オリンピアスウェーデン研修2012 - その4

どんよりとした雲に覆われたヴェクショーの朝。今週は何か大きなイベントがあるということで、ホテルはほぼ満室のようです。

 

さて、今日は8:30から、リンネ大学の近くにある、リュンファーレスコーラン(Ljungfälleskolan)で行われている、ハンガリーのメソッドを使った、重度の障害を持った子どもたちへの特殊な教育を見せてもらいました。現在、通っている子どもは5人。歌や音楽に乗せて、ボールやフラフープ、音の出る棒など、さまざまな道具を使って、5分ぐらいのプログラムが次々と行われていました。見学している私たちにもいろいろな道具が渡され、一緒に参加することができました。

 

続いて10:00からは、知的障害を持った人たちが働く、パッペリアン(Papperian)という紙工房の見学です。ここでは、ヴェクショー市の印刷工場で出た紙くずを再利用してカラフルな紙を作り、それを使ってカードや招待状、インテリアの飾りなど、様々なものに加工しています。さらに、それを販売するショップが併設されていて、物づくりから販売まで、すべてのプロセスを経験することができるようになっているのです。

私も何度も訪れていますが、街のメインストリート沿いにあり、とってもお洒落な店構えなので、説明してもらわないと普通のお店と間違ってしまいそうです。今回は、職員の方からお話を聞くだけでなく、実際に紙漉きの体験もさせてもらうことができました。道具や手順に様々な工夫がされていて、障害があっても働きやすい環境づくりがされていることが印象的でした。

また、クリスマスシーズンに向けて、ロウソクの製作・販売も始めたとのこと。「どのように商品開発をするんですか?」と質問すると、「街を歩いていたり、雑誌や広告を見ているときにアイディアが浮かぶのよ」と教えてくれました。

 

昼食は「香港」という中華料理のレストランで。そういえば留学していたころ、ごはんが恋しくなると日本人の留学生と一緒によく行ったなあ、と懐かしい記憶がよみがえってきました。最近スウェーデンでは「カニカマ」がよく売られていて、ビュッフェに「カニカマの唐揚げ」が並んでいたのにはちょっとびっくりしましたが・・・。

 

お昼からは、グルドコーネット(Gurdkornet)という障害を持った高齢の方のデイサービスを訪問しました。アパートの1室をそのまま利用していて、本当に「家」のような、家庭的でこぢんまりとした雰囲気の場所でした。ここでは、スウェーデンで伝統的な機織りをアクティビティに取り入れていて、ここで作られたテーブルクロスや壁掛けは、インテリアにも使われていました。かつてスウェーデンの女性たちの多くは、この機織りを経験していたということもあって、高齢者のデイサービスなどでもよく見かけます。

 

さて、ヴェクショーが位置するのは、スウェーデンの南の方、スモーランド(Småland)という地方です。このスモーランドは、「ガラスの王国」と呼ばれるたくさんのガラス工場があることと、日本でもすっかりお馴染みになったIKEAの発祥の地として有名です。

今日は空き時間を利用して、この2つを回ろうということになりました。いまの時期、森の中のドライブはちょっと注意が必要。というのも、スウェーデンは狩猟シーズンということもあって、追われたヘラジカが道路に飛び出して来ることがあるのです。「ヘラジカ注意」の道路標識はスウェーデンの名物にもなっています。

IKEAの1号店は、もともとの建物が老朽化したということで、つい最近リニューアルオープンしたばかり。広大な敷地の売り場やカフェは、日本のIKEAと本当にそっくりです。でも、ところどころ、日本ではお目にかかれない商品もあって、楽しく見て回ることができました。

 

夜は、作曲家・プロデューサー・フルート奏者として活躍している私の友人のハンス(Hans Parment)が自宅に招待してくれました。彼とも10年前、留学していたころに空手を通じて知り合い、一緒に空手や音楽を楽しんだのでした。日本通のハンスは、日本語の勉強をしたり、日本グッズのコレクションをしたりもしています。そんな彼が持ち出してきたのが、立派な碁盤。といっても、私も碁はそんなによく分からないので、「五目並べ」の国際マッチを楽しんだりしました。

その後、ちょうど家に帰ってきたハンスの娘、ハープ奏者のルビーサと一緒に、ハープとフルートのミニコンサートを開いてくれました。ステキな音色を聴いて、思い出話に花が咲き、とても贅沢な時間が流れていきました。

 

Tsukasa