オリンピアスウェーデン研修2023―その2

今朝のヴェクショーの気温は0℃。曇り空からパラパラと雨が落ちてきています。

時差の関係で早朝からオンライン会議をいくつか終えて、7時にダイニングに朝食に行くと、すでにほぼ満席。スウェーデンの人たちはいつも朝早くから動き始めています。

朝8:30に研修のコーディネートをお願いしている、鈴木満先生と合流し、研修に関するオリエンテーションをしていただきました。

 

最初の訪問先は、ヴェクショー市の南部にある、最も新しい幼稚園 "Torpa Förskola" です。副園長のLindaさんが園での取り組みについて説明をしてくれました。ここには144人の子どもたちが通っていて、子ども一人ひとりの能力を尊重するレッジョ・エミリア教育を行っています。特に印象に残ったのは「民主主義をベースに教育を行っている」ということ。みんなで議論をして、少数派の意見も尊重しながら合意形成をしていくというプロセスを、小さなころから学んでいることが、スウェーデンの社会を形作っているのだと改めて認識することができました。

 

続いて向かったのは、2005年にオープンした高齢者施設 "Toftagården"。この研修でも毎年お世話になっている施設です。すっかり顔なじみの、施設長を補佐するコーディネーターのHelenaさんが説明をしてくれました。新たなニュースとしては、今年の10月1日より、スウェーデンでEUの労働基準が導入されたということ。勤務と勤務の間に11時間連続の休みが必要になり、週に36時間連続の休みを取ることが義務づけられました。いまのところ、現場に大きな影響は出ていないようですが、今後の動きに注目する必要があります。

 

昼食は施設のレストランでいただきました。今日のメニューはベジタリアン用のハンバーグ、タラのムニエル、ラザニアから選択できます。私は魚を選びましたが、街中のレストランにも負けない味でした。ちなみに、お値段は98SEKでした。支払はSwishというスウェーデン独自の電子決済システムのみ。世界で最もキャッシュレスが進んでいるということを実感しました。

 

午後からは、Dalbo地区の福祉センターで、在宅で介護をする家族のサポートを行う「家族支援員」のお話を伺いました。現在ヴェクショー市には、3名の家族支援員が配置されています。支援対象となる「家族」の定義が、血縁のある家族だけでなく、本人のサポートをしている近所の人や友人なども含まれる、というところがスウェーデンらしいところですね。

 

お話のあとは、センターで行われている "Träffpunkt" の取り組みを見学しました。Träffpunktとは「ミーティング・ポイント」という意味で、地域に住むの65歳以上の高齢者が自由に参加できる、様々なアクティビティを行っています。ヴェクショー市内では現在、9か所で活動が行われています。

今日はみなさんで手作りのチーズケーキとコーヒーを楽しむということで、私たちもご一緒させていただきました。18名の高齢者の方がおられましたが、私たちが日本から来たと聞くと、「スウェーデンの福祉と日本の福祉の違いは?」「日本の介護現場ではテクノロジーが使われているの?」と、質問攻めに合いました。

中には90歳近い方もおられましたが、みなさんコーヒーを飲みながらとても活発にお話しをされていました。ケーキ・コーヒー代はどうするのかと思っていると、スタッフが回って一人ひとりクレジットカードで支払いを行っていたのには驚きました。

 

 

とても刺激的な初日だったようで、ホテルに戻ってからも、3人のスタッフとの議論はなかなか終わりませんでした。現場での仕事を離れて、改めて日本の福祉について見つめ直すことができるよい機会になっていて、私もとてもうれしい気持ちになりました。

Tsukasa