オリンピアスウェーデン研修2016―その2

どんよりと曇ってちょっと肌寒い、ヴェクショーの朝。時差に体がついていけなくて早朝に目が覚めてしまった私たちは、7:00にしっかりと朝食をとって、いよいよ研修のスタートです!!

 

8:30。今回も研修のコーディネートをお願いしているリンネ大学の鈴木満先生が、ホテルに来られました。4日間のスケジュールについて打ち合わせをしたあと、少し時間があったので、ヴェクショー市のゴミステーションの見学をしました。「ヨーロッパでもっともエコな街」とBBCから認定されるほど、環境対策については先進的な取り組みをしているヴェクショー市。数十種類に分かれた分別エリアには、ひっきりなしに車がやってきてゴミを捨てていました。驚いたのは、冷蔵庫や洗濯機などの回収も無料ということ。「有料にすれば不法投棄が増えるでしょ」という説明に、スウェーデン人の合理性を改めて感じさせられました。

 

午前中に訪問したのは、この研修でもすっかりお馴染みになった、野外幼稚園"Uteförskolan Äventyret"。到着すると、ちょうど1, 2歳の子どもたちが少し離れた森に遊びに行くところでした。気温は5℃でしたが、子どもたちは元気そのもの。ここでは、朝7:30から、1日の大半を屋外で過ごしています。いつも説明してくれるヨナタン先生が休暇中ということもあり、今回は園舎の隣の森で遊び回っている3歳-5歳の子どもたちが、自分たちの遊び場を案内してくれました。「寒くないの?」と聞くと、「寒くないし、健康にいいんだよ!」とのこと。対応してくれたヨハンナ先生によると、普通の幼稚園に通う子どもたちよりも、病気になりにくいとのこと。10周年を迎えたこの幼稚園ですが、いまでも大人気で、入園希望者が待っているようです。

 

ちょっと空き時間ができたので、ヴェクショー市の北部に位置するクロノベリィ城跡(Kronobergs Slott)へ。1444年に建てられたこのお城は人気の観光スポットですが、ちょうどこのあたりはブナの生息の北限。あたり一面黄色に彩られた風景は、とても幻想的な感じでした。

さて、昼食は高齢者施設"Evelid"のレストランへ。スウェーデンの高齢者施設の多くは、カフェやレストランを併設していて、近所で暮らす高齢者の方や、一般の人もランチを食べたりお茶を飲んだりすることができます。今日のメニューはチキンのグリルかソーセージの煮込み。サラダやパン、コーヒーもついて大満足のランチでした。

 

午後からは高齢者施設を二つ訪問。まずは、ヴェクショー市が運営している高齢者施設、トフタゴーデン(Toftagården)へ。第1回の研修のときから毎回お邪魔しているこちらは、定員9人のユニット4つから構成されていて、そのうちの3つが高齢者用となっています。施設長のマーリンさんはいま産休中ということで、他のスタッフのみなさんがはりきって説明をしてくれました。強調されていたのは、いかにスタッフの労働環境を整えるかということ。そのためにも、介護用リフトなどの福祉機器は必須アイテムで、さまざまな種類のものを紹介してくれました。日本でも最近少しずつ導入されるようになりましたが、建物の構造や他のハードとの組み合わせがうまくいかないこともちらほら・・・。これからの日本の課題でもありますね。

 

続いては、2015年10月にオープンしたばかりの、民営の高齢者施設ヴィーカホルム(Vikaholm)へ。北欧でも非常に多くの高齢者介護サービスを展開しているアテンド社(Attendo)が運営している施設です。昨年はオープンしたところでまだ入居者の方も少なかったのですが、1年たって居室はすでに満室。入居者のみなさんもとても落ち着いておられ、最新のハードに家庭的な雰囲気がプラスされ、とてもよい施設になっていました。説明をしてくれたマリソールさんは、民営のメリットについて、「上からの指示だけでなく、自分たちで物事を決めて実行することができるところ」と答えてくれました。経営的な観点から立ち上げ時の話を聞くと、本社やアテンド社の運営する他の施設からは資金的、人的な応援はなかったそうで、苦労された様子も少し伝わってきました。また、日本の施設の様子についても興味津々で、スタッフの交換研修ができたらいいね、と話が盛り上がりました。

 

その後は空き時間を利用して、ヴェクショー市内を観光。鈴木先生が「百見は一聞に如かず」と命名した(?)水道塔や、いまはホテルとして活用されているリンネ大学キャンパス内に位置するテレボーイ城(Teleborg Slott)、そして街のシンボルの大聖堂(Växjö Domkyrka)など、盛りだくさんの一日となりました。

さあ、明日はどんな出会いが待っているのでしょうか??

 

Tsukasa