オリンピアスウェーデン研修2014―その3

ヴェクショーで迎える最初の朝は、あいにくの雨模様。この時期のスウェーデンは、曇りと雨のどんよりとしたお天気がずっと続きます。でも、雨が降っても、ほとんどの人は傘をさしません。せいぜいフードをかぶるぐらいですね。こんなところでも文化の違いを感じることができます。


さて、今日は朝から時間に余裕があったので、ヴェクショー市のゴミ収集所に向かいました。ヴェクショーは「ヨーロッパで一番エコな街」として英BBCに認定されているほど、環境政策には力を入れています。日常的な家庭ゴミ・生ゴミ以外の大きなものは、自分たちで収集所まで運んでいくのですが、その分別の種類の多さにはビックリさせられました。

続いて訪問したのは、"Uteförskolan Äventyret"という名前の幼稚園。1日中子どもたちが森の中で過ごす幼稚園で、ここ3年ほどの定番コースになっています。到着すると、さっそく子どもたちの10時のおやつのパン作り。まるでキャンプに来ているような気分です。それにしても子どもたちは元気いっぱい。-5℃になるまでは、昼食の時間を除いて外で過ごしています。かなり厚着をしていったつもりだったのですが、私たちの方がガタガタ震えてしまいました。

毎年案内をしてくれていたヨナタン先生に代わって、今年はロニー先生が幼稚園での取り組みを説明してくれました。スウェーデンの幼稚園では、いつも何かテーマを持って保育をするのが特徴。子どもたちがいつもやるように、袋の中に入ったグッズを取り出し、それにまつわるテーマを説明してくれました。特に面白かったのは、「トロルからのお手紙」。「友だちがみんなお城の方に行っちゃったから探してきてくれない?」という手紙を見つけた子どもたちが、みんなでバスに乗って、リンネ大学の近くにあるテレボーイ城まで出かけていく、というプログラムです。途中でいろいろなハプニングはありましたが、「誰かのために力を貸してあげる」ことによって、連帯感や信頼を学ぶことができたそうです。子どもの頃からの教育が、スウェーデンの人たちの福祉の考え方の根底にあるんだということを感じさせられました。

ちなみに、ヨナタン先生は育休中とのこと。男性でも育休をふつうに取れるのスウェーデン流ですね。


辛い辛いタイ料理で体を温めたあと、ホテルに戻って、オリンピア兵庫で行われている「若手リーダー育成研修」にFace Timeのテレビ電話で飛び入り参加しました。スウェーデンに関する質問を鈴木先生に答えていただいたり、こっちに来ているスタッフが感想を伝えたりと、とても盛り上がったひとときでした。それにしても、ITの進歩はすごいですね。


午後は、ヴェクショー市の福祉委員会のカタリーナ委員長と、ヘルパーステーションのキャロリーン所長にお話を伺うために、市役所を訪れました。着いて驚いたのは、スウェーデンの国旗に並んで日章旗が掲げられていたこと。私たちへの歓迎の気持ちを表してくれていたのでした。おふたりからは、ヴェクショー市での福祉の現状について、データを交えながらとても詳しいお話しを伺うことができました。人口約86,000人のヴェクショーで、2,300人の人が福祉に従事していて、そのうち男性は11%。いま、利用者の選択肢を増やすということに力を入れていて、「需要より供給が多くないと選択肢は生まれません」という言葉が印象的でした。

また、スウェーデンのホームヘルパーの1日は、朝7時に集合し、ミーティングを行うところから始まります。そこで前日の記録の読み合わせをしたり、スケジュールを確認したりするのですが、ミスを減らすために、細かいところまでチェックをすることが徹底されている印象を受けました。認知症の利用者のケースでは、早い段階から認知症専門看護師などの専門職と連携を取り、適切な対応を行っているようです。


市役所を後にした私たちは車で東へ向かいました。ヴェクショーの位置する「スモーランド地方」には「ガラスの王国」と呼ばれる、ガラス工場が集まっている地域があります。お目当てはそこにある工場直営のアウトレット。時期によってはガラス作りの様子を見学できますので、ぜひお立ち寄りください!!

Tsukasa