オリンピアスウェーデン研修2023―その3

こちらに来てから初めて太陽が顔を見せてくれた、ヴェクショーの朝。少し肌寒さは感じますが、空気がとても澄んでいて、気持ちよく1日をスタートできそうです。

 

今日の最初の訪問先は、この研修で毎年欠かさず訪問している知的障害の方たちのデイサービス、パッペリーアン(Papperian)。いつものようにスタッフのモニカさんとレーナさんに活動の様子について話を聞きました。ここでは、14名のメンバーが登録していて、毎日8名ほどのメンバーが2名のスタッフと一緒に、紙漉きをしたりできた紙に絵をつけたり、封筒やカードなどに加工したりして商品を作り、販売しています。

実際に紙漉きや絵付けをしている様子を見学させてもらいましたが、複雑な工程の中でも一人ひとりのできることにあった作業を見つけ出し、誇りを持って取り組んでいる姿が印象的でした。スタッフのお二人も「80%は本人の力で、20%をサポートする」ことを念頭に置いて自然にサポートをしていて、いつものようにとても心地の良い空気が流れていました。

 

ランチは、ミシュランガイド1つ星の「PM & Vänner」へ。現代風にアレンジされたスウェーデン料理で大人気のお店ですが、ランチはリーズナブルに楽しむことができます。もちろんなかなか予約が取れないのですが、オーナーが鈴木先生の教え子ということもあり、予約前のテーブルに滑り込ませてもらうことができました。今日のメインはヘラジカのハンバーグ。ヘラジカは、毎年10月中旬に猟が解禁になるので、特にスウェーデン南部ではこの時期によく食べられています。オリンピアのマスコットキャラクターはヘラジカのエリィ(Elg)くんなのでちょっと複雑な気持ちでもありますが、臭みも全く感じられず、とても美味しくいただきました!

 

さて、午後からは、いまスウェーデンで急増している「トリーグヘッツボーエンデ」(Trygghetsboende=セキュリティ・アコモデーション、安心住宅)を訪問しました。昨年、11月1日にオープンした直後に見学し、新聞の取材を受けたところですが、もうすでに1部屋を除いて満室になっているということです。散歩や体操、マッサージといったアクティビティに力を入れたり、入居者同士が連絡先を交換してコミュにケーションを取ることをサポートしたりと、きめ細やかなサービスが人気の秘訣だと感じました。

これからのスウェーデンの高齢者福祉を考える上で、在宅と施設以外の選択肢として、重要な役割を占めていくことになりそうです。

 

福祉の勉強ばかりでなく、スウェーデンの文化も学ぶのがオリンピアのスウェーデン研修。ということで、車を東へ50km走らせ、「ガラスの王国」(Glasriket)と呼ばれるスモーランド地方のガラス工場地帯を訪問しました。日本でも有名なKosta BodaやOrreforsの工場や、直営のアウトレットショップが並んでいるほか、ガラスの装飾をふんだんに利用したデザイナーズホテル、"Kosta Boda Art Hotel"はぜひ一度訪れていただきたいスポットです。

 

ヴェクショーに戻り、私の友人のHansが勤める、Kultureskola(カルチャースクール)を訪問しました。共通の友人である、別の町のKultureskolaの校長であるErikも駆けつけてきてくれました。ここでは、4歳から20歳までの子ども・若者たちが、音楽、演劇、ダンス、アートなどを学んでいます。この日も、ヴァイオリン、チェロ、フルート、ギターなど、様々な楽器のレッスンが行われていて、レッスン室に入るたびに素敵な演奏を聴かせてもらうことができました。音楽やアートなどを「始めたい!」と思ったときにすぐできる環境が整えられていることに驚くとともに、とてもうらやましく感じました。

 

そしてみんなで思い出話に花を咲かせながら夕食をとったあと、Hansが自宅に招待してくれました。スウェーデンの人たちの普通の暮らしに触れるという大変貴重な機会になったかと思います。私が留学してから20年たっても、こうやっていつも温かく迎え入れてくれる友人たちに感謝です!

Tsukasa