オリンピアスウェーデン研修2013―その3

ヴェクショーで迎えるひさしぶりの朝。町中を走り回る清掃車の音がとても懐かしく感じられます。

ハムやチーズ、ソーセージにミートボール、そしてたくさんのフルーツといった、典型的なスウェーデンのホテルの朝食をいただいて、いよいよ本格的な研修プログラムがスタートしました。

 

まずは9:00リンネ大学看護福祉学部のクリスティーナ先生(Christina Siwertsson)から、スウェーデンの高齢者福祉の概要と歴史について、1時間半ほど講義をしてもらいました。高齢者福祉の理念やシステムについて、実際に現場を見る前に話を聞くことができたのは、理解を深める上でも非常によかったのではないかと思います。これからの課題について質問をしたところ、介護職をどう確保するか、介護の仕事の魅力をどうやって伝えていくか、日本と共通する点も見受けられました。

 

続いて、親友のエリック(Erik Bratt)が音楽コースの教師として勤めている、聖シグフリッド国民高等学校へ。私が留学していた10年前、「学校に空手部を作ろうと思うから手伝ってくれない?」と声をかけられたのをきっかけに、私たちは毎日のように会って、空手の稽古をしたり、音楽談義をしたり、お酒を飲んだりしたものでした。残念ながら、彼のお嬢さんが熱を出して出勤できなくなったとのことで、校長先生とブリット先生が学校の中を案内してくれました。国民高等学校は、高校と大学の間に位置する北欧独自の教育システムで、いまから100年ほど前に国民運動の中から生まれてきました。現在スウェーデンには150の国民高等学校があり、音楽やアートなどの専門的なコースや、移民の人たちや高校をドロップアウトした人たちのためのコース、スウェーデンの言語や文化を学ぶコースなど、さまざまな役割を果たしています。今回、何人かの学生とも話をすることができましたが、その出身国は、イラク、アフガニスタン、コロンビア・・・とさまざま。いまの世界の情勢の縮図がここにはありました。

校長先生から「ここの学校のランチは最高だから、ぜひ食べていかない?」とお誘いを受け、学生たちと一緒にお昼後はんをいただきました。ここの学校では、全てエコロギスク(Ekologisk)と呼ばれるオーガニック食材を利用しているので、おいしく安全な食事がいつも提供されているのです。

 

さて、ホテルに戻って、今回も研修のコーディネートをお願いしている、リンネ大学の鈴木満先生と合流して、私たちはトフタゴーデン(Tofta Gården)という高齢者施設を訪問しました。施設長のマーリンさんがお忙しいとのことで、中を案内してくれたのは、ニクラスさん(Niklas)という23歳のという男性。なんと彼は、リンネ大学でソーシャルワークを学ぶ学生で、将来施設長になりたいとのことで、半年間、マーリンさんについて実習をしているのでした。「見学者の対応をするのも施設長の仕事だから・・・」と言っていましたが、実習生が施設の紹介をしてくれたのには私たちもビックリでした!!「施設長になるために、これから経営学や組織論についても学んで、チャンスがあったらすぐにでもチャレンジしたい!」と答えるニクラスさんに、私たちもとても刺激を受けました。そして、昨年もお会いした入居者のグレータさんにお部屋を見せてもらったり、中を案内してもらったりと、とても楽しい時間を過ごすことができました。

 

見学を終えた私たちは、レンタカーでヴェクショーから東に50kmほど離れたコスタのガラス工場を目指しました。ヴェクショーの位置するスモーランド地方(Småland)は、「ガラスの王国」と呼ばれるたくさんのガラス工場で有名。研修の参加メンバーは、日本からのお土産リストとにらめっこしながら、ショッピングを楽しんでいました。

 

ホテルに戻って食事を終え、スーパーマーケットをぶらぶらしていると、エリックから電話が・・・。「いま、他の音楽の先生たちと飲んでるからこない?」とのお誘い。お嬢さんはいま、前の奥さんが面倒をみているとのこと。さっそく彼らと近くのホテルのパブで合流して、昔話や音楽談義に花が咲きました。明日、彼の空手道場をみんなで訪問することが決まり、濃厚な研修3日目も無事に終了。今日はぐっすり寝られそうです・・・。

 

Tsukasa