オリンピアスウェーデン研修2016―その4

めっきり冷え込んだヴェクショーの朝。スウェーデン人の朝はちょっと早めで、8時始業のところが多いため、ホテルの朝食も8時ごろにはガラガラになります。

今日はまず、鈴木先生をお家に迎えにいくところからスタート。街の中心部から車で南へ15分ぐらいのところに、自然に囲まれたとてもステキなお家があります。念のために住所を確認しておこうとインターネットで調べると、家と携帯の電話番号や奥さんの名前まで載っています。こちらでは、個人情報をオープンにしている方が多いので、必死になって保護しようとしている日本の感覚に慣れていると、ちょっとビックリしてしまいます。

 

午前中の訪問先は、ピールベッケン幼稚園(Pilbäcken)。この研修でも度々お世話になっている、1971年にオープンした10クラスの大きな幼稚園で、副園長兼主任のカタリーナさんにお話を伺いました。この幼稚園の特徴は、イタリア発祥の保育哲学、レッジョ・エミリア(Reggio Emilia)・アプローチを実践しているということ。カタリーナさんは専門のトレーニングを受けて、指導者としても活躍しています。今年もテーマは「木」。子どもたちは顕微鏡を使って木を観察したり、木がどうやって水を吸い上げているのか考えたり、落ち葉や実などを拾ったり、木を題材にしたアート作品を作ってみたり・・・。芸術家や植物の研究者など、様々な分野の専門家たちの協力も得ながら、自分たちで木についての理解を深めていきます。これらの取り組みは全て記録され、それに基づき評価をし、次への改善に繋げられています。エビデンスに基づいたアプローチは、いつ見ても大きな発見があります。

 

ピールベッケン幼稚園の隣には小学校もあり、食堂は共用されています。今日は小学校が秋休みということで、私たちも給食を食べさせてもらうことにしました。今日のメニューは魚のスープ。ビュッフェスタイルになっているので、自分たちで野菜たっぷりのスープをお皿に入れて、アイオリソースをかけたりディルの葉っぱをちぎって乗せたりしています。ここでも自己決定ということが大切にされていました。少し厨房を覗いてみると、700食を作る機器はどれもピカピカに磨き上げられていました。また、各種のアレルギーやベジタリアンへの対応に加えて、様々な宗教に対応できるように、数多くの特別メニューも用意されています。多くの移民を受け入れているスウェーデンならではの光景ですね。

 

午後はヴェクショー市に古くからあるホフスルンド(Hovslund)という高齢者施設へ。施設長であり、ヴェクショーの介護家族支援員(Anhörigkonsulent)のアン・クリスティンさんから、ヴェクショー市での介護家族支援についてのお話を伺いました。日本と同じようにホームヘルプやデイサービスといった在宅介護のサービスがあるのはもちろんのこと、家庭で介護をしている家族の相談に乗ったり、研修会を開催したり、様々な取り組みが家族を支えています。特に、地域診療所で認知症と診断された方がいると、認知症専門看護師やケアマネジャーと連携をとって、家族を支えるアプローチをしていきます。「施設に入るのではなく在宅生活を長く継続することができれば、コストも安く済むのよ」とおっしゃっていたのが印象的でした。長年お世話になったアン・クリスティンさんも、今年で定年を迎えられるとのこと。彼女がヴェクショー市の高齢者福祉に残した功績はとても大きいものがありますね。

 

さて、今日のプログラムを終えた私たちは、東に車を走らせました。45分ほどで、「ガラスの王国」の中心地、コスタ(Kosta)に到着。コスタ・ボダ(Kosta Boda)やオレフォス(Orrefors)のショップでお土産探しです。そこで鈴木先生が教えてくださったのが、アンティークのグラスたち。在庫処分ということで格安で販売されていましたが、いまの職人さんでは作れないかもしれないという超貴重品を手に入れることができました!! 本場ならではの幸運ですね。

 

ヴェクショー最後の夜は街の中をブラブラと散策・・・の予定でしたが、あまりの寒さにさっさとホテルに戻ることになりました。さあ、明日はどんな1日になるのでしょうか??

 

Tsukasa