オリンピアスウェーデン研修2013―その4

どんよりとした曇り空で雨がパラパラと降っている、典型的なこの時期のスウェーデンの天候の中、研修の4日目はスタートしました。

 

今日は8:00から、ヴェクショー市の高齢福祉課でお話を伺いました。朝早いことに驚かれるかもしれませんが、スウェーデンでは朝早くから働いて、夕方もきっちり帰るのがスタンダードです。市職員のベーリットさんと、高齢者施設の施設長のペーターさんが、行政と現場というふたつの立場からヴェクショー市の高齢者福祉の現状について、息ぴったりのチームワークでお話ししてくれました。

近年、スウェーデンの福祉分野において民営化が進んだり、財政的な問題からケアの質が下がったということが指摘されています。でも、少なくともヴェクショー市においては、そのような状況においても、しっかりとレベルの高いサービスを担保するために、とても機能的なシステムが作り上げられ、さらに進化しているということが、とても印象的でした。

 

続いて10:00からは、障害をもった方が働く紙工房、「パッペリアン」(Papperian)の見学です。私自身はヴェクショーに来るたびに訪れている場所ですが、市の印刷工場から持ち込まれる紙を細かくちぎってミキサーにかけ、紙すきをしてその紙を使った製品を作り、そして実際にお店で販売するという工程の中で、ひとりひとりの得意なことや能力を生かす場が与えられている、ということにはいつも驚かされます。

 

昼食はヴェクショー駅近くのタイ料理のお店で。私が留学していた10年前、ここのお店は"Tokyo"という名前の中華料理屋さんだったな、と懐かしく思い出しました。

午後からは、障害をもった方が働く、布を使った製品を作る工房、「テキスタイルグルッペン」(Texilgruppen)を訪問。行ってみると、留学していたときに、講義の実習で訪問させてもらったことがある場所で、当時から働いているとても懐かしい顔があってうれしく思いました。しかし、何よりも驚かされたのは、製品のクオリティの高さ。布の染色からデザイン、そして絵付けまで、主に知的障害をもった人たちがほぼ自分たちの力で行っているのです。ここで作られた製品は、先ほどのパッペリアンで販売されています。ヴェクショーにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください!!とてもステキなお土産が買えますよ。

 

夕方、私の空手仲間で、フルート奏者・現代音楽の作曲家のハンスが、ホテルまで私たちを迎えにきてくれました。なんと、アルベスタにあるエリックの道場まで、みんなで空手をしに行こうというのです!!車で約20分。道場に着いてみると、私の分まで道着やタオルを用意してくれていました。飛び入りで太西さん・尾崎くんも参加して、日本の空手とは少し違った(?)スウェーデン式のハードな稽古を1時間半ほど行いました。彼らとスウェーデンで本格的に稽古をするのは10年ぶりでしたが、全くそのブランクを感じさせられない、とてもステキなひとときでした。お礼に、私の流派である和道会の形を披露して、今日の稽古は終了。長い旅の途中でこうやって体を動かすことができるのは、とてもいいですね!!

 

さて、稽古の後はヴェクショーに戻り、スモーランド博物館の中に昨年オープンした、「居酒屋もし」で夕食となりました。このお店、「もしもし」というお寿司屋さんがプロデュースしたので「もし」という面白い名前がついています。料理は、前菜やお寿司、魚料理など、ヘルシーなものが多く、スウェーデン人には大人気。私たちから見ると、ちょっと変わった多国籍風のメニューもありますが、それはご愛敬ですね。

夕食後、ハンスが私たちを乗せて、市内をドライブに連れて行ってくれました。鈴木先生に「百見は一聞にしかず」と名づけられた水道塔や、大学の敷地内でレストラン・ホテルとして営業しているテレボーイ城、そして1400年代に建てられたクロノベリイ城跡と、思いがけない夜の観光をたのしみ、長かった一日が終わりました。

 

さあ、明日は子どもたちの幼稚園や学校を中心に訪問です!!

どんな1日になるのでしょうか?

 

Tsukasa