オリンピアスウェーデン研修2015―その2

時差ボケのために早くから目が覚めてしまう、ヴェクショーの朝です。
ワクワクしながらの朝食は、ハムやソーセージ、ニシンの酢漬け、卵料理、数多くの種類のパン、チーズやヨーグルト、各種ジュースにコーヒー・紅茶と、典型的なスウェーデンの朝食ですが、どれをとってもおいしく、朝からお腹いっぱいです。

そしてホテルのロビーで今回もお世話になるリンネ大学の鈴木満先生と打ち合わせ。いよいよ研修のスタートです。


さて、今日はまず、2015年10月にオープンしたばかりの、民営の高齢者施設"Vikaholm"を見学しました。北欧でも非常に多くの高齢者介護サービスを展開しているアテンド社(Attendo)が運営している施設です。
行ってまず驚いたのは、まだ周辺や施設内で工事が行われているということ。徐々に入居をしていただきながら、工事も進めていくというのがこちらのスタイルなのです。
お話をしてくれたのは、施設長のマグナスさん。これまで日本の県にあたるランスティングで医療に関する仕事をしていましたが、2年前からアテンド社で働いているとのことです。
この施設が目指すコンセプトやケアの理念について丁寧な説明を受けたあと、施設内を見学しました。
全館床は木製のフローリングで、とても清潔感がある中にも温かみを感じさせられます。
毎年スウェーデンの高齢者施設を訪問しているのですが、まだ見たことのない最新の設備がたくさん取り入れられていたのには驚かされました。例えば、電磁式の鍵の保管庫。スタッフの役職によって使える権限のある鍵だけが取り出せるようになっていました。また、車いすの方が通りやすいように反転するトイレのドア。
最新のテクノロジーをどんどん現場に取り入れていくこのスピード感は、スウェーデンならではですね!!


昼食は、この研修ですっかりおなじみとなったリンネ大学のカフェ・トゥーバン(Cafe Tufvan)で。大学とヴェクショー市が共同で運営をしていて、知的障害をもった人の働き場のひとつとなっています。
ミニハンバーグやピタのセットなどを注文して席に着くと、ひとりの女性が立ち上がり、「パリのテロでの犠牲者を悼み、1分間の黙祷を捧げましょう」と呼びかけました。リンネ大学は国際化に力を入れていて、フランスからの留学生も中東からの留学生もたくさんいます。また、スウェーデンは移民や難民の受け入れを積極的に行っているので、イスラム系の住民も大きなコミュニティを形成しています。さらに、今回のテロでスウェーデン人も犠牲になっているとのことで、非常に複雑な状況の中、その場に集う人々の心が一つになり、しばしの沈黙が流れたのでした。


午後は、こちらも定番コースの"Uteförskolan Äventyret"という幼稚園。ここでの保育はほとんどが野外で行われます。案内してくれたのは、育児休暇から戻ってきたヨナタン先生。スウェーデンでは両親あわせて480日の育児休暇を取ることが可能で、そのうち60日は「パパの月」といってお父さんしか取れません。なので、男性の育児休暇取得率が非常に高いのです(ちなみに2016年から男性の育児休暇が3ヶ月に延長されます)。気温3℃と今回の研修中最高の冷え込みでさらに雨も降っていたので、私たちはガタガタ震えていたのですが、子どもたちは元気いっぱい!!事前に「日本からお客さんが来る」と準備をしてくれていたようで、"Välkomna"(ようこそ)と書かれたバナーや、日の丸の旗を飾ってくれていました。子どもたちは大きな岩の上から飛び降りたり、手作りの遊具で遊んだり、走り回ったりと、全身どろんこになりながら遊び回っていました。「大きなケガはないんですか?」と聞いてみましたが、子どもたちは運動神経が鍛えられるし、自分たちで危険なことを事前に判断できるようになるので、大ケガはこれまでないとのこと。「これまで野外で活動することにこだわりすぎて、それ自身が目的になってしまっていたけど、野外活動はあくまでも手段なんです。」というヨナタン先生の言葉が印象的でした。


さて、ようやく暖かい車に乗り込んだ私たちは、一路ヘラジカ公園へ。もうオフシーズンになってしまっていますが、公園の前で記念撮影。現在スウェーデンには30-40万頭のヘラジカが生息していますが、その数をコントロールするために、毎年10万頭の狩猟をするとか。ヘラジカ料理もスウェーでの文化として根付いています。
そして「ガラスの王国」のガラスショップでお土産探し。ヴェクショーが位置するスモーランド地方は、原材料、薪、水、職人の4つの要素が揃っていたことから、スウェーデンを代表するガラス生産地になりました。
あるお店で見つけたのは、1970年代の古いクリスタルのワイングラス。思わぬ掘り出し物に出会えるのも、旅の醍醐味でしょう。


ヴェクショーに戻って、リニューアルしたレストラン"Hong Kong"で夕食をとって、長かった1日が終わりました。さあ、明日はどんな研修になるのでしょうか。


Tsukasa