オリンピアスウェーデン研修2018―その3

今朝は少し早めに、6時半の朝食からスタート。昨晩から降り続いていた雨もなんとかやんでくれました。

今日はまず、ヴェクショー市のゴミ収集センターを見学に行きました。「ヨーロッパで最もエコな街」と言われるヴェクショーは、ゴミの分別やリサイクル、間伐材を使った地域暖房システム、バイオガスを利用したバスの運行など、様々な取り組みを行っています。ここのセンターに持ち込まれたゴミは、空き瓶(透明・緑・茶色)、プラスチック、紙、木材など、20以上に分別して捨てることになります。DIYが盛んなスウェーデンらしく、古くなった建材なども多く捨ててありました。

 

 

9時からはヴェクショーでも大人気の野外幼稚園"Uteförskolan Äventyret"の見学。オリンピアの研修では毎年必ずコースに入ってるスポットです。今年は、昨年お子さんの病気でお休みだったヨナタン先生が案内をしてくれました。彼とももう10年近いお付き合いになりました。昨年お話を伺ったように、野外保育に特化した新園舎が2020年の夏に完成予定となっているため、現在は旧園舎が完全になくなって、プレハブの仮園舎だけになっていました。工事の期間中はやはり危険なので、ヴェクショー市の移動幼稚園を利用するとのこと。実は急遽鈴木先生がアレンジをしてくださり、明日、移動幼稚園を見学できることになりました。こちらもとても楽しみです!!

少し肌寒く感じられましたが、森の中では1歳から3歳までの子どもたちが元気よく遊び回っていました。いま、森に住む動物たちの様子を描いた絵本をテーマに活動を行っているということで、森の奥の方まで案内をしてもらいました。すると、日曜大工でも作るのが難しそうな、立派な家を子どもたちが作っているところでした。3歳の子どもであってもちゃんと危険性を理解した上で、本格的なノコギリや金槌を使っている姿からは、ひとりひとりの自主性を重んじるスウェーデン社会ならではという印象を受けました。

 

次の予定まで少し時間ができたので、ヴェクショーの北の方に位置するクロノベリィ城跡と聖シグフリッド国民高等学校を見学しました。日々すごいスピードで変化を遂げていくスウェーデンにあって、逆に変わらず残されているものに触れることができ、とても懐かしい感じがしました。

 

さて、13時からは次の見学先、ヴェクショー市が運営する高齢者施設、トフタゴーデン(Toftagården)のレストランで昼食。スウェーデンの施設には必ずレストランやカフェが併設されていて、地域の人たちが気軽に立ち寄ることができるようになっています。今日のメニューはハムとマッシュポテトかピッティパンナ。いつもスウェーデンの伝統的なメニューを楽しむことができます。

昼食を済ませると、施設長のアン・マーグレット(Ann-Margret Bohlin)さんがにこやかに出迎えてくれました。トフタゴーデンは定員9人の高齢者向けユニットが3つと、定員8人の障害者向けユニットがひとつから成り、高齢者ユニットと障害者ユニットのそれぞれに施設長がいます。今回偶然障害者ユニットの施設長が通りかかり、お話を伺うことができました。55歳から75歳の利用者が暮らすこちらのユニットでは、外部でのアクティビティや外出にも力を入れていて、週2-3回、就労支援の作業所に出かけている人もいるとのことでした。

また、トフタゴーデンは、ヴェクショー市の在宅で介護の必要な高齢者を21時から7時までカバーする、ナイトパトロールサービス(Nattpatrullen)の拠点ともなっています。こちらも偶然マネジャーのペーター(Peter Nilsson)さんにお話を伺うことができました。PCの画面上では、それぞれのスタッフが何時に誰の家に行ってどんな介護をするかが分単位で計画されていて、スマートフォンを通じて指示がいくようになっていました。介護を行った報告もスマートフォンを通じて行われ、時間の微調整などが図られるようになっています。ナイトパトロールはスタッフひとりの負担が大きくなるため、合計18名のマネジャーが年に3週間ずつ、バックアップを担います。その期間中はヴェクショーを離れられないので旅行にも行けないし、夜お酒を飲むこともできないと、ペーターさんが教えてくれました。

施設内を見学して、入居者のエヴァさんとヒレビさんのお部屋を案内してもらうことができました。どちらもお二人のこれまでの人生が凝縮したようなお部屋になっていて、ゆったりと「自分らしく」暮らしている様子が感じられました。私もスウェーデンでたくさんの施設を見学させていただきましたが、ここは本当にお気に入りの場所のひとつです。

 

見学を終えて、空き時間ができたので、またまた急に思い立って、ヴェクショーから東に40kmほど離れた、ガラス工場で有名なコスタ(Kosta)まで出かけることになりました。街は一足先にクリスマスの装いとなっていて、コスタボダ(Kosta Boda)やオレフォス(Orrefors)のアウトレットでお土産を買うことができました。

1時間ほどかけてヴェクショーに戻ると、私の15年来の友人であるハンス(Hans Parment)さんご夫妻が、私たちを自宅に招待してくれました。「私たちはミニマリストよ」と言う彼らのお家は、とてもシンプルで機能的で、まるでモデルルームのようです。お嬢さんがいま日本に留学中で、卒業式に合わせて11月の終わりに2週間、日本に来るとのことでした。お茶やケーキをいただいていると、もう一人の私の大切な友人、エリック(Erik Bratt)さんが合流してくれました。実は、ハンスはプロのフルート奏者、エリックはプロのギター奏者で、それぞれ作曲活動をしたり、学校で音楽を教えたりしています。急遽二人でセッションをしてくれました。スウェーデンの方々の温かさに触れ、とても思い出に残る夜となりました。

 

Tsukasa