オリンピアスウェーデン研修2023―その4

今朝のヴェクショーはこちらに来てから一番の冷え込み。曇り空の中に雪もちらついています。

この時期のスウェーデンの典型的なお天気です。

 

今日はまず、知的障害の人たちのデイサービス、テキスティール・グルッペン(Textilgruppen)を訪問しました。こちらは布を使った商品を中心に製作していて、パッペリーアンのお店でも販売しています。22名のメンバーが3名の芸術と福祉の教育を受けたスタッフと一緒に、布にシルクスクリーンで絵付けをしたり、機織りをしたりして、とても個性豊かな作品を作り上げています。利用者のみなさんと朝のFika(コーヒータイム)を楽しみながら、日本とスウェーデンの福祉について語り合うことができました。

スウェーデンでは来週が「暴力のない週間」(En vecka fri från våld)と位置づけられていて、町の中心にあるアートセンターで、テキスティール・グルッペンとパッペリーアンのみなさんの作品が展示されることになっています。明日、時間が合えばその準備の様子を見に行きたいと思います。

 

次の目的地は、お隣のアルベスタ市(Alvesta Kommun)のヴィースランダ(Vislanda)にある、「ビョルクリーデン」(Björkliden)という高齢者施設。実はここは、「スウェーデンの中で最も食事が美味しい施設」に選ばれたということで、今回のプログラムに組み込んでもらいました。30年前にオープンした建物は平屋建てで、昔ながらのスウェーデンの高齢者施設の趣があります。

中に足を踏み入れた瞬間、急に昔の記憶が蘇ってきました。そう、20年前、留学していたヴェクショー大学(現・リンネ大学)の指導教官ビョーン先生(Björn Albin)に紹介されて、この施設を訪問したことがあったのです!大雪の中、バスに乗って見知らぬ町までやってきたけれどなかなか施設が見つからず、道行く人たちに何度も尋ねてようやく到着したことを、昨日のように思い出しました。当時からよい施設だということで知られていたのでしょう。

 

懐かしさを感じながら、施設長のマルガレータさんに施設の中を案内してもらいました。ここの施設は定員40名に対して、スタッフも40名配置されています。スウェーデンの中でも非常に手厚い体制となっていますが、それを可能にしているのは、アルベスタで最も低いスタッフの「病欠率」。スタッフのお話を聞いていても、自分の仕事に誇りを持って、楽しく仕事をしている様子が伝わってきました。ザリガニパーティやノーベルディナーなどのイベントの際には入居者のみなさんにもお酒を楽しんでもらったり、遠足や外出などのアクティビティを充実させたりと、「よいケア」「よいサービス」を提供するために、柔軟な発想でアクションを起こしていく姿勢は、ぜひ見習いたいと思いました。

 

 

そしてお待ちかねのランチ。木曜日に豆のスープとスウェーデンパンケーキを食べるという習慣に従って、今日のメニューはスープとパンケーキ。「スウェーデンで1番」にふさわしく、とても優しい味で、毎日でも食べたくなるような料理でした。施設の近所に住む人たちも、ふらっとランチに訪れていたのが印象的でした。

またぜひ訪問してみたい施設がひとつ増えました。

 

車で30分ほどでヴェクショーに戻り、スウェーデンで最も古いカフェ「Broqvist konditori」で、ヴェクショー市の前・福祉部長のエヴァさんより、スウェーデンの高齢者福祉の最近の動向についてお話を伺いました。こちらでも人手不足は大きな課題となっていて、データに基づいた分析や、デジタル技術の活用による効率化を進める取り組みは、非常に興味深いものでした。また、私が現在研究を進めているマネジメント層の育成についても、3つのレベルでのリーダー教育についてお話を伺いました。ここにはとても書き切れないので、また何らかの形で整理して、みなさんにお伝えしたいと思います。

 

お話を終えるころにはすでに空は真っ暗になっていました。明日はいよいよヴェクショー最終日。充実した1日にしたいと思います!

Tsukasa