スウェーデン語で話しかけられました。「少しなら」と答えると、「クリスマスのバザーの準備をしているんだけど、教会見ていく?」とのこと。中を案内してもらうことができました。とてもシンプルながらもステキな色づかいで、スウェーデン的な印象を受けました。

見学を終えて、「今日、日本に帰るんです」などと話をしている間ずっと、その男性は何かをこねていました。「何を作っているんですか?」と聞くと、「ルッセカットだよ」との答え。そう、スウェーデンのクリスマスには欠かせない、サフランブレッドです。あまりにも楽しそうだったので、思わず写真を撮らせてもらいました。

 

さて、コペンハーゲンのもう一つの見所は、現存する世界最古の遊園地、「チボリ公園」でしょう。1年のうち、4月から9月までだけ営業しているのですが、クリスマス前の今の時期は、特別にオープンして、クリスマスマーケットを開催しています。色とりどりのクリスマスの装飾や商品に、気分もウキウキしてきました。・・・とはいうものの、この研修中で最も寒い日だったので、凍らないようにするので精一杯でしたが。

 

駆け足のコペンハーゲン観光を終えた私たちは、北欧最大のコペンハーゲン・カストラップ国際空港へ。ここは、私のお気に入りの空港のひとつで、木をふんだんに使った、北欧モダンのシンプルなテイストにまとめられています。コペンハーゲン名物(?)のホットドッグを食べたり、お土産を買ったりして時間を過ごした後、コペンハーゲン→フランクフルト→成田→伊丹と約20時間の長旅を終え、神戸に帰ってきました。

 

今回で3回目となったオリンピアのスウェーデン研修ですが、毎回行くたびに大きな発見があり、収穫があります。それは、スウェーデンが常に前を向いて新しいことにチャレンジを続けているということの現れでしょう。今回の学びをもとに、私も大きなチャレンジをしようという思いを改めて強くしました。次回のスウェーデン研修がいまからたのしみです!

 

この研修でお世話になった、たくさんのみなさんにこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。Tack så mycket!

Tsukasa

2012年

11月

17日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その7

いよいよヴェクショー最終日。充実感と寂しさで、なんだかいつもより早く目が覚めてしまいました。

 

今日は10:30から、ヴェクショー市からカレマケア(Carema Care)という会社が運営委託をされている、2つの高齢者施設、エベリッド(Evelid)とテルスベーゲン(Tellusvägen)を訪問しました。近年スウェーデンでは、都市部を中心に高齢者施設の民営化が進んでいますが、それに伴って質の低下やスキャンダルが起きたりもしています。民営化された施設の状況をこの目で確かめる、絶好の機会となりました。

案内してくれたのは施設長のレーナ(Leena Hallrup)さん。施設に入ってまず驚かされたのは、とても清潔であるということ。感染症を予防するために、徹底的な衛生管理を行っていると、自信を持って教えてくれました。その他、緊急アラームやスプリンクラーなど、最新の設備が次々と導入されていました。

それぞれのユニットで生活する入居者のみなさん、そして働いているスタッフがとても生き生きとしているのが印象的でした。みなさんと一緒にフィーカをさせてもらったのですが、常に誰かが冗談を言って、笑いが絶えません。

「コミューンが運営する施設と、民営化された施設の違いは何ですか?」レーナさんに尋ねると、「コミューンでは判断や決定に時間がかかりすぎるけど、私たちはすぐに何でも決定することができる」とおっしゃっていました。また、次々と新しいアクティビティを導入するなど、常に新しいことに挑戦しようという雰囲気が感じられました。

「来年はスタッフの人に1日実習してもらってもいいですよ」とうれしいお申し出をいただいたので、ぜひ計画したいと思います。

 

予定時間をすっかりオーバーした見学を終えて、私たちはリンネ大学へ。看護福祉学部のクリスティーナ(Christina Siwertsson)先生から、ソーシャルワークコースについてお話を伺いました。今回、私たちは、若くて活躍している施設長やケアマネジャーにたくさん出会いました。年齢が若く経験の浅い彼らが活躍できるのは、教育に対する評価が非常に高いのではないかと思ったからです。

リンネ大学でソーシャルワーカーの資格を取得するには、7セメスター、つまり3年半のコースを履修する必要があります。その中では、社会福祉の理論、マネジメント、評価の手法、国際比較、そして様々な現場での実習など、かなり内容の詰まった教育がなされています。私が留学していた10年前は、多くの学生が一度福祉現場での経験を積んだ、30代、40代の女性が大半だったのですが、いまは高校を出てすぐの学生が大半だということ。スウェーデンも常に状況が変化している。その情報をしっかりとアップデートしていくことが大切だと感じさせられました。

 

その後は、1週間私たちの足として活躍してくれた、レンタカーのVOLVO V70を返却して、ヴェクショー駅に向かいました。乗ろうと思っていた電車が遅れていたこともあって、駅前の「もしもし」という名前のお寿司屋さんでお茶を飲むことに。12月、駅の南側にある「スモーランド博物館」に「居酒屋もし」をオープンするとのことで、現在いろいろと準備が進められています。ヴェクショーにお寿司屋さんや居酒屋ができるというのも、時代ですね。

さて、今回の滞在中、研修のコーディネートに通訳と、鈴木先生には何から何までお世話になりました。「来年はもっと人数が増えても大丈夫だよ!」ととてもうれしいお言葉もいただきました。帰国したら早速、来年の研修に向けて準備を進めたいと思います。


何度も何度も先生にお礼を言って、電車に乗った私たちは一路ルンドへ。ルンドはスウェーデン南部に位置する大学の街。大学院の博士課程で心理学を学んでいる、私の友人のアルビッド(Arvid Erlandsson)に会いに行ったのでした。一緒にお寿司を食べながら、今回の滞在中に感じたことなどを話していると、スウェーデン人の人生観や仕事観というものが、だんだんと見えてきた気がします。やはり、彼らにとって仕事だけが人生ではない。人生の目標のために、仕事を辞めたり替わったりすることはよくあることで、組織もそれを理解している。でも、たとえ人が替わっても、組織がこれまで通り機能するのは、非常に効率化されたシステムのなせる技だということなのです。日本にも2年間留学した彼ならではの話をたくさん聞くことができ、とても有意義な再会となりました。

 

そして私たちはコペンハーゲン空港のホテルへ。いよいよ、明日は日本に向けて出発です!

Tsukasa

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2012年

11月

16日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その6

スウェーデン研修6日目。「何かのイベント」が終わったようで、ホテルはチェックアウトをする人たちでごった返していました。いろいろなスウェーデン人に何があったのか聞いてみたのですが、結局分からず。「ヴェクショーは有名な街だからね!」という結論になりました。

 

今日は9:30から、いまヴェクショーで一番面白い取り組みをしているという、ノレマークの幼稚園を訪問しました。車を走らせて森の中にある幼稚園に着くと、ちょうど15人ぐらいの子どもたちが列を作って、森に遊びに行くところ。さっそく私たちも同行させてもらうことにしました。・・・とはいうものの、気温は5℃。そう、ここの幼稚園は、野外活動を主体としたプログラムを行っているということで有名なのです。

森の中を歩くこと5分。多くの子どもがスウェーデン発祥のアウトドアメーカー、フェールラーベン(Fjäll Räven)の小さなカンケン(Kånken)というリュックサックを背負っていて、後ろから見ているととってもかわいいのです。森に着くとみんなで大きな輪になって座ります。各自、リュックの中から水筒やサンドウィッチを取りだし、フィーカタイム。冷えた体も温まり、お話も弾みます。するとおもむろに、ヨナタン(Jonatan Öhman)先生がギターを取り出し、歌の時間。森の中に子どもたちの歌声が響く様子は、まるで何かの物語か映画のようでした。

さて、私たちは一足先に幼稚園に戻って、お話をうかがうことにしました。現在園児は32人。彼らを冬は7人、夏は6人の先生で見ています。以前は先生がプログラムを用意していたのですが、それではあんまり子どもたちが興味を持たないということで、現在は子どもが興味を持ったり疑問に思ったりしたことをピックアップして、プログラムにしているとのことでした。こんなに寒い中、外に出ていて風邪を引いたりしないのかな、と思って聞いてみると、逆に体が強くなって風邪を引かないとのこと。アレルギーやぜんそくが治ったり、他の幼稚園の子どもと比較しても運動神経が発達しているそうです。

 

見学を終えた私たちは、日本に買って帰るものを探しに大きなスーパーを訪れました。Cafe Olympiaでもすっかりお馴染みになったシナモンロールをつくるためのシナモンやカルダモン、クリスマス用のサフランブレッドをつくるためのサフランなど、業務用のものであれば日本の数分の1の値段で手に入りました。携帯用のバーコードリーダーを持ち歩いて、自分でスキャンしながら自動精算をするというシステムも浸透しているようで、私たちにとっては驚きでした。

 

昼食は、リンネ大学のCafe Tufvanでいただきました。実はここはヴェクショー市が運営しているカフェで、障害をもった人たちも働いています。注文を聞いたり、商品を運んだり、掃除をしたり・・・とても生き生きと仕事をしている様子が印象的でした。料理の味もとってもいいということで、たくさんの学生で賑わっていました。障害の有無など関係なく、ごくごく普通に生活の中に溶け込んでいる、という感じです。

 

昼食後は、私の留学していたリンネ大学の看護福祉学部に行って、当時お世話になったカタリーナ先生にお会いしました。もう10年もの月日が流れているのですが、いつ会いに行っても大歓迎してくれる、とってもステキな先生です。リンネ大学での看護師教育のことや、卒業生達の動向、ウガンダや中国との共同プログラムについてお話をうかがうとともに、スウェーデンと日本の高齢者福祉の状況について、情報交換ができました。特に、先生自身がお母さんの介護をされていたというお話は、スウェーデンの介護の現状を知るためにとても参考になりました。

話が一段落したところで「コーヒーでもどう?」と誘われてティールームに行くと、他の先生方や学生さん達もたくさんいて、いろいろとお話をすることができました。スウェーデンでは大学の先生であってもファーストネームで気軽に呼び合います。こういうフラットな人間関係が、新しいモノを生み出していく上ではとても重要なんだろうなと、改めて感じさせられました。

 

そして、今日の締めくくりは、大学のすぐ近くにある給水塔の見学。給水塔というのは、給水システムに圧力を与えるために、水を溜めておくもので、最近は水道の普及によって、あまり見かけなくなってしまいました。鈴木先生はこの給水塔を「百聞は一見にしかず」ではなく、「百見は一聞にしかず」と名付けています。「どうしてそんな名前なの?」と思われた方は、ぜひ一度、足を運んでみてください。きっとその理由が分かると思います!

Tsukasa

 

2012年

11月

15日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その5

スウェーデン研修も5日目。今朝も4時ごろに日本からの電話でたたき起こされました。毎日4時ぐらいに電話が多いと思ったら、日本はちょうどお昼の12時。お昼休みをねらっているのですね。まあ、目覚まし時計代わりになっていいですが。

 

今日は朝9:30に出発。アルベスタの近くのイェムラ(Gemla)という街にある、ミッキィ(Micki)というおもちゃメーカーを訪問しました。温かい感じの木のおもちゃとクマのマークは、最近日本でも人気が出てきましたね。実はここ、障害をもった人たちを雇用しているのです。社員は50人ほどで、そこに1日6-8名の障害者が働きに来ています。

 

実際におもちゃを作っている工場を見学しながらお話を伺いました。障害のある人たちのグループは、簡単な組み立て作業をしたり、パッキングをしたり、社員食堂の掃除をしたり、働いている人たちにおやつのフルーツを届けたりしています。

彼らが働く部屋に行くと、ちょうど木の機関車に磁石を取り付ける作業をしているところでした。障害があっても作業がしやすいように、また安全なように、道具にも工夫がされているのが印象的でした。数年前にはフレドリック・ラインフェルト首相が訪問したということで、写真が飾ってありました。

また、彼らは、他の部署で人手が足りなくなると、応援に駆けつけます。ですから、「ミッキィの救急チーム」とも呼ばれているとのこと。ひとりひとりが生き生きと働いている様子が、とってもステキだなと思いました。

 

さて、見学を終えた私たちはアルベスタへ。昨年も訪れた、マスミさんとエマニュエルさんが経営する、カフェ、"Café St.Clair"でランチをいただきました。近くの会社の人などたくさんのお客さんが列を作るほどの大人気店。みんなが「おいしい」と言いながらお味噌汁を飲んでいる光景は、なんだかちょっとうれしいですね。

 

お昼からは、急遽アレンジしてもらった、ケアマネジャーへのインタビュー。実際に高齢者の方がどのようなプロセスでサービスを利用するのか、お話を聞きに行きました。ヴェクショー市の福祉関係のオフィスが入っている建物に行き、出迎えてくれた人たちを見てびっくり!てっきり中年の女性だと思っていたら、なんと、若くてイケメンのアンダシュさん(25)とヨハネスさん(27)だったのでした。

ヴェクショーでは、サービスが必要なって申請すると、本人・家族・医師・看護師・OT・PT、そしてケアマネジャーで会議をして、その方にどのようなサービスが必要なのか、それとも施設に入るべきなのか、が決定されます。そこではあくまでも本人の意思が尊重され、在宅の生活を望むのであれば、できるだけその希望はかなえられます。その後は年に1回、現在のサービスが適切かのチェックをするということで、ひとりのケアマネジャーは150-200ケースを持っているとのこと。また、サービスの利用開始までにはたった3日ぐらいしかかからないということでした。

お若いふたりだったので、次のステップはどう考えているのかと聞いてみると、市の福祉職や高齢者施設の施設長かなあ、というお返事でした。きっとこれからもいい仕事をされることでしょう。

 

続いて14:00からは、ホフスルンド(Hovslund)という高齢者施設を訪問しました。ここには昨年も訪れたルンデン(Lunden)という、とってもこぢんまりとした家庭的なデイサービスがあります。クリスマスやイースターといった季節のイベントや、動物やキノコといった身近な話題まで、毎週何かテーマを決めて、それにそってアクティビティの内容を考えていきます。ちなみに今日はスウェーデンの「チーズケーキの日」だということで、チーズケーキがテーマになっていました。手づくりのチーズケーキをいただきましたが、チーズの香りがとてもよく、おいしかったです。

ホフスルンドはかなり規模の大きな施設なので、地域の方々が気軽に利用できるスペースがたくさんあります。特に目を引いたのは、30台はあろうかという大きな機織りの機械。地域のサークルの方々がやってきて、みんなで楽しんでいるとのことでした。

お話をしてくださった施設長のアンクリスト(Ann‐Christin Augustin)さんは、ヴェクショー市の家族支援員としてのお仕事もしています。介護をしている家族と個別に、あるいはグループで面談をしたり、介護や認知症に関する教育をしたり、イベントをしたりと、さまざまな活動をしています。ケアを必要とする本人だけではなく、しっかりとその家族のサポートができている、というところに、スウェーデンのすごさを改めて感じました。

 

今日のスケジュールを終了し、ホテルに戻って、少し鈴木先生の目から見た「日本」について、お話を伺いました。「どうしてスウェーデンでうまくいくことが日本ではできないのだろう?」という私の疑問に答えてくださったのでした。

まず言われたのは、「日本は細かいところばかりを見て、全体が見えていないことがあるのではないか」ということ。スウェーデンでは、鳥瞰的で長期的な視点で物事が組み立てられているという場面がたくさんあります。そして「スウェーデン人は真面目だけどクソ真面目ではない」ということ。だから、仕事の時間はとっても効率よく働くし、終わればプライベートが充実している。それがまた仕事のモチベーションに繋がる、というのです。

これには、目から鱗が落ちたような気がしました。日本人はどうしても仕事が第1になって、モチベーションに関しても仕事の中だけで解決しようとする。でもスウェーデン人にとっては仕事は人生の一部だから、トータルで物事を見ているんだ、ということに改めて気付かされました。

 

さあ、スウェーデンで学んだことをどう日本に生かしていくのか、大きな宿題が出ました。

「学んだことを実行に移すことができる人が"若い人"だよ」鈴木先生がいたずらっぽく笑いながら言ってくれました。

Tsukasa

2012年

11月

14日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その4

どんよりとした雲に覆われたヴェクショーの朝。今週は何か大きなイベントがあるということで、ホテルはほぼ満室のようです。

 

さて、今日は8:30から、リンネ大学の近くにある、リュンファーレスコーラン(Ljungfälleskolan)で行われている、ハンガリーのメソッドを使った、重度の障害を持った子どもたちへの特殊な教育を見せてもらいました。現在、通っている子どもは5人。歌や音楽に乗せて、ボールやフラフープ、音の出る棒など、さまざまな道具を使って、5分ぐらいのプログラムが次々と行われていました。見学している私たちにもいろいろな道具が渡され、一緒に参加することができました。

 

続いて10:00からは、知的障害を持った人たちが働く、パッペリアン(Papperian)という紙工房の見学です。ここでは、ヴェクショー市の印刷工場で出た紙くずを再利用してカラフルな紙を作り、それを使ってカードや招待状、インテリアの飾りなど、様々なものに加工しています。さらに、それを販売するショップが併設されていて、物づくりから販売まで、すべてのプロセスを経験することができるようになっているのです。

私も何度も訪れていますが、街のメインストリート沿いにあり、とってもお洒落な店構えなので、説明してもらわないと普通のお店と間違ってしまいそうです。今回は、職員の方からお話を聞くだけでなく、実際に紙漉きの体験もさせてもらうことができました。道具や手順に様々な工夫がされていて、障害があっても働きやすい環境づくりがされていることが印象的でした。

また、クリスマスシーズンに向けて、ロウソクの製作・販売も始めたとのこと。「どのように商品開発をするんですか?」と質問すると、「街を歩いていたり、雑誌や広告を見ているときにアイディアが浮かぶのよ」と教えてくれました。

 

昼食は「香港」という中華料理のレストランで。そういえば留学していたころ、ごはんが恋しくなると日本人の留学生と一緒によく行ったなあ、と懐かしい記憶がよみがえってきました。最近スウェーデンでは「カニカマ」がよく売られていて、ビュッフェに「カニカマの唐揚げ」が並んでいたのにはちょっとびっくりしましたが・・・。

 

お昼からは、グルドコーネット(Gurdkornet)という障害を持った高齢の方のデイサービスを訪問しました。アパートの1室をそのまま利用していて、本当に「家」のような、家庭的でこぢんまりとした雰囲気の場所でした。ここでは、スウェーデンで伝統的な機織りをアクティビティに取り入れていて、ここで作られたテーブルクロスや壁掛けは、インテリアにも使われていました。かつてスウェーデンの女性たちの多くは、この機織りを経験していたということもあって、高齢者のデイサービスなどでもよく見かけます。

 

さて、ヴェクショーが位置するのは、スウェーデンの南の方、スモーランド(Småland)という地方です。このスモーランドは、「ガラスの王国」と呼ばれるたくさんのガラス工場があることと、日本でもすっかりお馴染みになったIKEAの発祥の地として有名です。

今日は空き時間を利用して、この2つを回ろうということになりました。いまの時期、森の中のドライブはちょっと注意が必要。というのも、スウェーデンは狩猟シーズンということもあって、追われたヘラジカが道路に飛び出して来ることがあるのです。「ヘラジカ注意」の道路標識はスウェーデンの名物にもなっています。

IKEAの1号店は、もともとの建物が老朽化したということで、つい最近リニューアルオープンしたばかり。広大な敷地の売り場やカフェは、日本のIKEAと本当にそっくりです。でも、ところどころ、日本ではお目にかかれない商品もあって、楽しく見て回ることができました。

 

夜は、作曲家・プロデューサー・フルート奏者として活躍している私の友人のハンス(Hans Parment)が自宅に招待してくれました。彼とも10年前、留学していたころに空手を通じて知り合い、一緒に空手や音楽を楽しんだのでした。日本通のハンスは、日本語の勉強をしたり、日本グッズのコレクションをしたりもしています。そんな彼が持ち出してきたのが、立派な碁盤。といっても、私も碁はそんなによく分からないので、「五目並べ」の国際マッチを楽しんだりしました。

その後、ちょうど家に帰ってきたハンスの娘、ハープ奏者のルビーサと一緒に、ハープとフルートのミニコンサートを開いてくれました。ステキな音色を聴いて、思い出話に花が咲き、とても贅沢な時間が流れていきました。

 

Tsukasa

2012年

11月

13日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その3

ヴェクショーで迎える最初の朝は、また雨。この時期のスウェーデンでは、なかなか太陽を見ることができません。

 

今日の研修は午後からの予定だったので、市内の散策でもしようかと思っていたところに、親友のエリック(Erik Bratt)から電話がかかってきました。「10時からFikaだから、学校に遊びに来ない?」

ということで、急遽、聖シグフリッド国民高等学校を訪問することになりました。

エリックは、はいまから10年以上前、私が留学していたときに知り合った、国民高等学校で音楽を教えるギタリスト・作曲家で空手家。毎日のように家に行っては一緒に空手をしたり、音楽の話をしたりしたことが、まるで昨日のように思い出されます。

 

懐かしい国民高等学校に着くと、早速彼が出迎えてくれました。そしてFikaタイム。スウェーデンでは、どこの会社でも学校でも、1日2回のお茶の時間は欠かしません。今日も、100人ほどの学生が食堂に集まって、パンやサンドウィッチとコーヒーを楽しんでいました。

さて、コーヒーを飲んで帰ろうとすると、新しい校長先生を紹介してくれるとのことで、校長室に呼ばれました。そこでは、校長先生と、私が昔お世話になったブリット先生が待っていてくれました。「この間日本から帰ってきたばかりなのよ!」・・・最近は日本とスウェーデンのつながりも、深くなってきたなあ、と思っていると、校長先生がおもしろい話をしてくれました。彼のお父さんは養鶏場を営んでいたのですが、当時、ヒヨコの雄と雌を見分ける技術は、日本が世界一でした。そこで、その技術を教えるために、日本人がよく家に来ていたので、日本のお土産をたくさんもらったそうです。意外な日本とスウェーデンのつながりを知ることができました。

 

「お城でも見ていったら?」というエリックの勧めで、学校のすぐ北側にある、クロノベリー城跡を見に行くことにしました。クロノベリー城は1444年に建てられ、デンマークとの戦争の最前線で国を守っていたのですが、1658年にデンマークとスウェーデンの国境が移動したことによって、その役目を終えました。実は、ここを訪れるのは10年ぶり。ちょうど雨も上がって、きれいな写真が撮れました。

 

さて、午後はトフタゴーデン(Tofta Gården)というヴェクショーでも比較的新しい、高齢者施設でのランチからスタートしました。スウェーデンの高齢者施設には必ずレストランやカフェがあり、一般の人も気軽に立ち寄って食事やお茶を楽しむことができます。今日のメインは、ミートボールか仔牛肉のクリーム煮。これにパンやサラダ、飲みものがついて67クローナ。800円ぐらいです。スウェーデンではお昼ご飯がメインなので、かなりお手頃な値段です。

 

ランチのあと、施設長のマーリン(Malin Odlingsson)さんにお話を伺いました。若い方だなと思っていたのですが、年齢を聞いてびっくり。なんと、25歳の女性でした。高校で介護の勉強をしたあと、大学で社会福祉に関する専門的な勉強をし、その後ヴェクショー市に採用され、6ヶ月前からここで勤めているとのこと。

ひとりひとりへのケア方法、入居者の決め方、職員の採用、予算の決まり方など、かなり詳しくお話を聞くことができました。ひとつひとつの質問に、とても丁寧に答えてくれたのが印象的でした。

 

そしてホームを見学。トフタゴーデンは平屋建てで、3つの高齢者のユニットと、1つの知的障害をもった高齢者のユニットから成り立っています。2つのユニットに1つ、ステキな中庭がついていて、暖かい時期は、入居者は自由に散歩することができます。また、1つのユニットの職員は、ホームヘルプも行っていて、近くの住宅に住む高齢者を訪問しています。

私たちがひとつのユニットを訪れると、グレータさんという女性が、お部屋を案内してくれました。35㎡の個室で、トイレとお風呂もついていて、とてもゆったりとした雰囲気。ベッド以外の家具はすべて持ち込み。ベッドサイドには、ご主人の写真が並んでいました。愛犬も一緒に、記念撮影です。

 

夜はアルベスタに住むエリックのお家に招待してもらいました。今週は2人の娘を持つシングルファーザーとしてがんばっている彼が、一生懸命サーモン料理を作ってくれたのには、ちょっと感激しました。気がつけば、彼とももう10年来のお付き合い。いつ行っても歓迎してくれる親友が遠い海の向こうにいるということを、とてもうれしく思います。

来年の秋には、空手の修行のために日本に来るとのこと。今度は日本でお返しをしよう!

 

Tsukasa

2012年

11月

12日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その2

打ち付ける雨の音に目が覚めた、ストックホルムの朝。

まだ時差に体が慣れていないこともあって、早めの朝食からスタートしました。

スウェーデンのホテルの朝食は、だいたいどこも同じ感じ。たくさんの種類のパン、ハムやソーセージ、スウェーデン名物のミートボール、チーズやヨーグルトなどの乳製品、そしてフルーツ。シンプルだけど、私にとっては懐かしい味です。

 

「スウェーデンに行ったら、福祉だけじゃなくて文化も学ばせてあげなさい!」という師匠のご指導もあって、今日は観光と移動の1日に。まず最初にストックホルム市庁舎に向かいました。ノーベル賞の記念晩餐会が行われることで有名な市庁舎ですが、市役所としても機能していますし、ストックホルム市議会も行われています。

詳しい説明は、昨年のブログを見ていただくとして、やはり驚かされるのは、ノーベル賞の晩餐会が行われる「青の広間」の狭さ!ここで1,300人以上の人にフルコースのディナーを提供するということは、にわかには信じられません。今年は京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が受賞されたこともあり、日本でもテレビ中継が行われることと思います。ぜひご注目ください!

 

さて、少し王宮を見学した後は、ノーベル博物館へ。ノーベル賞の歴史や歴代の受賞者について、工夫を凝らした展示がたくさんある、とっても楽しい博物館です。日本人の観光客も多いようで、受付のお兄さんが一生懸命日本語で話しかけてくれました。でも、「60クローナです」と言うべきところを「60円です!」と言ってしまっていましたが・・・。ここのお土産で有名なのは、記念晩餐会でも出される、ノーベル賞のメダルを象ったチョコレート。スウェーデンのお土産に迷ったらオススメです。

 

その後、少し雨の降る中、ストックホルムの旧市街「ガムラスタン」を散策しました。石畳が続く中に、小さなお土産物屋さんや雑貨屋さん、カフェなどがいくも軒を連ねています。クリスマスが近づいているということもあって、かわいいグッズが所狭しと並んでいました。日曜日はお休みの店が多いスウェーデンですが、たくさんの観光客が訪れるということもあり、多くのお店が営業していました。

 

大聖堂、ドイツ教会などを見学した私たちは、ストックホルム駅に戻り、16:14の電車でヴェクショーに向かいました。乗ったのはスウェーデン国鉄(SJ)の"X2000"という高速鉄道。日本の新幹線のようなものです。

さてさて、この車中で試してみたのが、スウェーデンでは一般的な黒いグミ「ラクリス」。黒くて、しょっぱくて、生臭くて、まあ、日本人で「好き」という人は少ないと思うのですが・・・。何年かぶりに食べてみても、やっぱり口には合いませんでした。そんな私たちの様子を見ていたのが、隣の席に座っていた、ウプサラからルンドに向かっていた研究者の女性。「日本人の口には合わないと思うけど、スウェーデン人が海外にいると、恋しくなって送ってもらったりするのよ」と教えてくれました。スウェーデンの奥深さを改めて感じさせられました。

 

そうこう言っているうちに、約3時間で電車はアルベスタ駅に到着。アルベスタ-ヴェクショー間が事故で不通だということで、今回の研修でもコーディネートをお願いしている、リンネ大学の鈴木 満先生が、駅まで迎えに来てくださっていました。

ヴェクショーに到着し、ホテルにチェックインした後は、打ち合わせを兼ねて近くのイタリア料理店に。研修のスケジュールもほぼ決定し、明日からはいよいよ本格的な研修のスタートです!

 

Tsukasa

2012年

11月

11日

オリンピアスウェーデン研修2012 - その1

さあ、今年もまた、社会福祉法人光朔会オリンピア「スウェーデン研修」の時期がやってきました。

 

今年は、オリンピア兵庫のデイサービスのユニットリーダー・中村さんと、オリンピア灘のグループホームのケアワーカー・大澤さんと一緒に、11月10日(土)から11月18(日)まで、スウェーデンのストックホルムとヴェクショー、そしてデンマークのコペンハーゲンに行くことになりました。

 

11月10日(土)は快晴。いつも通り、「本当に行けるんだろうか・・・」と思いながら徹夜でたまっった仕事をこなして、8:00ちょうどのANA2176便で、大阪国際空港(伊丹空港)から成田国際空港に飛び立ちました。10数年ぶりの成田空港はとってもキレイになっていて、スウェーデンの友人たちに、おもしろいお土産を買うことができました。

 

12:50のANA207便に乗って、一路ドイツへ。何度乗っても、12時間超のフライトはなかなか体に応えますが、飛行機は多少の乱気流をものともせず、ミュンヘンのフランツ・ヨーゼフ・シュトラウス空港に到着しました。実はこの空港、私のお気に入りの空港のひとつ。乗り継ぎの際の最短接続時間「30分」と豪語するだけあって、非常にコンパクトにまとめられた設計は、ドイツ人ならではという感じがします。

せっかくミュンヘンに来たのだから・・・と、とりあえずミュンヘン名物の白ビールと白ソーセージをいただいて、さっそく19:15のルフトハンザ6083便に乗り継いで、ストックホルムを目指しました。

 

21:30、眠っている間にストックホルム・アーランダ国際空港に到着。2度の乗り継ぎでちょっと心配だったスーツケースも無事に受け取り、さあ、空港とストックホルム駅を結ぶ特急、アーランダ・エクスプレスに乗ろうとすると、まさかのトラブル。アーランダ・エクスプレスが不通になっていて、いつ復旧するかわからないとのこと。

仕方がないので、バスに乗って、ストックホルムの中心部を目指しました。何度もスウェーデンには行っていますが、空港からバスに乗るのは初めての経験でした。ちなみにこのバスも、26歳以下の人には安い料金が設定されています。さすが、若者に優しいスウェーデンですね。

 

ホテルは昨年同様、"Nordic Sea Hotel" を選びました。このホテルには、ユッカスヤルヴィの氷でできたホテル "Ice Hotel" がプロデュースする、"Ice Bar" があることでも有名。氷のカウンター、氷の椅子、氷のグラスで-5℃の中、ウォッカが楽しめるという変わった場所です。残念ながら、行ったことはありませんが・・・。

 

チェックインして部屋に入ると、壁一面に真冬のストックホルムの写真が・・・。真っ白になったストックホルムの街を見ながら寝るというのは、寒いような、落ち着かないような、「夏は貼り替えるのかな」などと考えながら、長い長い研修1日目が終わりました。

 

Tsukasa

2012年

8月

28日

Olympia Market!! "Hawaiian Summer 2012"

7月のある日―。"Olympia Market!! Vol.2"の企画会議が、高齢者総合福祉施設オリンピア兵庫に併設のCafe Olympiaで行われました。"Olympia Market!!"とは、オリンピア兵庫が地域のみなさまに日頃の感謝の気持ちを込めて実施する、フードやドリンクはもちろん、コンサートあり、講演会あり、バザーに野菜市ありの、オリンピア兵庫の"いま"がぎっしり詰まったイベント。2月のVol.1が大好評で、「ぜひ次回もやってほしい」という声をたくさんいただき、開催が決定したのでした。

「2回目の今回はテーマを決めよう!」と、若いリーダーたちと熱い議論を交わした結果、誰にでもイメージを持ってもらいやすい、そして高齢者の方々にとってはある意味「あこがれの地」であった"ハワイ"をテーマにすることに決まりました。でも、いわゆる「施設の夏祭り」にありがちな「ハワイ風」のイベントにはしたくない、やるからには本気で"ハワイ"をやろう、ということを合い言葉に、プロジェクトはスタートしました。

 

まずはチラシ作り。今回も私の友人のデザイナーに依頼し、「人を集められるチラシ」を目指して製作に取りかかりました。青い空、青い海、白い砂浜を大胆に背景に配置し、メインタイトルの"Hawaiian Summer 2012"のフォントは、南国らしい雰囲気を出せるように"Gill Sans"を選びました。キャッチコピーは"オリンピア兵庫が南国の楽園に変身!?"に決定、ボディコピーも私が何度も練り直して書き上げ、とってもステキなチラシが完成しました。このチラシは、先日行われたLink Design Career Up School Vol.1「人を集めるデザインのコツ」の題材としても使われました。

続いて内容の企画。「本気でハワイを」ということですから、まずは"ハワイ"と聞いて連想するものを、思いつくだけ集めてみました。ロコモコ、ブルーハワイ、椰子の木、パイナップル、フラダンス、ウクレレ・・・。これらを実現するために、スタッフ総動員で準備を行いました。ハワイ料理の店に何度も足を運んで提供するフードの種類や味を確認したり、何十種類もトロピカルジュースを試作したり、お花屋さんにお願いしてハワイ風のフラワーアレンジメントを作ってもらったり、フラダンスの先生に出演交渉したり・・・。もっとも、ウクレレは、私(ウクレレ歴2週間)と友人が演奏することになりましたが。

準備は、オリンピア兵庫の利用者のみなさまにもたくさんお手伝いいただき、チラシの配布や室内の装飾、そして食材の仕込みを行っていきました。オリンピアでイベントをやるとき、最も大切にしているのは、"Through the Program"、すなわち、イベントそのものが目的なのではなく、そのイベントを手段として、何を実現するか、ということです。大きなイベントになればなるほど、必要とされる作業の種類と量は増えていきます。それだけ、利用者のみなさまの能力を生かすチャンスがあるということ。今回も、スタッフだけでなくオリンピア兵庫が一体となってイベントを創り上げることができたのが、何よりの収穫でした。

 

そして、ついに迎えた"Olympia Market!!"当日。朝早くから、スタッフがチラシをもって地域のお家や会社にPRにまわったり、フード・ドリンクの仕込みをしたりと、準備をがんばってくれました。

10:00、いつものようにみんなで記念撮影をして、いよいよオープンです。本当に楽しそうな雰囲気の伝わってくる写真になりました。オープンと同時に、地域の方やCafe Olympiaの常連さんなどが集まりだし、今回もとても活気あるスタートとなりました。

11:00、いよいよウクレレコンサートの時間がやってきました。元ミュージシャンの方の姿もちらほらあって、ちょっとドキドキしましたが、なんとかトークでフォローしながら乗り切ることができました・・・。

12:00、近隣の会社がお昼休みの時間の時間になると、お客さまの数はピークに。自信作のロコモコは予定を大幅に超えて77食が完売。途中でご飯が切れてしまって大慌てで炊き直したり、食事をするスペースが足りなくなって、テーブルや椅子を用意したりと、ハプニング続きではありましたが、来ていただいた方全員に楽しんでいただけるように、スタッフががんばってくれました。

13:00からは「ミニ福祉ゼミナール」として、2005年にオリンピア兵庫が実施した夢の企画「93歳のハワイ旅行―Let's go to Hawaii 2005」をテーマに、私が講演を行いました。思い返せば、常に新しいことに挑戦し続けるオリンピア兵庫のスピリットの原点がここにあったような気がします。実は今回のテーマが"ハワイ"になったのも、この旅行の鮮明な思い出があったからなのでした。

14:30、本日のメインイベントである、フラダンスのショーが行われました。神戸・西宮・大阪でご活躍の前田尚子さんとお弟子さん達によるショーは、本場のハワイを思わせるような雰囲気で、観客のみなさんもついつい自然に体が動いている様子でした。

そして15:00。会場のみなさまからの大きな拍手に包まれながら、"Hawaiian Summer 2012"は無事に幕を下ろすことができました。最後のお一人をお見送りしたとき、心地よい疲労感に包まれていることに気がつきました。

 

あっという間に後片付けを終えたあとは、その場で引き続きスタッフたちの打ち上げ。「最初からこれが目的だったのでは!?」と勘ぐってしまうほど、よく準備がされていて、もう一度バーベキューをしたり、サプライズでスタッフの誕生祝いをしたりと、"ハワイ"の余韻にひたりながら、引き続き楽しい時間を過ごすことができました。

そこで強烈に印象に残ったのは、スタッフひとりひとりの充実した笑顔。福祉の仕事は「きつい・給料安い・結婚できない」の"新3K"だと揶揄されることもある今日、これだけやりがいを持ってチャレンジしてくれている彼らを見ていると、絶対に今の福祉を変えていくことは出来るんだ、という自信を深めることができました。

 

今回も、数え切れないほど多くのみなさまのご協力で、"Olympia Market!!"を成功させることができたことを、心から感謝しています。ぜひ、次回のイベントにもご期待ください!

Tsukasa

 

2012年

4月

15日

長崎・佐世保に行ってきました!―その2

長崎の観光スポットに近いホテルに泊まったこともあり、初長崎2日目の今日は、空き時間を利用してちょっとだけ観光をすることにしました。

 

まず、8:00過ぎにホテルのすぐそばの大浦天主堂に行きました。1865年に建立された日本最古の現存するキリスト教建築物であるカトリックの教会で、1933年に国宝に指定されています。正式名は日本二十六聖殉教者堂といい、1597年に長崎で殉教した日本二十六聖人に捧げられています。こぢんまりとした教会は、ヨーロッパのたたずまいの中にもどこか日本的なものを感じさせられる、とても趣のあるものでした。

続いてお隣のグラバー園へ。1863年にスコットランドからやってきた貿易商トーマス・ブレーク・グラバーが居を構えた場所です。旧グラバー住宅は、1863年に建てられた日本最古の木造西洋風建築で、普段見慣れている神戸の異人館よりもさらに古い時代の建物で、ここに幕末の志士たちが出入りしていたのだと思うと、ワクワクした気持ちになりました。

 

駆け足で観光を終えて、10:00に長崎県美術館に。実は、今回の旅のもう一つの目的が、ここを訪れることでした。先日、ある方の紹介で、美術評論家で富山大学芸術文化学部教授の伊東順二さんとお会いする機会がありました。伊東さんは長崎出身で長崎県美術館の初代館長を勤めておられたというお話しを伺い、今回訪問することにしたのでした。美術館では学芸員の森園さんが館内をご案内してくださいました。外交官須磨彌吉郎の収集した「須磨コレクション」や長崎ゆかりの美術など、興味深い作品を解説付きで見ることができたのは、非常に幸運でした。また、この美術館自体がひとつの芸術作品のような建物になっていて、特に屋上からの眺めはとても素晴らしいものでした。

 

飛行機の時間まで少し余裕があったので、タクシーの運転手さんにお勧めの場所を聞いてみると、「日本二十六聖人記念碑」が長崎駅から近いとのことだったので、連れて行ってもらいました。日本二十六聖人とは、1597年に豊臣秀吉の命によって京都から長崎まで引き回された後に西坂の丘の上で処刑された26人です。隣にある「日本二十六聖人記念館」には、当時の記録や書簡、踏絵に使われたイエス・キリストや聖母マリアの像、隠れキリシタンたちが信仰の対象としていた像など、たくさんのものが展示されていました。信仰のために死をも恐れず、最期の瞬間まで処刑する人たちの赦しを祈った彼らの気持ちを想うと、胸が締めつけられるようでした。

 

駆け足での観光を終えて、リムジンバスで長崎空港へ。帰りの飛行機は時間通り14:35に出発し、15:35に神戸空港に到着しました。長崎での滞在時間、ちょうど24時間。強行スケジュールではありましたが、とてもたくさんの収穫があった長崎・佐世保訪問となりました。

 

Tsukasa

2012年

4月

14日

長崎・佐世保に行ってきました!

先日、神戸医療福祉専門学校での教え子で、特別養護老人ホーム「オリンピア神戸西」の元ユニットリーダーの本田一将くんから、連絡をもらいました。いまは、奥さんの実家のある佐世保市で介護の仕事を続けているのですが、このたび新しい施設の入居部門の責任者とスタッフの研修担当に任命されたとのこと。「パーソンセンタードケアについて研修をしてもらえないか」ということだったので、生まれて初めて長崎県に行くことになりました。

 

4月14日(土)、10:00からグループホーム「オリンピア兵庫」の運営推進会議、11:30から行政書士の先生との打ち合わせを終えて、神戸空港に向かいました。12:50発長崎行きのスカイマークの飛行機だったので、間に合うかハラハラしながら空港に向かったのですが、飛行機は20分遅れ。結局、13:10すぎに神戸空港を飛び立ちました。

あっという間のフライトを終えて、14:45長崎空港に到着。佐世保行きのバスに乗ろうとすると、もう出てしまったとのこと。「飛行機が遅れた場合は出発時間が変更になります」って言ってたのに・・・。急遽、タクシーとJRで佐世保に向かうことにしました。

 

16:35、佐世保駅に到着すると、初心者マークの本田くんが迎えに来てくれていました。とりあえず、新設の施設「ないすケアみなとまち」を見学。随所にこだわりの見える、いい雰囲気の建物でした。屋上には陶芸室があり、本格的な陶芸にもチャレンジするとのこと。また、施設の運営母体が食品会社とのことで、食事にもこだわっていきたいと言っていました。

そして既存のグループホームに場所を移して、17:30よりパーソンセンタードケア研修がスタートしました。認知症の基礎知識、パーソンセンタードケアの基本的な考え方、よい認知症ケアのために大切なポイント、地域交流の大切さ、パーソンセンタードケアを実践するために大切なことなどをお話しし、オリンピア兵庫の様子を「キラリけいざい」のビデオで見てもらったりもしました。約20人のスタッフはほとんどが新施設のために採用されたとのこと。ケアマネジャー、ホームヘルパー、看護師などいろいろなバックグラウンドをもった方もいれば、全く初めての方もいましたが、みなさんとても熱心に聞いてくださっていました。本田くんがとてもよい仲間に支えられている、ということを感じることができ、ほっとしました。質疑応答では、いま既存施設で研修を受けている中での疑問点、ケアの具体的な方法など、たくさんの質問が出てきました。結局、2時間の予定を大幅にオ-バーして、21:00前に研修が終わりました。

 

明日の朝、長崎でアポイントメントがあるので、今日中に長崎にバスか電車で移動するプランを立てていたのですが、本田くんが家族サービスを兼ねて、車で送ってくれることになりました。

私もいくつもの施設を立ち上げてきたので、新設の準備の大変さは身にしみてよく分かります。経営のこと、利用者のこと、ご家族のこと、スタッフのこと、建築・設備のこと、備品のこと、業者のこと・・・ありとあらゆることに気を配り、準備をしていかなければなりません。約80km、1時間半のドライブはちょっとハラハラしましたが、毎日夜遅くまで、ほとんど休みもなく働いている彼に、できるだけのアドバイスをしてあげる時間ができてたことは、幸運だったと思います。

そして何よりも、自分の教え子がこの佐世保の地で、必死になって努力している姿を見ることができたことは、人を育てることに関わってきて本当によかったと感じる瞬間でした。

 

・・・ちょっと遠いですけど(笑)

 

Tsukasa

2012年

1月

15日

SUN-TV「キラリけいざい」の取材を受けました―その2

ご好評をいただいている、SUN-TV「キラリけいざい」のオリンピアのコーナー「シルバービズニュース」ですが、今日、1月20日(金)と2月3日(金)放送分の取材が行われました。テーマは「人としてのつながり」と「地域へのアクション」です。

 

9:30ごろ、ディレクターやカメラマンなど、総勢5人のスタッフがオリンピア兵庫に集合しました。SUN-TVの取材も4回目ということもあって、すっかり打ち解けた雰囲気です。

10:00より、Cafe Olympiaで、私のインタビューを2回分収録。少し雰囲気を変えるために、1回目は立って、2回目は座ってのインタビューとなりました。カフェの前のテラスを人が通ってしまってNGになるハプニングもありましたが、30分ちょっとでOKとなりました。

11:00からはグループホームの撮影。洗濯物をたたんだり、昼食の準備をしたり、ゆっくりとお話しをしている様子を撮影してもらいました。入居者のみなさんもすっかり取材に慣れたようで、「私も写ろうかな」とカメラの前に出られる方も・・・。

11:30ごろ、近くのお寿司屋さん「魚たつ」に、入居者の方3名とスタッフ3名と私でお昼ご飯に出かけました。ヒラメやマグロなど、旬のお寿司にみなさん大満足です。食べているところを撮影されると、なんだかグルメ番組のようでしたが・・・。

 

13:30より、オリンピア兵庫に戻って、グループホーム入居者のご家族へのインタビュー。オリンピア兵庫を利用しての感想や、スタッフへの感謝、入居されているお母さんへの思いなど、とても心温まるお話を伺うことができました。ご協力、本当にありがとうございます!

14:00からはグループホームでお二人の入居者の方の91歳と88歳のお誕生日会。もともと取材の予定には入っていなかったのですが、参加されたご家族も了承してくださったこともあり、取材が入ることになりました。スタッフからのお祝いのメッセージや、入居者の方からのお謡いのプレゼント、そしてケーキでお祝いと、とてもステキなお誕生日会となりました。

14:30に、近くの美容院で入居者の方がカットを予約していたので、その様子を取材。土曜日ということもあって美容院の方も快く受け入れてくださいました。

15:00ごろからは、近くの「笠松通商店街」に、おふたりの入居者と一緒にお出かけ。パン屋さん、魚屋さん、おそうざいやさんでお買い物をする様子が取材されました。途中で見知らぬ方とお話しが盛り上がるというハプニングもありましたが、お買い物は無事に終了。帰りに近くの公園に寄って、しばらく休憩をしたりブランコをこいだりしてから、オリンピア兵庫に戻りました。

ホーム便り「月刊オリンピア兵庫」などの撮影をして、16:30ごろ、長かった取材が終了しました。

 

1日を通して、たくさんのご家族や地域のみなさまにご協力をいただき、オリンピア兵庫が多くのみなさんに支えられて成り立っているんだ、ということを改めて感じさせられました。感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、みなさんと一緒に、よりよいオリンピア兵庫をつくっていくために、がんばりたいと思います。

 

Tsukasa 

2011年

12月

07日

Happy Birthday?

2011年12月7日、32回目の誕生日を迎えました。

朝から世界中のみなさんから祝福をしていただいて、たのしい誕生日になるはずが―

なんと、今年もっとも忙しい日のひとつになってしまいました・・・。

 

9:15、朝礼。みなさんにサプライズで「Happy Birthday」を歌ってもらいました。

9:30、とりあえず時間のある限り、今日の職員会でスウェーデン研修の報告をするためのパワーポイントを作りをすすめます・・・。 

10:30、Cafe Olympiaにて、神戸新聞の新春スペシャルインタビューの取材。この1年を振り返り、来年予定している新規プロジェクトなどについてお話ししました。

12:45、今日の会議用の会計データがメールで到着したので、あわてて資料を作成。 

13:00、Cafe Olympiaにて、某給食会社の社長さん・部長さんと、現在計画中のおひとり暮らしの高齢者の方むけのプロジェクトに関する打ち合わせ。終わってすぐに車で須磨に向かいました。

14:40、神戸医療福祉専門学校須磨校にて卒業論文発表会に出席。4月から担当してきたゼミ生の晴れ舞台。フィールドに通い詰め、粘り強くおこなった研究は、とてもよいものに仕上がりました。感慨に浸る間もなく、講師のコメントをしたらすぐに明石へ・・・。

15:25、オリンピア神戸西に到着。リーダー会に顔を出して、現状の報告を受け、コメントをしてすぐに一路三宮を目指します。

16:30、ルミナリエによる予定外の渋滞に巻き込まれながらも、なんとか滑り込みで国際ロータリー第2680地区の社会奉仕委員会に出席。会議の途中で失礼して、オリンピアの法人本部へ・・・。

17:30、ちょっと遅刻気味ながら、なんとか月2回の主任会スタート。重要な議題が山積みでしたが、スタッフのみんなのがんばりによって、前向きにチャレンジしていけそうな手応えをつかみました。

18:30、職員礼拝スタート。クリスマスの聖歌とチャプレンのユーモアたっぷりの説教に、ちょっとほっとすることができました。

19:00、引き続いて職員会。先日のスウェーデン研修の報告をしました。みんなとても興味を持ってくれたようで、来年は応募が殺到しそうな予感です。

 

―と、長い長い1日がやっと終わった、と食事に行った先で、スタッフたちがサプライズのBirthday Partyを開いてくれました。「館長に1週間の休みを取ってもらえるようにがんばります」とのこと。たのしみにしてよう。そして、みんなありがとう!!!

 

Tsukasa

2011年

11月

07日

スウェーデン研修―その8

Time Flies! 時間の経つのは早いもので、スウェーデン研修もあっという間に最終日の朝を迎えました。

 

宿泊先のHilton Copenhagen Airport hotelで朝食を取り、8:00前に空港に向かいました。初めて泊まったのですが、空港に直結したホテルなので、とても楽に移動できました。空港では自動チェックイン機でチェックインをして、荷物を預けたら搭乗前の手荷物検査場へ。最近はテロ対策のために検査が厳しくなっていて、ベルトや靴までチェックされることもあります。北欧最大のコペンハーゲン・カストラップ国際空港は、私の好きな空港のひとつ。シンプルモダンな北欧デザインでまとめられた空間は、その大きさを感じさせない、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

 

1時間半ほどのフライトでアムステルダム・スキポール国際空港に到着。さすがオランダだけあって、空港の中にチューリップの球根専門店がありました。せっかくのオランダだからと、ミッフィのぬいぐるみをおみやげに買って、指定されたゲートへ。ゲートで手荷物検査があったのですが、日本で普及が進まないと話題になっている「ボディスキャナー」が設置してありました。ポケットに入れていたガムがひっかかってしまったぐらいの精度でしたが、時間がかかってしまうのがちょっと難点ですね。

 

そして日本に向けて、約11時間のフライト。予定より少し遅れて、11月6日(日)10:00ごろに、関西国際空港に到着しました。

一般的に東回りの時差は体にこたえるといわれています。1日が8時間あっという間に短縮されてしまうのですから、無理もありません。これを克服するには、できるだけ飛行機の中で寝て、着いた日は夜まで眠らずにがんばること。幸い(?)、私は帰国してすぐに、とあるコンサートでコントラバスを弾かないといけなかったので、強制的に体内時計を日本時間に戻すことができました。

 

というわけで、「社会福祉法人光朔会オリンピアスウェーデン研修2011」は無事に終了しました。日本の福祉もここ数年、かなり質的にも量的にも充実してきましたが、行くたびに1歩前に進んでいるスウェーデンから学ぶことはまだまだたくさんあります。これからも、この素晴らしい交流を続けていきたいと思います。

 

この研修でお世話になった、たくさんのみなさんにこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。Tack så mycket!

 

Tsukasa

 

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2011年

11月

05日

スウェーデン研修―その7

スウェーデン研修7日目。ヴェクショー最後の朝となりました。

 

今日は10:00から、トフタゴーデン(Tofta Gården)という高齢者施設を訪れました。比較的新しく、こぢんまりとした平屋建ての施設で、3つの高齢者のユニットと1つの高齢の知的障害者のユニットで成り立っています。周辺の住宅に住む高齢者も来ることができるアクティビティの場やカフェテリアがあったり、1つのユニットのスタッフが近隣の住宅にホームヘルプにも行くということで、日本の小規模多機能のような働きをしています。4つのユニットの真ん中には大きな庭があり、季候のよい時期には、花や野菜を育てたり、自由に散歩したりすることができるようになっています。とても家庭的な雰囲気で、私の好きな施設のひとつです。

 

12:00から、私はスタッドホテルで行われた、ヴェクショーロータリークラブの例会に参加しました。ホテルのフロントで150SEK(安い!)のクーポンを買って、会場の受付に行くと、突然の訪問にもかかわらず、みなさんとても温かく受け入れてくれました。メンバーは100人ほどいるそうですが、秋休み期間ということもあり、参加者は40人程度。全員がお互いとハグや握手をして挨拶をしていたのが印象的でした。食事はビュッフェ形式で、バラバラとみなさん食べ始め、30分ほどたったところで点鐘。会長のシェルスティン(Kerstin Ronnemark)さんの司会で例会が進んでいきます。まずゲストの紹介があり、わたしも今回の訪問について少しスピーチをさせてもらいました(残念ながら英語ででしたが・・・)。その他、「今週の詩」の朗読や各委員会からの報告があって、そして今日のメインスピーチ。なんと、リンネ大学の学長のステフェン(Stephen Hwang)さんのお話でした。最後に私の所属する神戸西ロータリークラブとバナーの交換をしてもらって、例会はお開きとなりました。

 

その後、鈴木先生と合流して、今回の研修のお礼を伝えるとともに、振り返りの時間を持ちました。鈴木先生は、私が留学していたときから変わらず、こちらの希望には全力で応えてくださいました。「偉い人ばっかりじゃなくて、若い人を連れてきなさい」とよく言っていただくのですが、次の世代の教育に、とても情熱を傾けています。来年、再会することをお約束して、お別れとなりました。

 

電車が来るまでの時間、私はハンスと会って、音楽や空手について語り合いました。途中からは奥さんも合流して盛り上がったのですが、実は彼女はヴェクショー市のホームページの責任者。日本からの見学者もよく来ているとのことで、次回はぜひ訪問させてもらうことになりました。行政も、大学も、現場も、お互いに顔が見える、このほどよい距離感がヴェクショーの良さなんだな、と改めて感じさせられました。

 

そして、少し遅れた18:12の電車に乗って、約2時間半でコペンハーゲン空港駅へ。明日に備えて、空港のヒルトンホテルに宿泊しました。明日はいよいよ帰国です!

 

Tsukasa

 

2011年

11月

04日

スウェーデン研修―その6

6日目の朝は、ちょっと雨模様。この時期のスウェーデンではなかなかお日様にお目にかかれません。

 

今日は8:30から、3日目に訪問したホフスルンド(Hovslund)にあるデイサービス、ルンデン(Lunden)を訪問しました。施設の食堂の奥にある部屋の扉を開けると、そこは別世界。ふつうの家のような、アットホームな空間が広がっていました。1日8に-9人の利用者を3人のスタッフでケアしています。毎回いろいろなテーマを決めて、そのテーマに関する写真や本を見ながら、昔のことについて話をする、回想法的な取り組みをしていて、「キノコ」のテーマの時はみんなでキノコ狩りに行って、それを調理して食べたということでした。

お話をうかがっていると、9:30ごろから市の移送サービスを利用してみなさんが集まってきました。私服のスタッフがハグをして出迎え、朝ご飯の時間。みんなでこの1週間のできごとや、昨日のテレビ番組について話が盛り上がります。来られている方も、ご夫婦や、自分で歩ける方、車いすの方とさまざま。ちゃんとブレザーにネクタイの男性もいました。とにかく賑やかで笑いが絶えない、とても素敵なデイサービスでした。

 

続いてはリンネ大学のカフェトゥーバン(Café Tufvan)に。ここは市と大学が共同運営をしているカフェで、知的障害を持った方がスタッフとして働いています。キッチンの中まで見せてもらいましたが、とても機能的で働きやすそうな作りになっていました。「いちばん苦労していることは何ですか?」とお聞きすると、「仕事が楽しいからないわ」と笑顔で答えてくれたのが印象的でした。

 

リンネ大学のカフェテリア「クリスティーナ」(Kristina)でコーヒーを飲んでいると、日本人の留学生たちに出会いました。リンネ大学では、毎年鈴木先生と日本人の留学生で「日本食パーティ」を開催しています。私のいた9年前は150人ぐらいの参加者だったと思うのですが、今では大きな会場を借りて250人が来るそうです。このパーティがあと10日ほどに迫っているので、みんなで材料の仕入れ先を検討しているところでした。9年前にタイムスリップしたようで懐かしかったので、「オリンピア瓦せんべい」をプレゼントすると、とっても喜んでくれました。

 

12:00過ぎからは、街中の幼稚園と小学校に併設している、ヴェクショーで最新の厨房を見学させてもらいました。毎日600食を作っているとのことでしたが、その設備と機能性には驚かされました。プロのシェフが来てもびっくりするほどとのこと。アレルギーへの対策も万全で、アレルギー食用の調理スペースや受け渡し口も完備されていました。今日のメニューはスモーランド地方の名物のソーセージ。その他、もちろんマッシュポテトや、色とりどりの野菜なども添えられていて、ボリュームもバランスも満足できるものでした。おやつのシナモンロールまでいただいて、お腹いっぱいです。

 

その後、幼稚園も見学させてもらうことができました。200人規模の大きな幼稚園でしたが、3つのユニットに区切って、それぞれが3クラスに別れているので、こぢんまりとした雰囲気になっていました。スウェーデンの幼稚園、特に年齢が上の方のクラスには、とてもたくさんの物が置いてあります。どんなことにでも興味を持てるような仕掛けになっているのです。また、インテリアや飾り付けのセンスが抜群。こうやって、小さい頃からセンスを磨いているのだなあと、改めて感じさせられました。

 

夕方、ストックホルムに戻られる斉藤先生をお見送りした後、私の空手仲間で音楽家のハンスと一緒に、エリックのいるアルベスタに向かいました。実はアルベスタに、"Café St.Clair"という、リンネ大学の食堂で働いていたエマニュエルさんと奥さんのマスミさんがやっている、エリックとハンス行きつけの日本料理カフェ(?)があるのです。エマニュエルさんは私が留学していたときにお世話になっていたので、意外なところで久しぶりの再会を果たすことができました。久しぶりの日本料理もとってもおいしく、絶対にまた来たいと思いました。

 

明日はいよいよヴェクショー最終日。いい1日にしたいと思います。

 

Tsukasa

 

2011年

11月

03日

スウェーデン研修―その5

スウェーデン研修5日目。いよいよ中盤にさしかかってきました。

 

今日は10:00からパッペリアン(Papperian)という街中にある紙細工のお店へ。実はここは、知的障害をもった人たちの作業所になっていて、1日に10人ぐらいの方が働いています。主な工程は次のようになっています。まず、色のついた紙を細かくちぎって、水と一緒にミキサーにかけます。この原材料となる紙は、市の印刷工場から無料でもらうそうです。そして、その液状になったものをA4やA3の型で漉いて、フエルトにはさんで水分を取ります。それを板に貼り付けて1日乾燥させて、紙は完成。これに絵をつけたり加工したりして、カードや封筒などの商品に仕上げていくのです。

 

ここでは、商品の販売も、障害を持った方がスタッフのサポートを受けながら行います。そのために、レジはタッチパネル式で、商品が絵で表示されるようになっていました。こうして、紙漉→加工→販売というプロセスの全てに参加することによって、自分たちの仕事の意味がわかるのです。何度も訪れているパッペリアンでしたが、とても勉強になりました。

 

お昼時、街の中心部に行くと、マーケットが出ていました。肉、魚、野菜、衣料品、本、諸聖徒日の飾りなどのお店があり、たくさんの人で賑わっていました。スウェーデンではめずらしく、日本のものに近い、緑色のカボチャが売っていたので、料理の腕前はプロ級の鈴木先生が買われていました。なんでも、エーランド(Öland)というスウェーデンの東端にある島で作っているものだそうです。

 

午後からは、私の友人のエリック(Erik Bratt)さんに会いに、アルベスタにある彼の家に行きました。聖シグフリッド国民高等学校の音楽の先生である彼は、実は空手家。私が留学していたときに、学校に空手部を作るお手伝いをしたのがきっかけで、とても親しくなったのでした。その彼も、今や3段となって、自宅に道場を構えて、たくさんの弟子達の指導を行っています。2歳半のお嬢さんにも初めて会うことができて、たのしいひとときとなりました。

 

そして私たちは、車で1時間ほどかけて「ガラスの王国」を目指しました。ヴェクショーの位置するスモーランド地方は、たくさんのガラス工場があることでも有名で、特に夏のシーズンになると、世界中からの観光客でいっぱいになります。

 

そこでまず行ったのはヘラジカ公園(Älg Park)です。ヘラジカは、シカ科の中では最大で、体長3mにもなる、スウェーデンのシンボル的な動物です。よくトナカイと混同されることがあるのですが、全く別物ですのでご注意ください!

わたしはこのヘラジカ公園に行くのは5回目ぐらだったのですが、今回、初めてエサの時間に行くことができました。10数頭のヘラジカが集まってきてエサを食べている様子は、とても壮観でした。名物の園長さんもとてもおもしろい方なので、スウェーデンにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

http://www.moosepark.net/

 

それから、コスタボダやオレフォスといった有名なガラス工場のショップでお土産を買って、また1時間ほどかけてヴェクショーに戻ってきました。

今回の研修で借りたレンタカーは、ボルボのV70。意外にも、スウェーデンでボルボを運転するのは初めてでしたが、とてもスムーズで安定感のある走りです。右側通行・左ハンドル・MTにはちょっと慣れが必要ですが、鈴木先生の「左肩でセンターラインを感じなさい!」という教えを守っていると、楽に運転できますよ!

 

Tsukasa

 

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2011年

11月

02日

スウェーデン研修―その4

スウェーデン研修も4日目。体もだいぶこちらの生活に慣れてきました。

 

今日は、朝9時すぎに鈴木先生をお迎えに行き、認知症専門看護師(Demenssjuksköterska)の、エバヨハンナ(EvaJohanna Andersson)さんのお話をうかがいに行きました。認知症専門看護師は、ヴェクショー市にひとり配置され、認知症の人の家族に、情報を提供したり、勉強会を開催するなどして、サポートをしています。また、高齢者施設で働くスタッフへの認知症ケアに関する教育や、スーパービジョンも行っています。私は9年前に初めて認知症専門看護師の方にお会いし、「こんな仕事が日本でも必要だ」と思い論文を書いたのですが、今回、その思いを改めて強くしました。

 

続いて11:00から、エベリッド(Evelid)という高齢者施設の見学。ここは3階建てとなっているのですが、1階でヴェクショー市がショートステイなどのサービスを提供し、2階・3階でカレマケア(Carema Care)という会社が、高齢者のケア付き住宅を運営しています。近年スウェーデンでは、福祉サービスをこのように民間に運営委託するケースも増えてきています。

まだ誰も入居していないユニットを見せてもらったのですが、フロアはシンプルで統一感のある雰囲気にまとめられていました。また、民間ならではの職員への待遇や内部規定の話も聞くことができました。施設長のお話では、市営の施設よりも給与は少し低いが、応募はとても多いとのことでした。

 

昼食はこの施設のレストランでいただきました。スウェーデンの高齢者施設の多くはレストランやカフェを併設していて、地域の人でも自由に来て食べることができます。今日のメニューはミートボールかソーセージとたくさんのジャガイモに、たっぷりのリンゴンベリーのジャムをつけて食べるという、典型的なスウェーデン料理でした。普段では食べきれないほどのボリュームでしたが、体が慣れてしまったのか、みんなきれいに食べていました。

 

13:00からはフェッペット(Skeppet)という保育園に。環境教育に力をいれている保育園で、65人-70人ぐらいの園児を受け入れています。スウェーデンでは、保育園に入園を希望すると、市は4カ月以内に必ず対応しなければならないことになっているので、待機児童の問題はありません。夏の間は5週間、保育園も夏休みになるというのが、スウェーデンらしいなと思いました。今週は秋休み期間ということで、子どもの数は多くなかったのですが、日本でも、スウェーデンでも、子どもたちの笑顔は同じ。日本からの見慣れないお客さんに、とても興味をしめしてくれました。

 

その後、リンネ大学に行って、クリスティーナ(Christina Siwertsson)先生から、スウェーデンでの家族介護者の状況や、高齢者福祉の動向についてお話をうかがいました。経済的な状況や、民営化の増加によって、スウェーデンの高齢者福祉が以前のように自由にはならない現状は、少し残念に思いますが、それでも新しいアイディアやシステムによって、チャレンジを続けている姿勢は、さすがスウェーデン、という印象を受けました。

 

その後、大学の中を少し見学したのですが、最も新しい建物は、IKEAとのコラボレーションでできたとのことで、まるでIKEAのショールームのような感じになっていました。こんなところで勉強ができたら、毎日たのしいだろうな・・・と思わずにはいられません!

 

夜は、17:00から、認知症の人の家族の勉強会を見学させてもらうことができました。県の認知症専門看護師が2人と、朝お会いした市の認知症専門看護師のエバヨハンナさんの3人が講師となって、認知症とは何か、認知症になったらどうなるか、認知症の人にはどう接すればよいか、というお話をされていました。家族支援員のお二人も来られていて、街ぐるみで「認知症ケアに取り組もう」という姿勢が伝わってきました。家族が認知症になっても、こういった取り組みが日常的に行われていれば、孤立してしまうことはないんだなと、とても勉強になりました。

 

Tsukasa

 

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2011年

11月

01日

スウェーデン研修―その3

スウェーデン研修3日目の朝。お天気はくもり気味ですが、わくわくした気持ちで迎えることができました。

 

7:40にホテルのロビーに集合。20分ほど車で移動し、8:00から、家族支援員(anhörigkonsulent)のヤン・オルフさん(Jan-Olof Svensson)さんのオフィスに行き、お話をうかがいました。スウェーデン人は夕方になるとさっさと仕事を切り上げて帰ってしまうのが普通ですが、朝は早くから仕事をしている人が多いのです。家族支援員とは、介護が必要な方の家族をサポートする仕事で、ヴェクショー市に2人、配置されています。

 

2009年にスウェーデンの「社会サービス法」が改正され、高齢者や障害者の「家族への支援」が義務化されました。スウェーデンでは、高齢者福祉はコミューン(kommun)という市に相当する自治体が責任を持っていますので、その取り組みはコミューンによって異なります。

 

家族支援員は、家族に対してサービスに関する情報提供をしたり、相談にのったりアドバイスをしたりしています。時には、福祉サービスに異議申し立てをする家族と市との間に入って調整をすることもあるそうです。

日本でも、最近、家族支援の重要性が指摘されていますが、そのために専門職を配置し、実際にアクションを起こしているスウェーデンは、やはり1歩前を進んでいるな、と感じさせられました。

 

続いては、11:30からホブスルンド(Hovslund)という高齢者施設へ。ここでは100人の高齢者が入居しているのですが、120人のスタッフ(常勤換算では100人ぐらい)でケアをしているということです。実はスウェーデンの高齢者施設には、人員配置基準はありません。入居者の状況に応じて予算の上限が決められ、その範囲内で人を手配するという感じになっています。

ケアにかかる費用は、その人の経済的状況によって異なりますが、最高で1,700SEK/月。あと、家賃が4,000SEK/月、食費が100SEK/日とのことです。ひとりひとりによって違うので、「典型的なケース」は説明できない、と言っていたのが印象的でした。

 

昼食は入居者のみなさんと同じものを食べることができました。たっぷりのジャガイモにリンゴンベリーのジャムと、典型的なスウェーデンのメニューでした。

そして館内の見学。そんなに新しい施設ではないのですが、スウェーデンらしい、シンプルモダンなテイストでまとめられ、清潔感のある印象を受けました。ちょっとした空間にも家具を置いたり絵を飾ったりすることによって、施設的な感じは全くありません。お部屋も、ゆったりとした空間にバス・トイレ、キッチンが備え付けられていて、日本で言うところの1LDKのような感じです。たくさんの写真や絵が飾られ、入居している人「その人らしさ」が見えてくるような部屋になっていました。

 

デイサービスでは、たくさんの機織りの機械や大工道具が並び、みなさんかなり本格的な作業をされていました。いまの高齢者の年代のスウェーデン人にとって、機織りは刺繍はお手の物、といった感じでしょうか。お店に売っていてもおかしくないような作品がたくさん並べられていました。

 

見学の後は、私の留学していたリンネ大学へ。当時の恩師、ビョーン(Björn Albin)先生とカタリーナ(Katarina Hjelm)先生にお会いすることができました。私がここで学んだのは2002年から2003年ですので、もう8年以上前のことになってしまいましたが、お二人とも当時のことをよく覚えていてくれていて、とてもうれしくなりました。スウェーデンでは、たとえ大学の先生でもファーストネームで呼びます。そんなフラットな人間関係も、スウェーデン社会の秘密のひとつなのでしょう。

 

夕方は、ヴェクショーの中心部に戻って少しお店を見て回りました。変わらない街並みの中でも、新しいお店がいくつもできていて、たのしい時間となりました。ちょっとした小物がオシャレだったりして、おみやげがたくさんできそうです。

 

そして夜、鈴木先生と打ち合わせをした後、一行は近くのパブへ。たのしくお話しをしていると、けたたましく火災警報が鳴り響きました!お客さんはみんなあわてて外に避難し、消防車もかけつけてちょっとした騒ぎになりましたが、誤報だったのか、しばらくするとお店に戻ることができました。まあ、旅にハプニングはつきもの。これもひとつの良い経験になりました。

 

Tsukasa

2011年

10月

31日

スウェーデン研修―その2

ストックホルムでの朝を迎えました。時差ボケとサマータイムの切り替えで、よく眠れたのかどうか、よくわからない感じではありますが…。

朝食はコンチネンタルブレックファーストのビュッフェ。とはいうものの、ミートボールとリンゴンベリーのジャムが必ずあるのがスウェーデン式です。

 

今日は、「福祉のことだけじゃなくって、スウェーデンの文化もしっかり学びなさい!」という斉藤先生の強いお勧めもあり、朝から少し観光をしてからヴェクショーに向かうことになりました。

 

まずはストックホルムの市庁舎。ノーベル賞の記念晩餐会が行われるので有名なところです。ガイドツアーに参加して、中を見学することができました。設計者のラグナル・エストベリがヴェネツィアのドゥカーレ宮殿を意識したデザインになっているため、古そうに見える建物ですが、 意外にも1909年に着工し、1923年に完成したとのことでした。

 

ノーベル賞の記念晩餐会が行われる場所は、「青の間」と呼ばれています。…なのに青くない!本来は青い内装にする予定でしたが、レンガの赤茶色の感じがあまりにもよかったので、そのまま生かされたとのことです。晩餐会の参加者はざっと1,300人。それほど広くはないこの場所にそれだけの人数を入れるとなると、出席者はひとり60cmの幅しかありません。王室の方や受賞者はどうかというと…70cmだそうです。

その他、ストックホルムの市議会や、ノーベル賞の記念パーティが行われる「黄金の間」を見て、ツアーは終了しました。

 

その後、ストックホルムの旧市街である「ガムラスタン」を散策した後、ノーベル賞受賞者が泊まることでも有名な、グランドホテルのレストランに斉藤先生に連れていっていただきました。
ここでのお目当ては、ビュッフェスタイルの原型となったスウェーデン料理「スモーガスボード」です。数々のニシン、マス、サーモン、ザリガニ、鱈といった魚料理や、ミートボールやローストビーフなどの肉料理、そしてたくさんのデザートを自由に取って食べることができます。
電車の時間が迫っていて慌ただしいランチとなりましたが、とっても素敵な経験ができました。

 

急いでストックホルム駅に戻って、いざ電車に乗ろうとすると、15:25発の予定の電車が来ません。比較的時間通りに運行するスウェーデンの電車ですが、やはり日本のようにはいかないものです。

約3時間の電車の旅は快適で、アルベスタ駅で乗り換えて、結局30分ほど遅れてヴェクショー駅に到着しました。現地では、リンネ大学(旧・ヴェクショー大学)の鈴木先生と、私の友人のアルビッドが迎えにきてくれていました。

夕食を取りながら今回の研修について打ち合わせをしたのですが、高齢者施設、障害者の作業所、そして保育園を訪問するほかに、大学の先生や行政の福祉関係者の方からお話を聞く機会を作ってもらうことができました。

 

その後、アルビッドと久しぶりの再会を祝って、町中のパブに出かけました。3年ぶりのヴェクショーでしたが、何も変わっていないことにほっとしました。アルビッドは現在、ルンド大学で社会心理学の博士となるべく、勉強中で、今回は実家に帰ってきていたので会うことができたのでした。

 

明日からは本格的な研修のスタート。集合時間は7:40です!

 

Tsukasa 

2011年

10月

30日

スウェーデン研修―その1

さあ、いよいよ「社会福祉法人光朔会オリンピアスウェーデン研修2011」のはじまりです。

 

今回は、超難関(?)の内部選考をクリアした、オリンピア兵庫の栄養士の山本さんと、オリンピア灘のケアワーカーの前田さんと一緒に、10月29日(土)-11月6日(日)の日程で、スウェーデンのストックホルム・ヴェクショーとデンマークのコペンハーゲンに行くことになりました。

 

出発の日、10月29日(土)は快晴。徹夜でたまった仕事をこなして、10:30、なんとか無事に関西国際空港から旅立つことができました。航空会社はKLMオランダ航空。現存する世界最古の航空会社のひとつです。

 

機内では、数少ない日本人のCAさんが担当だったこともあり、"Chicken or Beef?"の質問をされることもなく、快適な空の旅となりました。12時間のフライトはあっという間で、15:30(現地時間)、オランダのアムステルダム・スキポール国際空港に到着しました。

 

ここで飛行機を乗り換えて、17:00、スウェーデンのストックホルムに向けて出発しました。日本人は我々3人だけのようで、周りからスウェーデン語が聞こえてきて、ようやくスウェーデンに行くんだという実感が湧いてきました。

 

予定より少し早く、18:30にストックホルム・アーランダ国際空港に到着。ここからは「アーランダ・エクスプレス」(写真・右)という電車に乗って、ストックホルム中心部に向かいます。窓口で切符を買おうとすると、「26歳以下の人はいませんか?」と聞かれました。そう、スウェーデンでは多くの場所で若者割引や学生割引が設定されています。若者を大切にするスウェーデンらしい一面ですね。

とはいうものの、22,3歳の時にスウェーデンに留学していた私は、歳をとったことを感じさせられてしまいましたが・・・。

 

ストックホルム駅では、研究のために滞在中の、私の恩師である大阪大学大学院の斉藤先生と、博士後期課程の久保さんが待っていてくれました。駅前の"Nordic Sea Hotel"にチェックインし、近くのベルギー料理のお店で遅めの夕食をとりながら、スウェーデンの現状についてお話を伺いました。

 

先生のお話によると、ストックホルムでは現在、「介護の質」の低下が懸念されているということ。ある調査によると、グループホームでのケアワーカーの数が、日中で利用者8人に対して2人という状態になっているということでした。これが大都市ストックホルムだけの問題なのか、地方にも波及しているのか、ヴェクショーに行って確かめる必要があります。

 

明日の待ち合わせの時間を確認し、ホテルに戻ろうとしたとき、重要なことに気づきました。そう、10月30日は10月の最終日曜日。サマータイムが終わる日です。あわててフロントの方に聞くと、午前3時に時計の針が1時間戻って、午前2時になるということ。そういえば留学していたときに、サマータイムが終わった日にコンサートを聴きに行ったら、1時間待たされたという苦い思い出が蘇ってきました・・・。サマータイムから通常時間への切り替えは、知らない間に行われます。この時期に旅行される方は気をつけてくださいね!

 

というわけで、いまの時間は午前6時45分。日本との時差は8時間となりました。

 

Tsukasa

2011年

10月

29日

SUN-TV「キラリけいざい」の取材を受けました

みなさんこんにちは。

お待たせしました!今日からブログを始めます。

 

11月より半年間、SUN-TVの経済情報番組「キラリけいざい」で、月1回、オリンピアのコーナーができることになり、先日、11月分と12月分の取材が行われました。

 

11月は「オリンピアのケア」、12月は「オリンピアの人材育成」がテーマということで、私やスタッフへのインタビューの他に、日常のさまざまな場面の撮影が行われました。

オリンピアでの普段の生活の様子を伝えたい、というディレクターの思いもあって、デイサービスの送迎や朝礼から、お昼ご飯づくりや食事の様子まで、1日がかりの取材となりました。

 

インタビューを受けるスタッフたちは、みんなガチガチに緊張していてちょっと心配したのですが、いざカメラが回り始めると、みんな「いい話」をしてくれていました。オリンピアが目指してきた理想が、いつの間にか「当たり前のこと」として浸透しているんだなあ、ととてもうれしく思いました。

 

1回目は11月4日(金)22:30-23:00に放送されます。ぜひご覧ください!

 

Tsukasa

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