オリンピア スウェーデン研修2014―その6

Time Flies! あっという間にヴェクショーでの最後の朝を迎えました。

4泊お世話になったホテル・カーディナルとも、しばらくお別れです。


今日はまず、ヴェクショー市から委託を受けて、ヴァーダーガ(Vardaga)という会社が運営している、エーベリッド(Evelid)という高齢者施設を見学しました。実はこの施設、1F部分ではヴェクショー市がショートステイサービスを運営していて、2,3Fの入所部門が民間に委託されているという、珍しい形態をとっています。

スウェーデンでは現在、高齢者福祉サービスをこのように民間に委託するケースが増えてきています。民営化にはメリット・デメリットがあり、まだまだ議論がなされているところですが、いったん民営化してもうまくいかなければまた市の運営に戻ったりと、柔軟な対応がなされているのがスウェーデンらしいところです。

施設長のヘレーナさんは、「市営の施設よりも私たちの方が入居者に対してより丁寧なケアをしていて、満足度も高いんです」と、自信を持っておっしゃっていました。もともと看護師だった彼女にスウェーデンの看護師事情について聞くと、「給料が高いノルウェーに働きに行く看護師がとても多い」ということを教えてくれました。


午後からは、ヴェクショー市が位置するクロノヴェリィ県の補助器具センターへ。スウェーデンでは市が福祉や教育を、県が医療や交通を管轄するというように、完全に分担を分けて効率よく運営されています。県の補助器具センターでは、18歳までの子どものための補助器具と、大人の障害者のための補助器具を準備し、安価で必要とする人に貸し出しをしています。

一口に「補助器具」といっても内容はさまざま。車いす・電動車いすから、iPhoneやiPadを使ったコミュニケーションツール、そして目の動きだけでコンピュータを操作できる装置など、「ふつうの生活」をするために必要なありとあらゆる器具が含まれています。

その中でも面白かったのは、最近需要が増えているという「重い掛け布団」。精神的に不安をかかえる人や認知症の人が安心して眠ることができるという研究結果が出ているということで、重い物では14kgのものもありました。「寝苦しいかな」という気がしたので試しに横になってみると、とても落ち着く感じがしました。今後、日本でもはやるかもしれませんね。


以上ですべてのプログラムを終了し、レンタカーを返却するためにガソリンを入れに行きました。今回はボルボのV70のバイオエタノールエンジンバージョンを借りていました。馬力も十分にあり、運転した感じもふつうのガソリン車とそんなに違いはありませんでした。燃費ではガソリン車に及びませんが、「ヨーロッパで最もエコな街」ヴェクショーだけあって、徐々に増えてきているようです。


今年も大変お世話になった鈴木先生と今度は日本での再会を約束して、電車で2時間ほどかけてスウェーデン南部のルンドという街を目指しました。ルンド大学の大学院で社会心理学の研究をしている、私の友人のアルビッドに会うためです。予約をしてくれていたちょっとオシャレなレストランに入ると、"Ja, må han leva"の大合唱が聞こえてきました。これはスウェーデンで定番のお誕生日の歌で「もちろん彼は100歳まで長生きできるさ」という意味。スウェーデン最後のディナーはとても温かい雰囲気で、思い出話に花が咲きました。


そして私たち一行は、コペンハーゲンの空港と街の間にあるクラウンプラザホテルへ。さあ、明日はいよいよ日本に向けて出発です。

Tsukasa