オリンピアスウェーデン研修2019―その2

時差のせいで夜中に何度か目覚めながら、ヴェクショーで最初の朝を迎えました。この時期のスウェーデンは、日照時間も短く曇りがちで太陽が恋しくなりますが、キリッとした寒さはなかなか心地がよいものです。

7時に朝食に行くと、いつもいっぱいのホテルなのに、この日はガラガラ。勤勉なスウェーデンの人たちは、もう食べ終わって仕事に行ってしまったのかもしれませんね。

 

さて、今日はまず8:30に鈴木先生と合流して、大きなスーパーマーケットへ。海外でその国の人たちの生活の様子を知るには、スーパーマーケットに行くのが一番ではないかと思います。"世界一臭い" ニシンの缶詰、シュールストレミングや、ザリガニ、ヘラジカの肉など、みんな興味津々です。すでにクリスマスのグッズも数多く並んでいて、とても賑やかな店内でした。

 

街の中心部に戻って、最初の訪問先は、知的障害のある方々が働く紙細工の工房「パッペリーアン」(Papperian)。この研修では毎年欠かさず訪問している、すっかりお馴染みの場所です。今年もいつものようにスタッフのモニカさんとエヴァさんの二人が、ヴェクショー市の障害福祉サービスとここでの取り組みについてお話をしてくれました。利用者のみなさんは手際よく、街の印刷工場から出た不要な紙を水につけてミキサーにかけ、用途に応じた色やサイズの紙を漉いて、ポストカードや封筒など様々な製品に仕上げていきます。紙の脱水に使うプレス機が新しくなっていたので聞いてみると、リンネ大学が用意してくれたとのこと。こういった形での地域貢献も大切です。さて、パッペリーアンの大ニュースと言えば、今年、ここのデザインを使った商品が世界中のIKEAで販売されたということ。私も実際に神戸の店舗で商品を購入しましたが、とても夢のあるプロジェクトだなあと感動を覚えました。

 

 

昼食をはさんで午後からは、子どもたちのためのアウトドア教育法"UTEKLASSRUM"を開発・販売している"Linnes Mathus"という会社を訪問し、お話を伺いました。「アウトドア教育」というと、キャンプなどを思い浮かべますが、ここが目指しているのはそうではなく、算数や英語など、普通の教科をアウトドアでの活動を通じて学ぶというコンセプトで、教育学のエビデンスに基づいたそのメソッドは非常に興味深いものでした。代表のヤンさんはもともとブランディングの専門家で、VOLVOの世界的なブランディング戦略にも携わった経験をお持ちで、引き込まれるようなプレゼンテーションが印象的でした。スウェーデンでも、民間企業の開発したメソッドを公立学校に普及させていくことは容易ではないそうですが、現在、いくつかの市には取り入れられ始めているとのこと。パリ協定の目指す持続可能な社会の実現のために、学校や先生だけでなく、保護者や政治家も巻き込んでムーブメントを起こしていきたいとのことでした。

 

夕方、少し空き時間ができたので、ヴェクショーの中心部を散策しました。人口が増加し発展を続けるヴェクショーですが、ツインタワーが印象的な大聖堂(Växjö domkyrka)や湖、街のメインストリートなど、昔のまま変わらない様子にちょっとほっとしました。

そして夜、リンネ大学社会科学部でソーシャルワーカーの実習のコーディネーターをされているズムさんが、「森を散歩してみたい!!」というスタッフたちのリクエストに応えて、森の中のトレッキングコースまで連れていってくれました。夜の森はとても静かで幻想的で、北欧の世界観を満喫することができました。

さあ、明日はどんな1日になるのでしょうか!?

 

Tsukasa