オリンピアスウェーデン研修2018―その2

研修2日目、ヴェクショーでの最初の朝を迎えました。

日本とスウェーデンの時差は8時間。こちらの夜が日本では明け方になるので、毎年スタッフのみなさんは時差に慣れるまではなかなか寝付くことができないようです・・・。私は割と平気ですが(笑)

 

しっかりと朝ごはんを食べて、9時からホテルで、今年もこの研修をコーディネートしてくださるリンネ大学の鈴木先生と打ち合わせを行いました。毎年参加するスタッフの所属や職種、経験や関心が異なるので、それぞれに合わせたオーダーメイドの研修を組み立てていただいています。これも、前回の東京オリンピックの年(1964年)からスウェーデンに住んでおられる先生だからこそ可能なことで、オリンピアにとって大変貴重な研修となっています。

 

打ち合わせを終えると、さっそく車に乗り込んでリンネ大学へ。15年前に私が留学していた大学です。現在34,000人の学生が、150の学位プログラムと2,000のコースで学んでいます。2010年にヴェクショー大学とカルマル大学が合併し、現在の形となりました。

 

今日は、幼稚園教諭養成プログラムのコーディネーターのジュッタ先生(Jutta Lesell)と、実習コーディネーターのテレス先生(Therese Emrin Feltenstedt)から、「スウェーデンにおける幼稚園教諭養成」についてお話を伺いました。

スウェーデンでは通常、年40週のプログラムで3年修了すると学士号が取れるのですが、このプログラムは半年長く、7セメスター(3年半)で修了という形になっています。教育内容は、「教育学全般」「幼児教育」「実習」の3つのセクションに分かれおり、最初のセメスターからさっそく実習が組み込まれています。これは、早い段階で現場に触れることによって、学生のミスマッチを防ぐ目的があるとのことでした。

現在のフルタイムのコース、働きながら受講できるパートタイムのコースに加え、現役の先生を対象とした5セメスターのプログラムも準備中とのこと。また、実習先としては、スウェーデン国内はもちろんのこと、ウガンダ、オランダ、ドイツ、オーストリアなど海外を選んでいる学生もいるということでした。日本でもできるのではないかと話が盛り上がったので、もしかすると将来、オリンピアの保育園やこども園でリンネ大学の学生さんを受け入れることになるかもしれません。

 

昼食は大学の食堂、クリスティーナへ。私も留学していたとき、毎日のようにお世話になっていたところです。4種類の日替わりメニューからメインを選ぶことが可能で、今日はチキンの煮込み、白身魚のフライ、ベジタリアン用の野菜のソテー、パスタとなっていました。こちらは昼食がメインの食事なので、ボリュームに圧倒されながらも、みんな綺麗に完食していました。

 

この研修は、スウェーデンの福祉を学ぶことを目的としていますが、そのためには歴史や文化を学ぶことが欠かせません。午後からはヴェクショーとその周辺の観光に出かけることになりました。

まず最初に立ち寄ったのは、鈴木先生が「百見は一聞にしかず」と名付けた、ヴェクショーの水道塔へ。ここを通じて、ヴェクショーの街に水が送られています。でもどうしてこんな変わったネーミングなのか?それは、ぜひ現地でご確認ください!

 

続いて、ヴェクショーから南西に車で約1時間走り、「分類学の父」とも呼ばれる植物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linné)の生家を訪れました。リンネ大学の名前は彼にちなんでつけられたものです。私たちが知らない間に使っている 二名法や生物の分類法などは、実はリンネによって生み出されました。彼の父親は近くの教会の牧師だったため、当時としては割と大きな家が残されています。残念ながらオフシーズンということで、他に訪問客はおらずちょっと寂しい雰囲気でしたが、よい経験となりました。

 

私たちはさらに車で10分ほど走り、エルムフルト(Älmhult)という街に向かいました。ここは日本でもお馴染みのIKEAの第1号店がオープンした場所です。巨大なIKEAのエルムフルト店を見学したあと、もともと第1号店があった建物を利用して作られた、イケアミュージアムを訪問しました。

IKEAという名前は、創業者のイングヴァール・カンプラード(Ingvar Kamprad)と彼が育った農場エルムタリッド(Elmtaryd)、そして彼が育った街アグナリッド(Agunnaryd)の頭文字を取ってつけられました。イングヴァールが17歳で始めた雑貨店は、今や世界最大の家具量販店となりました。しかし、彼らはその理念として「優れたデザインとは、形、機能性、品質、サステナビリティ、低価格を兼ね備えなければならない」という"Democratic Design"の考え方を大切にしています。すなわち、優れたデザインが一部の人のためだけにあるのではなく、全ての人のためにあるべきだということです。これは、ノーマライゼーションの理念にも通じる考え方だと、改めて感じさせられました。

 

その後、また1時間ほどかけてホテルに戻って夕食。夕食後は街のスーパーマーケットに出かけて、スウェーデンの人たちの普段の食生活についても見てもらうことができました。明日からタフなスケジュールということもあり、今日はちょっと早めに解散となりました。

 

Tsukasa